城内実の発言 (本会議)
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○国務大臣(城内実君) 梅谷守議員からは、まず、AIに関するこれまでの取組の成果及び研究開発の遅れの原因についてお尋ねがありました。
政府は、これまで、我が国におけるAIの研究開発を加速するため、研究者やスタートアップ等が利用できる計算資源やAI学習用データの整備、提供などの取組を進めてまいりました。
これらにより、日本の企業が開発するAIの性能は確実に向上していると考えております。しかしながら、これまでAIの研究開発に資本や人材が迅速に集まってこなかったことや、日本語のデータが少なくAIの学習が難しいことなどにより、我が国のAI開発は後れを取っていると承知しております。
このため、我が国の研究開発力の更なる向上に向けて、本法案を踏まえ、研究開発や人材育成などの取組を推進してまいります。
次に、AI研究開発を推進するに当たっての目標、国産AIの開発の必要性、研究開発への支援等についてお尋ねがありました。
AIの研究開発に当たっては、例えば、我が国が良質なデータを保有するロボット、医療、防災等の強みを有する分野から、世界を先導する役割を果たしていきたいと考えております。
また、AIは国民生活や経済社会に密接に関係するものであることから、我が国の歴史、文化、商習慣等を日本語で学習し、正確に答えることのできるAIを開発する必要があると考えております。
こうした取組を始め、AIに関する競争力強化と安全性確保を一体的に推進するための経費として、令和七年度予算で合計一千九百六十九億円を措置したところであります。
なお、本法案が成立した暁には、AI政策の司令塔となるAI戦略本部を新たに設置し、AIの研究開発等を推進するためのAI基本計画を策定することとしております。基本計画の策定に当たっては、適切な目標について検討し、AI関係施策の基本的な方向性や政府が講じるべき具体的な施策等を定める予定であり、全ての府省庁が一丸となって研究開発の支援に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、プライバシー侵害や個人情報保護法違反のリスクについてお尋ねがありました。
プライバシー侵害などについて、一般論として申し上げれば、捜査機関において、法と証拠に基づき、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適切に対処していると承知しております。
また、個人情報保護法との関係では、これまでに、個人情報の取扱いに関する注意点等を取りまとめた「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」の公表や、個別の生成AIサービスに関して留意すべき点についての情報提供などを行っているものと承知しております。
引き続き、既存の法令等で適切に対応することを基本としつつも、AIのリスクをめぐる国民の皆様の不安や懸念があることは承知しており、今後、AI政策の司令塔機能を十分に発揮し、関係省庁との連携を一層強化することで、そうした不安や懸念を払拭できるよう、しっかりと取り組んでまいります。
次に、著作権や人格権の侵害への対応についてお尋ねがございました。
内閣府では、著作権などの知的財産権について、生成AIに関する懸念やリスクへの対応等について検討を行い、昨年五月に、AI時代の知的財産権検討会中間取りまとめ、これを公表しました。この中で、生成AIによる知的財産権の侵害リスクへの対応については、法、技術、契約の各手段を組み合わせた取組を行うことが必要であることなどを示しております。
また、いわゆる人格権のうち、例えば肖像権については、事案によって民事上の責任が生じ得ることなどが整理されております。
このように、AIの様々なリスクに対しては、個別のリスクの内容に応じて既存法や既存のガイドライン等で対応することを基本としつつ、本法案に規定された情報収集や調査等の取組を活用して、関係省庁と連携し、リスクへの対応を適切かつ迅速に行っていくことになると考えております。
次に、創作者への対価還元の仕組みについてお尋ねがございました。
AI時代の知的財産権検討会中間取りまとめでは、AIの開発者による学習データの利用に対し、創作者への対価還元の仕組みとして、一律の制度的措置を講じることは困難であるとの整理をしております。
その上で、当事者間の契約による対価還元の実現が重要であるとし、これを法的ルールや技術により担保するための方策例を示しております。
創作者が適切な対価還元を得て新たな創作活動につながる好循環を実現できるよう、関係省庁と連携しながら、引き続き、この中間取りまとめの周知を丁寧に進めてまいります。
次に、既存の法令やガイドラインの対応で権利利益の侵害から国民を守れるか、また、選挙における偽情報の対応についてお尋ねがございました。
他人の名誉を毀損する画像の作成など、AIを利用した違法な事案については、引き続き、既存の法令に基づき対処してまいります。
その上で、本法案では、国が、AIの研究開発及び活用の適正性を確保するための基本的考え方を示す指針を整備するとともに、悪質な事案に対する調査やその結果に基づく指導助言等を行うなどの措置を講じることとしております。これにより、顕在化するリスクに対して適切かつ迅速に対応できるようになるものと考えております。
また、現行の公職選挙法においては、公職の候補者に関して虚偽の事項を公表したり、虚偽の氏名等を表示して通信したりすること、いわゆる成り済ましについては罰則が設けられていると承知しております。
偽情報の拡散への対応も含めた選挙活動規制の在り方については、表現の自由や政治活動、選挙運動の在り方にも関わる問題であるため、各党各会派において御議論いただくべき事柄であると考えております。
次に、シンギュラリティーの到来する可能性についてお尋ねがありました。
シンギュラリティーについては、例えば、電力の大量消費や性能向上に必要な学習データの不足などの技術的な課題があり、その到来の有無や時期については専門家によって意見が分かれているものと承知しております。
倫理的に誤った判断をする懸念への対応など、社会的な課題があることも承知しておりますが、現時点でシンギュラリティーがもたらすリスクを明確化するには至っていないと認識しております。
いずれにせよ、本法案が成立した暁には、法に基づく情報収集や調査などによって実態や課題を把握し、必要に応じて有識者の意見も聞きつつ、関係省庁との連携の下、シンギュラリティーがもたらし得るリスクへの対応を検討していくことになるものと考えております。
次に、AI法を推進法とした理由についてお尋ねがありました。
本法案においては、イノベーションの促進とリスク対応を両立しながら、諸外国と比べて遅れていると指摘されている我が国のAIの研究開発及び活用を強力に推進することによって、国民生活の向上と経済社会の発展を目指しております。このため、本法案の名称を、基本法ではなく推進に関する法律としております。
なお、リスク対応については、AI基本計画において基本姿勢を示した上で、指針や調査、情報収集等を通じた取組を推進してまいります。
次に、人工関連技術の定義などについてお尋ねがありました。
御指摘の人工知能については、現時点で国際的に確立した統一的な定義はないものと承知しております。
本法案においては、国際的な議論の動向等も踏まえつつ、今後の技術変化にも対応できるものとなるよう、対象を広く捉えることを意図して、人工知能関連技術として定義を置いたものであります。
当該技術には、例えば機械学習、深層学習、自然言語処理等に係る技術のほか、AIが生成したことを示す識別情報をコンテンツに埋め込む電子透かしや、不適切な出力を抑止するガードレールに係る技術が含まれております。
また、お尋ねのあった、人工知能関連技術に関わる研究者や事業者の数等について、当該技術は様々な分野や場面によって活用され得る汎用性の高いものであるため、集計を行うことは困難と考えております。
また、本法案における事業者等の対象について、海外事業者であっても、日本語を用いてAIの研究開発や活用を行うなど、我が国の事業者や国民に対して事業活動を行う者は対象となります。
次に、活用事業者の責務及び罰則を設けなかった理由についてお尋ねがありました。
御指摘の法案第七条に規定する活用事業者の責務に関し、国及び地方公共団体が実施する施策への協力に係るものとして、例えば、法案第十三条に規定する指針の遵守や、第十六条に規定する情報収集、調査などへの協力を求めていくことを想定しております。
また、活用事業者の責務に関し、他の責務規定と異なり、協力しなければならないとの表現を用いた理由は、人工知能関連技術を社会に実装していくためには、同技術を活用した製品又はサービスの開発、提供などを行う事業者からの協力が不可欠であるためであります。活用事業者からの協力を政府として重視しているからこそ、そのような表現を用いております。
さらに、本法案では、現時点において顕在化しているリスクについては、既存の法令に基づき対処することが可能と考えていることから、罰則を設けておりません。
ただし、AIについては技術変化が極めて速いことから、現時点では予測できない新たなリスクが生じた場合には、関係省庁と連携しながら、必要となる法的措置を検討していくことも将来的にはあり得るものと考えております。
次に、国民の責務の具体的な内容についてお尋ねがございました。
御指摘の法案第八条の国民の責務は、国民の皆様に人工知能関連技術を適正に活用していただくためには、当該技術に対する正しい御理解と御関心を深めていただくことが重要であることから、この規定を置いたものであります。
このため、本法案においては、基本的施策の一つとして、人工知能関連技術に関する教育及び学習の振興、広報活動の充実等を国として行う旨を規定しております。
御指摘のように、AIに対する理解と関心の度合いは人によって異なるものであるため、各人が置かれている状況に応じて、可能な範囲で御協力いただくことを期待しております。したがいまして、画一的な基準によって当該責務への違反の有無を判断するものではありません。
最後に、国民の責務を規定した理由とそれによる国民への不利益の有無についてお尋ねがございました。
現在のAIは間違った出力をすることもあり、それを知らずに活用すると、被害者になることや、場合によっては加害者となってしまうこともあり得ます。
このため、先ほど申し上げたとおり、国民の皆様に人工知能関連技術を適正に活用していただくためには、当該技術に対する正しい御理解と御関心を深めていただくことが重要であるとの考えから、本法案において国民の責務を想定したものであります。
国等が実施する施策への協力については、各人が置かれている状況に応じて、可能な範囲で協力いただくことを期待するものであり、当該規定により、国民の皆様が何らかの不利益を受けることがない旨を明確に申し上げておきたいと思います。(拍手)
〔国務大臣あべ俊子君登壇〕