石破茂の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(石破茂君) 和田有一朗議員の御質問にお答えを申し上げます。
 日米間の信頼関係と拡大抑止についてでございます。
 今般の日米首脳会談では、同盟の抑止力及び対処力を高め、日米が直面する地域の戦略的課題に緊密に連携の上、対処していくことで一致をいたしました。
 拡大抑止に関しましても、トランプ大統領から、米国による核を含むあらゆる能力を用いた、日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントが強調されました。
 我が国が、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面し、現実に核兵器などの日本に対する安全保障上の脅威が存在する中で、こうした脅威に対応するためには、我が国自身による防衛努力に加えて、米国が提供する核を含む拡大抑止が不可欠であります。
 今後とも、米側との信頼関係の維持強化に向けた取組を進めますとともに、昨年十二月に日米で作成した拡大抑止に関するガイドラインも含め、日米拡大抑止協議を含む様々なレベルでの協議を通じ、拡大抑止の強化に向けた取組を引き続き進めてまいります。
 安全保障環境への認識、二〇二七年度以降の防衛費についての立場、日米の防衛体制構築についてであります。
 国際秩序に大きな挑戦がもたらされ、国際社会におきましては分断と対立が続いております。
 我が国の周辺国、地域におきましても、核・ミサイル能力の強化、急速な軍備増強、力による一方的な現状変更の試み、ロ朝協力の進展などの動きが一層顕著になっており、我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面していると認識をいたしております。
 その上で、二〇二七年度より後の防衛力整備の具体的内容及び防衛費の規模につきましては、その時点での安全保障環境等を踏まえまして、今後、何が必要かを検討し、実施すべき事項を積み上げてまいりますが、これはあくまで我が国自身の判断で決定していくことは言うまでもございません。
 その際、米国には米国、日本には日本の国益があり、これをお互いに追求することは当然のことであります。だからこそ、率直に意見を交わし、両者の国益を相乗的に高め合うことが最善と考えておりまして、防衛体制の構築につきましても、このようなアプローチで臨んでまいります。
 台湾との関係、同盟国、友好国との防衛体制整備についてのお尋ねをいただきました。
 我が国の台湾に関する基本的立場は、一九七二年の日中共同声明を踏まえ、日台関係を非政府間の実務関係として維持していくということで一貫をいたしております。政府といたしましては、この基本的立場を踏まえながら、引き続き、日台間の協力、交流の更なる深化を図ってまいります。
 具体的には、安全保障に関するものも含めまして、台湾をめぐる状況に関し情報収集などを行う等、幅広い分野で台湾との実務的な情報共有や協力関係を積極的に推進をいたします。
 また、切れ目のない安全保障体制を実現していく観点からは、同盟の抑止力と対処力の維持強化や、同盟国、同志国との連携を一層進めていくことが重要でございます。
 今般の共同声明におきましても、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた絶え間ない協力の決意を表明し、その一環として、日米豪印、日米韓、日米豪、日米比といった多層的で共同歩調の取れた協力を推進していくことを確認いたしたところでございます。
 こうした姿勢を貫き、日米同盟を基軸に、友好国、同志国の輪を広げますとともに、各国との対話を進め、地域及び国際社会の平和と安定に貢献すべく、外交努力を続けてまいります。
 米国の対中外交、台湾に関する立場についてでございます。
 米中両国の関係の安定は、国際社会にとっても極めて重要であると考えております。
 先般の首脳会談におきましても、トランプ大統領との間で、東シナ海や南シナ海等における力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みに反対すること、台湾海峡の平和と安定が重要であることを確認をいたしました。
 我が国といたしましては、引き続き、同盟国である合衆国との強固な信頼関係の下、中国に対して、その立場にふさわしい責任を果たしていくよう働きかけてまいります。
 北朝鮮問題についてでございますが、今般の会談では、北朝鮮情勢について認識を共有し、核、ミサイル問題に共に対処する必要性や、北朝鮮の完全な非核化に対する確固たるコミットメントを確認したところでございます。
 今般の会談を踏まえ、首脳間を始めとする強固な信頼、協力関係の下、拉致、核、ミサイル問題を含む北朝鮮への対応において、引き続き、日米間の様々なレベルで意思疎通を行い、緊密に連携をいたしてまいります。
 アジア太平洋地域への米国の関与及び日米同盟の意義についてでございます。
 日米同盟は、インド太平洋地域の平和と繁栄の基盤であります。地域におけるパワーバランスが歴史的変化を遂げる中にありまして、日米の協力を更に具体的に深化させ、合衆国の地域へのコミットメントを引き続き確保していかなければなりません。
 こうした考えを踏まえ、トランプ大統領との間で、率直な意見交換を行い、厳しく複雑な安全保障環境に関する情勢認識を共有いたしますとともに、日米同盟を新たな高みに引き上げていくこと、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて緊密に協力していくことが、日米双方の国益にとって重要であるとの認識を共有いたしたものでございます。
 パリ協定、WHO、グリーンランド、ガザ情勢などについての扱い及び法の支配の文言についてお尋ねを頂戴いたしております。
 日米両国、そして国際社会が直面する課題は多岐にわたっておりまして、当然のことながら、今回の首脳会談でそれらの全てを取り上げることはできませんでしたが、自由で開かれたインド太平洋を堅持し、世界に平和と繁栄をもたらすとの首脳間の共通認識を踏まえ、今後、両国政府間で話し合ってまいりたいと考えております。
 法の支配につきましては、自由で開かれたインド太平洋の中核的な概念でありまして、今回の共同声明でも、自由で開かれたインド太平洋を堅持することを確認をいたしております。
 会談の場で、私から、力又は威圧によるあらゆる現状変更への試みに強く反対する旨を申し述べ、これを共同声明でも確認いたしたところでございますが、これはまさに法の支配の重要な要素であります。
 共同声明の交渉の詳細に関しましては、米側との関係もあり差し控えますが、我が国として、法の支配を重視する立場に一切変わりはなく、この立場を踏まえて、様々な課題についてトランプ大統領と議論を行ったところでございます。
 アメリカによりますICCへの制裁への対応等についてでございます。
 御指摘の共同声明に関する我が国の対応につきましては、様々な要素を総合的に勘案した上で決定したものでありますが、我が国は、重大な犯罪行為の撲滅と予防、法の支配の徹底のため、世界初の常設国際刑事法廷であり、元最高検検事で我が国出身の赤根智子氏を所長とする国際刑事裁判所、ICCを一貫して支持しておるところでございます。
 そのICCが独立性を維持し、安全を確保しながらその活動が全うできますよう、今後の関連の動向を重大な関心を持って引き続き注視をいたしてまいります。
 合衆国とは様々なレベルで意思疎通を行っておるところであり、引き続き、合衆国、ICC、ほかの締約国とも意思疎通を行いながら、適切に対応いたしてまいります。
 日本製鉄によるUSスチールへの投資計画についてでございます。
 今回の首脳会談では、事前の関係者間での議論も踏まえ、本件は、どちらかが一方的に利益を得るというような単なる買収ではなく、日本の技術と資金を活用して米国に大胆な投資を行うことで、米国や世界が求める優れた製品を共に生み出し、日米が共に利益を得る、いわばウィン・ウィンの関係になるものにしようとの認識を共有したところでございます。
 具体的な計画につきましては、民間の関係者において検討、調整が進められていくものであり、政府といたしましては、必要に応じて、関係者間の意思疎通の促進に努めてまいります。
 揺るぎない日米関係の下で、日米両国の企業が安心して両国に投資を行うことができるよう、今後とも取り組んでまいります。
 対米投資についてでございますが、今回の会談におきまして、トランプ大統領に対し、日本企業による対米投資額を現在の七千八百三十億ドルから一兆ドルへといういまだかつてない規模まで引き上げたい、そのために共に取り組んでいきたいとの意思をお伝えしたところでございます。
 日米の緊密な経済関係を更に拡大、発展させる余地は大きく広がっておると考えておりまして、今後、良好なビジネス環境が維持強化されれば、自動車分野に加えまして、AIや先端半導体、あるいはエネルギーなどの分野におきまして対米投資が進んでいくものと想定をいたしております。
 期限を切ってはおりませんが、こうした民間の投資を政府において適切に把握し、必要に応じて、両国における環境整備を進めてまいります。
 関税措置についてでございます。
 トランプ大統領の関連の発言については、当然、承知をしております。
 我が国といたしましては、まずは今後明らかになる措置の具体的な内容及び我が国への影響を十分に精査しつつ、適切に対応いたしてまいります。
 トランプ大統領の外交姿勢と我が国の対応についてでございます。
 トランプ大統領の外交手法、我が国のあり得べき対応について、現時点で予断をすることは差し控えたいと思いますが、その上で、合衆国には合衆国の国益があり、日本には日本の国益がある、当然のことでございます。これをお互いに追求するのは極めて当然のことでございます。だからこそ、率直に意見を交わし、両者の国益を相乗的に高め合うことが最善であり、そうした議論を通じて同盟を更なる高みに引き上げたい、このように考えております。
 台湾のCPTPP及びWHO加入についてのお尋ねをいただきました。
 CPTPPの新規加入に当たりましては、台湾を含め、加入要請エコノミーが協定の高い水準を完全に満たすことができ、加入後の履行においても満たし続けていく意図と能力があるかについて、まず適切に見極める必要があるものと考えております。
 我が国といたしまして、台湾による加入要請を歓迎しておりますが、加入要請を提出したエコノミーの扱いにつきましては、ほかの締約国ともよく相談をしつつ、戦略的観点、国民の理解も踏まえながら対応してまいりたいと考えております。
 我が国は、台湾のWHO総会へのオブザーバー参加を一貫して支持をいたしております。今般の日米首脳共同声明におきましても、国際機関への台湾の意味ある参加への支持を表明いたしました。引き続き、台湾のオブザーバー参加の実現に向け、関係国と連携をし、WHOに働きかけてまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
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発言情報

speech_id: 121705254X00420250213_013

発言者: 石破茂

speaker_id: 20757

日付: 2025-02-13

院: 衆議院

会議名: 本会議