坂本祐之輔の発言 (本会議)

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○坂本祐之輔君 立憲民主党の坂本祐之輔です。
 ただいま議題となりました公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案、いわゆる給特法改正案について、会派を代表して質問をいたします。(拍手)
 OECD国際教員指導環境調査二〇一八年報告書によりますと、中学校教員の一週間の仕事時間の参加国平均は三十八・三時間であるにもかかわらず、日本は五十六時間と、参加国四十八か国中、最長との結果でした。そして、その最大の原因が、労働条件の最低基準を定める労働基準法の第三十七条を適用除外とした給特法であることは明らかです。
 教員の長時間労働の厳しい労働環境により、教員採用選考試験の受験者は年々減少しています。また、採用されたとしても、早期に退職する教員も多く、精神疾患による休職者は過去最高を更新する状況にあります。さらに、教員不足による業務過多な状況が長時間勤務を助長させています。教員の現状の劣悪な労働環境は、教員自身の労働問題であるだけではなく、子供たちの教育を受ける権利の侵害にも当たる重大な問題です。そして、教職員の命と健康を守ることもできません。学校の持続性がもたないという危機的状況にあります。
 このような状況下でも、学校の先生方は必死で職務を全うしようとしています。総理は、長時間勤務を強いられている今の現場の状況をどう認識されているのでしょうか。また、子供たちと日々向き合い、奮闘する教職員の姿をどのように思っているでしょうか。石破総理の答弁を求めます。
 そもそも、給特法ができる前には全国で時間外手当等請求訴訟が提起され、労働者側勝訴、自治体側敗訴の判決が続々と出されてまいりました。また、一九六三年に、人事院は、教員の超過勤務については労働基準法に従って残業時間に応じて超過勤務手当を支払うべきであるとの見解を示していたのです。ところが、教師は一般労働者と違うから超勤を支給することに問題があるとの議論が与党から起こり、結局、一九七一年に給特法が成立しました。
 その後、当時の時間外勤務八時間に相当する教職調整額四%のみで、時間外勤務に従事しても、自主的、自発的勤務とされ、労働基準法が定める三六協定や残業代支払いによる時間外勤務への抑止が機能せず、正確な勤務時間が記録されない、いわゆる定額働かせ放題とされる状況が生まれました。
 同じ教員でも、私立学校や国立大学附属校の教員については、時間外勤務等も労働時間として管理され、当該時間に応じて、労働基準法第三十七条に基づく割増し賃金が支払われています。
 二〇一九年の給特法改正の際の議論では、当時の萩生田文部科学大臣自らが、給特法などの法制的な枠組みについて根本から見直しをします、その際、現在の給特法が昭和四十六年の制定当初に想定されたとおりには機能していないことや、労働基準法の考え方とのずれがあるとの認識は見直しの基本となる課題であると受け止めており、これらの課題を整理できる見直しをしてまいりますと答弁しています。
 大臣の答弁は非常に重いものと受け止めていますが、今回の改正法案では、萩生田大臣の言うこれらの課題がどのように根本的に見直されたのでしょうか。総理の明快な答弁を求めます。
 昨年の自民党総裁選挙における石破総理の政策集の中に、「教員給与の早急な引き上げや教師の働き方改革など公教育の立て直しに全力を挙げます。」と記載されています。
 総理は、田中角栄元総理を政治の師と仰いでいらっしゃると報道等を通じて聞いておりますが、その田中内閣のときに成立、施行されたのが、学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法、いわゆる人確法です。自民党のホームページにも、「義務教育職員給与を一般公務員より二五パーセント引き上げることを内容とする「義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法」をさだめたことも、画期的な文教政策であり、田中内閣の功績として見逃すことはできません。」と記載されています。
 このような人確法の理念について、どのように考えているのでしょうか。今回の給特法改正案にはどのように反映されているのでしょうか。総理の見解を伺います。
 昨年末の予算折衝における大臣合意は、前回の法改正での萩生田文科大臣の先ほど示した答弁からは後退したものとなってしまっており、極めて遺憾です。
 合意では、将来的に教師の平均時間外在校等時間を月二十時間程度に縮減することを目指して、まずは今後五年間で平均の時間外在校等時間を約三割縮減し、月三十時間程度に縮減することを目標とするとしていますが、文部科学省の調査によると、二〇二三年度に、残業時間に相当する一か月の時間外在校等時間が四十五時間を超える中学校教員が四二・五%、八十時間を超える中学校教員が一割もいるというのが実態です。本法案では、その実態から何をどれだけ削減して月三十時間になるのかの工程表は何も示されていません。
 総理が今国会冒頭の代表質問で答弁されているように、時間外在校等時間を削減するために、授業時数の見直しや校務DXなども進めるべきですが、月三十時間に向けて、具体的にどういった業務を削減し、どのように教職員を増やしていくのでしょうか。総理の答弁を求めます。
 また、経済財政運営と改革の基本方針二〇二四、いわゆる骨太の方針二〇二四では、教職の特殊性や人材確保法の趣旨、教師不足解消の必要性等に鑑み、教職調整額の水準を少なくとも一〇%以上に引き上げることが必要などとした中央教育審議会提言を踏まえることが明記されていたにもかかわらず、結果は、文部科学省と財務省の大臣合意により、年一%の増額にとどまったのはなぜでしょうか。少なくとも、二〇三〇年度までに一〇%に引き上げることを約束していただけるでしょうか。それ以上の引上げ、若しくは早期の引上げもあり得るとお考えでしょうか。総理の答弁を求めます。
 子供の不登校、いじめの認知件数が最多を更新、また、子供の自死も過去最多となっています。子供の貧困、外国ルーツの子供、特別支援学校、学級に在籍する子供も増えています。これら複雑化、多様化する子供の課題に教職員が真摯に向き合ってきていることも、多忙化の大きな要因となっています。
 一方で、教育の内容についても、道徳の教科化、小学校からの英語教育、プログラミング教育やがん教育など、教える内容は増えるばかりで、減ることはありません。学校に課せられるものが積み重なって、子供にとってもカリキュラムオーバーロードの状態にあります。また、国連子どもの権利委員会からは、日本の競争的なシステムの是正が指摘されています。
 子供にとって、現在の授業時間数は多過ぎて大きな負担になっているという認識はあるでしょうか。また、教職員が子供と向き合う時間の確保の観点からも、業務を減らす、例えば、学力調査の在り方や部活動の地域移行、学習指導要領の内容の見直しや授業時数そのものを減らすことなどが必要と考えますが、総理の答弁を求めます。
 地方公務員災害補償基金が取りまとめた過労死等の公務災害補償状況についてによると、二〇一九年からの五年間では、公務災害認定者の職種別構成比で、脳・心臓疾患は地方公務員等の中で義務教育学校職員が一番多く、精神疾患等では義務教育学校職員が二番目に多い状況となっています。過労死等の防止のための対策に関する大綱では、過労死防止のためのポイントとして、時間外労働の上限規制の遵守徹底、過労死等の再発防止指導が挙げられています。
 公立学校は、教員に対して、給特法によって、校外実習や職員会議に関する業務などの超勤四項目を時間外勤務として命じることができる一方、それ以外の勤務は自主的、自発的勤務と整理され、持ち帰り業務の時間も計測されないことから、実際に勤務に従事している時間の把握、計測が難しく、過労死等の認定は非常にハードルが高くなっています。
 公務員の労働基準監督機能は、自治体においては人事委員会、人事委員会を置かない自治体においては首長とされています。公立学校の教員の時間外労働の上限規制を遵守させるためには監督機能が不十分と考えますが、総理の答弁を求めます。
 給特法下においても、管理職、設置者に安全配慮義務はあり、前回の法改正後、長時間労働の要因である業務過重等について管理職、設置者の安全配慮義務違反が問われている判例が出されています。過労死等の防止には、しっかりと健康確保措置、安全配慮義務が履行されることが必要と考えます。罰則等を管理職、設置者に科す必要があるのではないかと考えますが、この点について総理の答弁を求めます。
 学校の働き方改革が進まない最大の原因は、労働基準法の第三十七条を適用除外とした給特法であることは明らかです。今回、改正では、働き方改革や労働時間短縮の視点も欠如しており、改正内容は余りにも不十分なものです。少なくとも、業務削減や働き方改革を具体的に進めるための修正を行うべきです。労働基準法とのずれを早期に是正し、将来的には給特法を廃止すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
 我々が政権を預かった際には、速やかに給特法を廃止し、公立学校の職員が労働者としてしっかりと守られること、教員の超過勤務を解消し、労働環境を改善して、子供たちのための豊かな学びを保障することをお約束申し上げ、私の質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕

発言情報

speech_id: 121705254X01820250410_023

発言者: 坂本祐之輔

speaker_id: 8646

日付: 2025-04-10

院: 衆議院

会議名: 本会議