上沼紫野の発言 (内閣委員会)

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○参考人(上沼紫野君) 御紹介にあずかりました弁護士の上沼と申します。
 私は、サイバーセキュリティ戦略本部員と、あとこの法案に対する有識者検討会に入っていましたので、その際に、特に通信の秘密に関して留意して検討しておりました。その通信の秘密に関する留意点と、その留意点がこの法案においてどのように具体化されているかについてお手元の資料に基づいて御説明させていただければと思います。
 まず、三ページ目を御覧ください。
 通信の秘密に関してですが、今更申し上げるまでもないところですけれども、非常に重要な権利でありまして、表現の自由もそうなんですけれども、人の内面、内心の表れるものとして非常に重要なものとして保護されています。
 その結果、通信の秘密の保護対象ですが、四ページですね、通信に関わる全ての事実ということで、特に我が国では、通信の内容のみならず、通信の存在それ自体に関する事項についても通信の秘密として保護されています。これは、具体例でいいますと、信書の場合を念頭に置けば、封書の中身が通信の内容でして、封書の表面ですね、郵便屋さん等が御覧になる表面等も通信の秘密として保護されているということです。これをインターネット通信の場合で考えますと、電子メールの本文、件名、添付ファイル等が通信の内容、あと、通信の存在それ自体に関わる部分が、送受信日時とかIPアドレス、ポート番号等がそれに当たるということになっております。そうしますと、この二つについてはその保護レベルがそれぞれについて違うということがお分かりいただけると思います。
 それを前提に、次のページ、通信の秘密の制限における視点というものを考えていきたいと思います。
 通信の秘密は非常に重要な権利ではありますけれども、一〇〇%常に守られるものではなく、やっぱり必要最小限の制限は受けるというものです。その場合の考え方として、必要性があるかどうかというところを、通信の秘密で守られる利益、あと通信の秘密の制限により実現される利益というものを考えながら、その必要性において必要最小限度かどうかというようなことを考える必要があります。
 その際に、通信当事者の同意がありますと、それは通信の秘密として守られるレベルが割合緩和されるということになります。なぜならば、秘密ではなくなるからです。この場合の同意に関しては、包括的な同意ではなく、一般的に具体的な同意ということになっておりますので、単純に、見てもいいよと一回言ったら常に見られると、そういうものではないということになります。あと、手段についても当然考えなくてはなりませんので、目的に照らして必要な限度の制限かということになります。
 これを本法案において検討したものが次の図でありまして、実現しようとする利益が国民の生命、身体ということになります。なぜならば、重要インフラが機能を発揮しないということになりますと、国民の生命、身体が危機に冒されるわけです。なので、これは非常に重要な権利だということになります。
 それを守るための手段として、一定限度で通信の秘密を、通信の内容を利用しようと、内容じゃない、ごめんなさい、通信を利用しようとするのが本法案でありまして、次のページ、七ページを御覧ください。手段としてどういうことをしようかというと、対象とする通信は外外通信、外内通信、内外通信というものです。これは、この検討のときに考えていたのは、外国に関しては日本の国家権力の捜査等が及びませんので、この通信を見ることによってでないと実際のその調査はできないという事実があるからではないかというふうに私は考えておりました。
 その対象をこのように絞った上で、更にその情報の内容を見ていきますと、先ほどの通信の内容と存在に関わる事実というふうにして分けて考えたときに、今回対象となる情報は、見ていただければ分かりますように、コミュニケーションの本質的な内容には当たらない例というものでして、送受信日時、IPアドレス、通信量、ポート番号というようなところになっております。メールアドレスもこれに入りますが、というのは、宛先等当然入りますので、ただ、ここについては個人情報保護の観点から識別化を、識別できないように工夫すると、加工するという手段が取られております。
 さらに、ここの部分をイメージ図に、先ほどの信書の場合との比較したイメージ図でいいますと、この封書の中身は見ないけれども、宛先に類するものは見ますよというようなことになってきます。当然、宛先についても普通は見えるというものの、これを集めていくとそれなりの推知ができるところではあるので、そこを、じゃ、何らかの形で歯止めを掛けなければいけませんねということは当然入ってくるわけで、その手段として実際にどんなことをしているかというと、十ページ、まず、サイバー攻撃に関係する情報だけを自動選別しますと。自動選別がなぜ重要かというと、人が認知しないのでそこの中身をまず見ませんと、人がですね、あと、恣意的な選別を行わないというところが重要だということになります。
 さらに、その通信の秘密の侵害を防ぐための手段として、十一ページですね、不当な侵害発生を防ぐための措置というものを更にセーフハーバーとして考えるというようなことになります。このときに考え得る手段としては、事前の規制と事後の是正手段の両面から考える必要があります。
 一般的に、このとき考えていたのは、法令による規制、あと独立した監査機関による監視、あと事後的な是正ができるためには透明性の確保が要るということを考えた結果、本法案においてどうなったかというのが十二ページでありまして、まず、法令による規制ということで、目的の限定、通信の秘密の尊重、あと法令に違反、これは事後ですけれども、法令に違反した場合の措置というような形でまず事前と事後の両方が法令の中に入っております。実際に違反があった場合にどうするかということに、違反がないように、あるいは違反があったときにどうするかということで、独立機関による監視を事前、事後と両方に行うということになります。ここが特に今回重要な役割を担っているというふうに私としては考えているわけです。
 さらに、透明性の確保ですね、これは透明性確保の仕組みをつくるところは事前の措置ですけれども、実際にそこの是正を行う実効性を保つのは、この国会における報告等できちんと実際に何が行われているかということを把握するというところになってくるというふうに考えております。
 その上で、重要な役割を担う監視機関についてどういう在り方が必要かというようなことを考えてみたのが十三ページでして、まず、監視機関については、国民の通信の自由という重要な価値を守るための重要な機関ですので、独立性が確保されることがとても重要だということになります。これが、本法案では三条委員会として独立性を極めて高い形で設置されるというふうに想定されています。さらに、サイバー攻撃の対処という目的に鑑みますと、その独立監視機関というのは、専門性があって、さらに、迅速な対応ができるというところ、あと、孤高の機関であってはなかなかいろんな対応ができませんので、関係当事者との円滑な協力が必要だということになってくると思います。このような上で、三条委員会というか、独立監視機関がきちんとグリップを利かせて監視をしつつ、かついろんな情報を見るというところが本法案において非常に重要な点というふうに承知しております。
 さらに、その上で必要な重要な事項として考えておりますのは、まず国民の理解というのが非常に重要だと思っております。この場合の国民の理解というのは、自分の権利を守ることに対する正確な知識と関心です。この自分の権利というのは、通信の秘密を自分が守られているということについての知識と関心と、サイバーセキュリティーがなぜ必要かと、これにより自分の生命、身体が守られているという知識、関心、この両方がきちんと理解されていることが、この法案において、この法案が円滑に行われるための重要な要素というふうに考えております。
 さらに、サイバーセキュリティー分野に関しては変化が非常に急速な分野でございます。ですので、一旦法律を作ったら終わりということではなくて、継続的にその状況についての調査、あるいは制度が十分か、また、想定した枠組みが機能しているか、問題が生じていないかということを継続的に検討する必要があると思います。本法案においても三年後に部分について検討というのが、附帯決議じゃなかった、ごめんなさい、修正で入っていたと思いますので、その継続的な見直しについての言及がされているという点、非常に私としては有り難いことだというふうに思っています。
 私からは以上になります。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 上沼紫野

speaker_id: 13466

日付: 2025-05-08

院: 参議院

会議名: 内閣委員会