浅田均の発言 (憲法審査会)
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○浅田均君 日本維新の会、浅田均です。
憲法と現実のかい離というテーマで語ることは、すなわち憲法改正の必要性を語ることにほかなりません。日本国憲法は、一九四七、昭和二十二年に施行されて以来改正されていませんが、現在に至るまでに時代の変化がもたらした憲法と現実の乖離は以下八点と考えます。
一、国民主権と国民の政治参加。
国民主権は日本国憲法の基本原則の一つですが、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」と憲法前文がうたう高揚感とは裏腹に、現実には政治参加の機会や方法に限界があり、特に若者の投票率の低さや政治的意思決定における国民の位置付けは、国民主権という原則とは大きな乖離があります。一票の較差や政治資金の問題について、すぐにでも結論を出し、国民の政治への信頼を回復させることは、国民主権の理念を再確認するためにも必要不可欠なことだと考えます。
二、基本的人権の尊重と社会の不平等。
基本的人権の尊重も基本原則の一つですが、インターネットやAIの発展などに伴って生じている新たな人権問題に十分に対応できません。プライバシー権や情報アクセスの権利など、現代の社会情勢に即した人権保護が必要です。
また、日本国憲法第十四条は法の下の平等を規定していますが、ジェンダー平等や性の多様性についての言及はありません。現代の社会では、ジェンダーの平等、LGBTQ+の現実が重要な問題となっており、これらを規定する憲法上の枠組みが必要です。
さらに、一九四七年には現在のような急速な高齢化が想定されていませんでした。日本は世界でも有数の高齢化社会であり、それに伴う年金制度、医療制度、介護サービス等を憲法上どのように支えるかが課題です。憲法第二十五条は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を規定していますが、高齢化に伴う具体的な施策への展開が求められています。
三、安全保障環境の変化。
国際社会における日本の役割が増す中で、特に国際平和維持活動、PKOへの参加や同盟国との協力の在り方について、憲法が掲げる平和主義と実際の安全保障政策を整合させることが必要です。
自衛隊が国際的な平和活動や災害救助で重要な役割を果たしている一方で、その憲法上の位置付けが明確でないことは不幸なことです。ロシアのウクライナ侵略や近年の中国の拡張政策、北朝鮮の核、ミサイルやロシア派兵問題など、東アジアの安全保障環境が大きく変化している今こそ憲法の理念と現実の乖離を埋める必要があると考えます。そうしないと、日本国憲法は日本人を守ることはできません。
四、教育の機会平等と教育格差。
憲法第二十六条は、全ての国民に教育を受ける権利を保障していますが、地域や経済状況による教育機会の格差が存在します。都市部と地方での教育環境の違いや私立学校と公立学校との間の経済的負担の差は、教育の機会平等の理念から乖離していると指摘されてきました。私たちが進めている教育の無償化は教育格差の解消を進めると考えていますが、まだまだ十分ではありません。
五、地方自治と中央集権、統治機構の硬直性。
憲法は地方自治を尊重していますが、実際のところは中央集権的な政治体制で、地方自治体の財政や政策決定における自由度は限られています。地方交付税制度や国からの補助金に依存せざるを得ない現状は、地方自治の本来の趣旨から乖離しています。日本維新の会は、憲法八章の地方自治を改正する案を提示しております。
六、情報技術とプライバシーの保護。
憲法制定時には、現在では当たり前のインターネットやデジタル技術の発展は予想されていませんでした。現代社会では、個人情報の収集、監視技術の進化によるビッグデータの活用が進んでいます。
憲法第二十一条は通信の秘密を保障していますが、デジタル時代における個人情報の収集、監視技術はどこまで認められるべきか、プライバシー権はどこまで保護されるべきか、憲法制定時との乖離をどのように埋めるべきか、憲法に則して議論することは重要な課題です。
七、グローバル化と国際関係。
憲法制定時にはグローバル化が現在ほど進んでいませんでした。現代の日本にとって、国際的な経済活動や政治的国際協力は不可欠です。
憲法が国際法や多国間協力をどのように位置付けるかが重要です。特に、憲法第九条の平和主義の解釈は、国連憲章や国際的な安全保障環境の変化を背景にし議論し直すべきです。
八、環境問題と持続可能性。
一九四七年当時、環境問題は政治的アジェンダではありませんでした。しかし、今や気候変動、カーボンニュートラル、資源の枯渇、生物多様性などのアジェンダがグローバルな課題となっています。憲法には自然環境の保護に関する直接的な条項がないため、法的に十分な枠組みがつくれないのも現実と乖離している一例です。
最後に、日本国憲法九十六条は、憲法改正の発議に国会の総議員の三分の二以上の賛成を必要とし、さらに国民投票で過半数の賛成を得る必要があります。この高いハードルにより、時代の変化に応じた柔軟な改正が難しいことも事実ですが、国民投票法が成立寸前まで来ているのも事実です。
以上でございます。