武藤容治の発言 (本会議)
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○国務大臣(武藤容治君) 小山展弘議員の御質問にお答えをさせていただきます。
米国関税措置への対応についてお尋ねがありました。
日本が一連の米国政府による関税措置の対象とされたことは極めて遺憾です。引き続き、様々なレベルで措置の見直しを強く求めてまいります。
今般の関税措置は、自動車産業を始めとした輸出産業や、国内の物づくり産業などにも広範囲に及ぶ影響が出る可能性があります。このため、経済産業省に米国関税対策本部を立ち上げ、国内産業への影響の精査と、国内の産業や雇用を守るために必要な対応の検討に着手しています。
まずは、短期の支援策として、特別相談窓口の設置、資金繰りや資金調達への支援、そして中堅・中小企業の事業強化のための支援を着実に実施することで、事業者の不安にきめ細かく対応してまいります。
また、米国の関税措置等が取引適正化の取組に影響を与えないよう、産業機械業界と自動車業界のトップに対して、私から直接、取引適正化についての要請を行いました。その他、約千七百の事業者団体に対し、各事業所管大臣からも要請を行っております。
さらに、副大臣、政務官や当省職員を現場に派遣し、現場の声を受け止めながら、国内産業への影響を速やかに把握してまいります。それらの状況も踏まえ、追加の対応の検討を行います。
政府一丸となって、今回の関税措置から国内産業や雇用を守り抜いてまいります。
次に、中小企業憲章の評価、位置づけ、アトキンソン氏の中小企業に関する提言への認識、取引適正化に関する政策方針についてお尋ねがありました。
中小企業憲章は、中小企業の重要性や役割について中小企業や国民にお示しする、いわば中小企業の経営者や従業員へのメッセージとして平成二十二年六月に閣議決定されたものです。その基本理念や中小企業政策の基本原則は、中小企業を取り巻く環境が変化する中でも普遍性を有したものと考えています。
アトキンソン氏の主張に対して政府として論評することは控えますけれども、政府が実施している中小企業政策は、事業者の数を減らすことを目的としているのではなく、経営基盤の強化などを通じて、中小企業や小規模事業者の持続的な成長や発展を促すことに主眼を置いて実施しております。
安倍政権の頃から、取引適正化の取組は着実に進めており、中小企業憲章にある公正な市場環境を整えるとの方向性に沿った取組を展開してきたと認識しています。ただし、長年にわたり続いてきた商慣行を変えようとする取組であり、一朝一夕に実現することは容易ではなく、粘り強く取組を継続することで、徐々に効果が出てきていると認識しているところです。
さらに、今回、下請法の改正を提案しており、これを着実に執行し、周知していくことで、中小企業がその力を思う存分発揮できるよう、全力で取り組んでまいります。
次に、中小企業組合についてお尋ねがありました。
中小企業、小規模事業者が個々では解決できない課題に対応するためには、中小企業組合を設立し、団結して取り組むことが効果的です。
このため、経済産業省としては、全国中小企業団体中央会を通じた中小企業組合の設立指導や運営指導に取り組んでいます。また、組合が主体となって事業者と交渉を行うことで価格交渉力を強化することができる団体協約制度の活用について、周知を強化してまいります。
次に、企業規模間の賃上げ格差についてお尋ねがありました。
日本全体で物価高を上回る賃上げが進むためには、我が国の雇用の約七割を占める中小企業、小規模事業者が、しっかりと賃上げをしていくことが重要です。
春季労使交渉の第三回集計結果によれば、全体では昨年度に引き続き五%超えとなる五・四二%、また、中小組合においても五%という高い賃上げ率となった一方で、多くの中小企業は、人手不足や物価高などの課題に直面をし、防衛的な賃上げを強いられる厳しい経営状況にあることも承知をしております。
中小企業、小規模事業者が賃上げ原資を確保できるよう、価格転嫁をサプライチェーンの深い層まで浸透させ、中小企業間でも取引が適正化されるよう下請法を改正するとともに、その内容を全国約三百三十六万社の中小企業の現場にまで浸透させるよう取り組んでまいります。
次に、価格交渉の実施状況についてお尋ねがありました。
経済産業省による二〇二四年九月時点の調査結果によれば、発注者側企業から申入れがあり価格交渉が行われた割合は二八・三%である一方、価格交渉が行われなかった割合は一三・六%となっております。
この理由として、例えば、価格転嫁を申し出れば取引の減少や失注に至るとの認識や、賃上げ分の原資は価格転嫁でなく受注者の合理化努力で賄うべきなどの声を把握しておるところであります。
今回の下請法改正で、協議に応じない一方的な価格決定が禁止されますが、下請法の執行も一層強化し、価格交渉の定着のために全力で取り組んでまいります。
サプライチェーン全体の取引適正化についてお尋ねがありました。
今回の下請振興法の改正では、複数の取引段階にある事業者が協力した取組への支援を盛り込んでおります。これにより、例えば、ティア1、ティア2、ティア3が共同で行う生産効率化など、直接の取引先との関係だけにとどまらない、サプライチェーン全体での連携を促してまいります。
また、事業者間の望ましい取引慣行を定めた振興基準においても、こうした趣旨を反映し、下請法の対象とならない取引も含めて、サプライチェーン全体の取引適正化を促してまいります。
加えて、現在、関係業界に対して、ハイレベルで取引適正化を要請しております。先日、私からも、自動車業界、産業機械業界に対して、業界挙げての取引適正化を要請しました。引き続き、こうした取組を進め、サプライチェーン全体での価格転嫁を一層推進してまいります。
次に、下請Gメンについてお尋ねがありました。
下請Gメンは、二〇一七年の設置当初の八十名から、現在では三百三十名まで増員をし、全国の中小企業の取引実態について、年間で約一万件を超えるヒアリングを行っております。
また、下請Gメンに加えて、全国各地で、小規模事業者も含めて取引実態を把握すべく、四十七都道府県に設置されました下請かけこみ寺の調査員も活用した情報収集体制も強化してまいります。
さらに、年二回の価格交渉促進月間では、約三十万社の中小企業へアンケート調査を行い、価格交渉、転嫁の状況を幅広く把握しております。
こうした様々な取組により、一社でも多くの中小企業の実態を把握し、更なる価格転嫁、取引適正化の徹底につなげてまいります。
最後になりますが、下請法の執行体制の強化についてお尋ねがありました。
今回の下請法改正では、事業所管省庁に対しても事業者へ指導する権限を付与するとともに、関係行政機関の情報連携の規定も新設をし、面的執行の強化を図ります。
具体的には、例えば、国交省のトラック・物流Gメンが、実態調査の場で下請法の観点からも指導を行ったり、調査で得られた取引情報を中小企業庁や公正取引委員会に共有をし、更に詳細な調査執行につなげることが想定されます。このように、各省庁が保有する取引情報を効果的に下請法の執行に活用してまいります。
また、中小企業庁においても、下請Gメンが把握した取引情報を、公正取引委員会や中小企業庁による下請法の執行の端緒として活用しております。こうした取組により、公取委、中企庁、事業所管省庁の連携をより一層強め、下請法の執行体制の強化を図ってまいります。(拍手)
〔政府特別補佐人古谷一之君登壇〕