中谷元の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○国務大臣(中谷元君) 篠原豪議員にお答えいたします。
防衛省設置法等の一部を改正する法律案を、一つの法律案として国会に提出する理由についてお尋ねがありました。
政府は、従来から、二つ以上の法律の改正を提案をしようとする場合は、一般に、法律に盛られた政策が統一的なものであり、その結果として法案の趣旨、目的が一つであると認められるとき、あるいは内容的に法案の条項が相互に関連して一つの体系を形作っていると認められるときは、一つの改正案として提案することができると考えております。
本法律案につきましては、防衛省設置法、自衛隊法、防衛省の職員の給与等に関する法律及び国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の四つを一括して改正しようとするものでありますが、現下の安全保障環境を踏まえ、防衛省・自衛隊の任務の円滑な遂行を図るため、人的基盤の抜本的な強化、自衛隊の組織改編、同志国等との協力強化に関する法整備であるとの政策が統一的なものでありまして、この結果として法律の趣旨、目的が一つであると認められ、また、内容的に法案の条項が相互に関連して一つの体系を形作っていると認められるものと考えております。
これらを踏まえて、御指摘の物品役務相互提供協定に関する改正事項を含め、一本の法律案で一覧的に示し、一体として審議をしていただくことが適当であると考えられることから、このような形で御審議をお願いするものであります。
そのため、国会軽視との御批判は当たらないと考えております。
次に、基本方針で示された施策の自衛官の採用増や中途退職の抑制への効果についてお尋ねがありました。
我が国の安全保障環境が厳しさを増す中、防衛力の担い手である自衛官の人材確保は至上命題であります。昨年、関係閣僚会議において取りまとめた基本方針に基づきまして、三十を超える手当等の新設、金額の引上げ、叙勲の対象範囲の拡大など、自衛官の処遇、生活、勤務環境の改善、新たな生涯設計の確立に向けて取り組んでいるところであります。
こうした取組により、自衛官の生活環境が改善をされ、また、給与面における処遇が充実することなどから、中途退職の抑制や、特に若年層に対して、職業としての自衛官の魅力が向上し、採用市場における競争力が増して、採用に好影響があると期待をいたしております。
また、こうした効果が早期に表れるように、基本方針で取りまとめた各施策を強力に推進するとともに、基本方針の内容も含め、職業としての自衛官の魅力について、SNSや動画も用いて分かりやすく発信するなど、広報や募集の強化にも積極的に取り組んでまいります。
いずれにしましても、自衛官の採用、中途退職抑制、充足率向上にいかに寄与しているかという観点から、関係閣僚会議において、令和七年中に効果の検証を行い、毎年フォローアップを行うことといたしております。このような検証も踏まえつつ、基本方針で取りまとめた各施策の実効性を確保するとともに、人材の確保に資する新たな方策について不断に検討をしてまいります。
次に、自衛官の採用率等の改善やその費用についてのお尋ねがありました。
先ほど答弁したとおり、我が国の安全保障環境が厳しさを増す中、防衛力の担い手である自衛官の人材確保は至上命題であります。
このため、昨年、関係閣僚会議において取りまとめた基本方針に基づき、三十を超える手当の新設、金額の引上げや叙勲の対象範囲の拡大などによりまして、自衛官の処遇を改善することといたしております。また、営内居室の個室化や、駐屯地、基地等における無線LAN環境の充実等による生活、勤務環境の改善なども行うことといたしております。さらに、知識、技能、経験を生かした再就職先の拡充や公的資格取得の簡素化など、新たな生涯設計の確立に向けた施策に取り組んでいるところであります。
その上で、自衛官の採用、中途退職抑制、充足率向上にいかに寄与しているかという観点から、関係閣僚会議において、令和七年中に効果の検証を行い、毎年フォローアップを行うことといたしております。このような検証も踏まえつつ、基本方針で取りまとめた各施策の実効性を確保するとともに、人材確保に資する新たな方策についても不断に検討をしてまいります。
防衛省としましては、こうした取組を進める上で、円安を伴う為替レートの変動、国内外の全般的な物価上昇が生じている状況にあっても、防衛力整備の一層の効率化、合理化を徹底をし、防衛力整備計画に定められた四十三兆円程度の範囲内において、自衛官の処遇改善を含め、人的基盤の強化についてもしっかりと対応をしてまいります。
次に、予備自衛官等の手当の引上げについてお尋ねがありました。
これまで、手当面の処遇改善につきましては、予備自衛官等より常備自衛官を優先をし、予備自衛官等の手当が据え置かれておりました。
昨年十二月に、石破総理を議長とする関係閣僚会議で取りまとめた基本方針におきまして、有事や災害に際して自衛官となって防衛力を急速に増強する役割を担い、継戦能力の上でも重要な存在である予備自衛官について、処遇改善を図ることとされました。これを踏まえて、予備自衛官手当及び即応予備自衛官手当を大幅に増額することとしました。これにより、一任期勤めた場合に支給される手当額については、予備自衛官は現行の約二十七万円から約六十八万円の約二・五倍、即応予備自衛官は三曹であれば現行の百七十一万円から約二百七十四万円の約一・五倍となります。
防衛省としましては、まさに継戦能力の上で重要な予備自衛官の安定的な確保に向けて、引き続き処遇改善に向けて努力をしてまいります。
次に、予備自衛官等の現状の評価とその改善の見込みについてお尋ねがありました。
予備自衛官等の大半は、平素はほかに本業を持ちながら予備自衛官等の職務に従事をしていることから、本業との両立が困難を理由として退職する者が多いと認識をいたしております。
このため、防衛省においては、予備自衛官等を雇用する企業等の御理解と御協力を得るための施策として、予備自衛官等の職務に対する理解と協力の確保に資するために給付金を支給をしています。これに加えて、本法律案において、自ら事業を営む予備自衛官等に対して、その事業の継続に資するために、その給付金を新設をするということといたしました。
また、予備自衛官等が安んじて訓練に参加しやすい環境を整えるためには、国民の皆様に予備自衛官等に対する理解の促進を図ることも重要であります。そのため、SNSやパンフレット等を活用した広報活動に加えて、動画広報などの取組を積極的に進めてまいります。
予備自衛官等の確保は継戦能力の観点からも重要であると考えておりまして、防衛省としては、予備自衛官等の職務と本業の両立がしやすくなるための施策を始め、予備自衛官等の安定的な確保に向けた施策を着実に進めてまいります。
次に、陸上自衛隊の定数についてのお尋ねがありました。
戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、陸上自衛隊においても、防衛力整備計画に基づき、スタンドオフ防衛能力の強化による遠方での侵攻部隊の阻止、多様な経空脅威から重要拠点等の防御、そして島嶼部等への迅速な機動展開及び地上で粘り強い活動などといった役割を果たすことができるように、体制の整備をしているところであります。
陸上自衛隊の定数については、このような陸上自衛隊の役割等を踏まえ、任務遂行に必要な自衛官の人員数を積み上げたものであります。
次に、現代戦を踏まえた定数や陸海空の人員バランスの見直しについてお尋ねがありました。
現在、宇宙、サイバー、電磁波の新たな領域や、無人アセットなどを用いた新たな戦い方が顕在化をしておりまして、これに対応するための新たな人員所要が発生しております。
このため、防衛力整備計画では、このような新たな人員所要に対して、陸海空自衛隊間で定数のつけ替えや既存部隊の見直し、民間委託等の部外力の活用によりまして対応することとしておりまして、引き続き、現在の自衛官定数を維持したまま、防衛力の抜本的強化に対応してまいる考えであります。
在日米軍の統合軍司令部への移行及びその停止への懸念についてのお尋ねがありました。
三月三十日の日米防衛相会談におきまして、ヘグセス長官から、自衛隊の統合作戦司令部の創設とタイミングを合わせる形で、在日米軍が統合軍司令部へのアップグレードを開始したことを発表したとおりでありまして、在日米軍の再構成の方針に変更があったということは認識をいたしておりません。
また、会談では、日米同盟を取り巻く厳しい安全保障環境に対処するために、同盟の抑止力及び対処力の一層の強化に向けて、日米双方が指揮統制枠組みの向上に関する取組を進めていくことを確認をしており、御指摘のような懸念は有しておりません。
米国の指揮統制関係についてお尋ねがありました。
現在、在日米軍の司令官は中将であるところが、アップグレードが完了した後の統合軍司令部の司令官の階級についても、今後、米国内で検討を経た上で段階的に進められるものであり、まだ決まっていないと承知をいたしております。
アップグレードが完了した後の司令官の階級や任務、権限の詳細も含めまして、引き続き、日米の作業部会を通じて議論をしてまいります。
次に、有事における自衛隊と米軍の指揮系統独立についてのお尋ねがありました。
日米間で様々な能力発揮のため緊密な連携を図ることは当然でありますが、自衛隊の全ての活動は、主権国家たる我が国の主体的判断の下、日本国憲法、国内法令等に従って行われること、また、自衛隊及び米軍がそれぞれ独立した指揮系統に従って行動することに何ら変更はございません。
また、自衛隊の指揮については、法令で定めているとおり、日本国内閣総理大臣が最高指揮官として自衛隊を指揮監督することにも変わりはありません。
このように、自衛隊及び米軍がそれぞれ独立した指揮系統に従って行動することを前提に、引き続き、日米それぞれの指揮統制の枠組みの向上について議論を進めてまいります。
次に、本法律案において、法文上、ACSAの締約国は規定しない理由についてのお尋ねがありました。
我が国は、現在まで七か国との間でACSAを締結をしておりますが、これまで、ACSAを締結するごとに、ACSAに対応する自衛隊法及びPKO法の規定を整備をしてきました。
他方、これまでに締結されたACSAでは、適用対象となる活動の範囲や提供される物品、役務の類型が基本的に同様となっています。こうしたACSAの締結の実績の積み重ねを踏まえ、ACSAに関する国内担保措置の内容は定型化していると判断しております。
また、本法律案について今国会で御承認をいただけた場合は、今後のACSAの交渉は、基本的に、共通規定化された国内実施法の範囲内の内容となることを念頭に行われることとなりまして、潜在的なACSAの締約国にとって、我が国と締結をするACSAに関する予見可能性を高めることにもつながり得ると考えております。
こうした点を踏まえまして、この法律案におきまして、締約国名を列挙しない形で、ACSAの国内実施法を共通規定化するということとしたところであります。
次に、国民にとって分かりやすい法制についてのお尋ねがございました。
ACSAの国内担保措置に関して、自衛隊法については、これまで相手国ごとに条文を整備していたために、自衛隊が行う物品、役務の提供の内容が一見して分かりにくい状況にありました。
今回の法改正によって、ACSAの国内担保措置に関する条文を統合して共通化することとなれば、相手国ごとに個別の条文を参照することなく、ACSAに関する国内担保措置が総覧できるようになります。
こうした点で、共通規定化によりまして、国民にとって分かりやすい法制になるものと考えております。
次に、共通化規定に当たり、日豪、日英ACSAの国内実施法制定時の課題を踏まえて、どのように検討されたのかということについてのお尋ねがありました。
我が国は、日豪、日英ACSAの締結後、フランス、カナダ、インド、ドイツと、更に四か国との間でACSAを締結をしてまいりましたが、それらのACSAでは、適用対象となる活動の範囲や提供される物品、役務の類型が基本的に同様となっております。こうしたACSAの締結の実績の積み重ねを踏まえまして、ACSAに関する国内担保措置の内容は定型化しているというふうに判断をいたしております。
また、国内実施法の共通規定化は、将来的なACSA交渉を円滑に進めるという観点からも重要であると考えております。我が国が戦後最も厳しい安全保障環境に直面をし、外国軍隊との連携強化の必要性が高まっている中で、今後、複数の国々とACSAを締結することも予期されます。共通規定化によりまして、潜在的なACSA締約国にとって、我が国と締結するACSAに関する予見可能性を高めることにもつながり、将来的なACSAの交渉の円滑化に資するものと考えております。
こうした点を踏まえて、本法案において、ACSAの国内実施法を共通規定化するとの結論に至ったところでございます。
最後に、新たにACSAが締結された場合の政府の国会への対応についてお尋ねがありました。
本法案においてACSAの国内実施法を共通規定化する理由は、これまでのACSA締結の実績の積み重ねを踏まえまして、ACSAに関する国内担保措置の内容は定型化していると判断をされるためであります。
したがって、本法律案について今国会で御承認をいただけた場合には、新たに締結されるACSAの国内担保措置は、共通規定化された国内実施法の範囲の内容になるということが見込まれます。
一方で、仮に共通規定化された国内実施法の範囲内にとどまらないものが出てきたり、法整備が必要となり国会で御審議をいただく、そういう場合は、国会で御審議をいただくことになります。
防衛省としましては、国の防衛政策について、国会議員の皆様に対する丁寧な御説明を通じて、国民の皆様の御理解を得ることは極めて重要であると考えており、こうした観点から、新しくACSAが締結をされる場合には、説明に努めてまいりたいと考えております。
以上です。(拍手)
〔国務大臣林芳正君登壇〕