岩渕友の発言 (本会議)
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○岩渕友君 私は、日本共産党を代表して、いわゆるラピダス・半導体支援法案について武藤経済産業大臣に質問いたします。
初めに、物価高騰に加え、トランプ関税が国民生活と地域経済を直撃しようとしている問題について伺います。
赤澤担当大臣がまさに交渉に臨もうとしていますが、トランプ大統領は日本に対して、自動車や農産物を受け入れない、日本が日米安保条約にただ乗りしていると不満を表明し、一方的な関税引上げで脅しを掛けています。しかし、トランプ大統領の言い分には根拠がなく、日米貿易協定に反し、経済主権を侵害する暴挙です。同時に、トランプ氏が仕掛ける貿易戦争は、他の同盟国を含む各国とのあつれきを強めています。
今こそ、日米同盟絶対だと卑屈に従うような関係を改め、日本だけは対象から外してほしいというお願い外交ではなく、各国と協力して国際世論で包囲し、全面撤回を迫るべきではありませんか。同時に、地域経済や下請中小企業への影響をつかみ、雇用と中小企業を守ることに全力を尽くすことが必要ではありませんか。そして、暮らしと営業を守るために最も効果的な消費税の五%減税を決断するべきではありませんか。
以下、法案について質問します。
一九八〇年代、世界の半導体市場の五割を占めていた日本に対し、半導体産業が被害を受けていると主張するアメリカに押し付けられるままに日米半導体協定が締結されました。協定によって日本市場における海外製品のシェアを二割にするという目標が設定され、それが日本の半導体産業の衰退のきっかけとなりました。
その後、政府主導の経営統合で半導体メーカーのエルピーダメモリが設立されましたが、リーマン・ショックに端を発した世界的な金融経済恐慌に対応するための緊急異例の措置として、産業活力再生特別措置法、産活法が改定され、民間企業への公的出資を可能としました。
しかし、実際に出資されたのはエルピーダメモリだけです。四百億円の公的資金が投入されましたが経営破綻し、負債総額四千四百八十億円のうち二百七十七億円が国民負担となりました。ところが、その責任を誰一人取っていません。こんなことがあっていいのでしょうか。その責任は、法律を変えてまで異例の公的資金投入を進めた経産大臣、経済産業省にあるのではありませんか。エルピーダメモリの破綻に誰も責任を取らないまま、特定の半導体企業に巨額の公的資金を投入し、本法案で更に拡大、恒常的に投入できるようにしていいのでしょうか。
半導体関連予算は、二〇一九年度以降、約五・八兆円が経産省の基金に投入されています。さらに、昨年十一月に閣議決定した総合経済対策には、AI・半導体産業基盤強化フレームで、二〇三〇年度までに十兆円以上の公的支援を行うことが盛り込まれました。その中でも特に巨額の公的支援を受けるのがラピダスです。
本法案は、二ナノの最先端半導体を指定高速情報処理用半導体に指定し、公募により一者を選んで生産を支援するものですが、対象になるのはラピダスしかありません。ラピダスには既に最大九千二百億円の支援が決定し、三月三十一日、経産省は追加で最大八千二十五億円の支援を発表しました。本法案で更に一千億円が出資されることになります。武藤大臣が兆円規模の補助金を措置した事業はないと認めたように、これほど巨額の公的資金が一社に投入されたことはかつてありません。
ラピダスは、四月一日から試作ラインが稼働し、二七年の量産開始を目指すとしています。研究開発と試作に二兆円、量産化に三兆円必要だとしていますが、同社への出資企業はトヨタ自動車など八社で七十三億円にとどまっています。交渉中とはいうものの、いまだに顧客は一社も決まっていません。これで投資コストを回収できるのでしょうか。回収できるとは到底思えません。
仮にラピダスが失敗をしたら、エルピーダメモリどころではない国民負担になりかねません。そうならないと言えますか。また、失敗した場合の責任は誰が取るのでしょうか。ラピダス出資企業の内部留保は出資額の一万倍となる七十三兆円に上っており、失敗した場合の責任は国民ではなく、出資企業が負うべきではありませんか。
本法案には、補助金適正化法では規定されている収益納付規定もなく、特定の企業への異例の優遇措置であり、看過できません。
ラピダスには会長と社長以外に十二名の個人株主がいますが、株主について明らかにされていません。ラピダスは二〇三〇年にIPO、株式上場を目指しており、株式が上場されれば巨額の利益を得る可能性があります。巨額の公的資金が投入されているラピダスが株主の情報を明らかにするのは当然です。情報を明らかにすることを個人株主が拒否しているのですか。明らかにするよう求めるべきではありませんか。
ラピダスは、アメリカのIBMから技術提供を受けています。IBMは、米国防総省との強いつながりがある企業です。国防総省が発行する二〇二一年次産業能力報告書では、国防総省の発注する電子機器は商用のものと比較して生産量が少なく、企業は国防総省向けに生産する意欲を失っているとあり、米軍兵器に使用される最先端半導体のサプライチェーンの台湾依存を危険視して、日本との共同製作についても言及しています。
二〇二二年十月十日から十六日、経産省の幹部が訪米し、IBM、国防総省と懇談しています。衆議院で我が党の辰巳孝太郎議員が、ここでラピダスが作る半導体の軍事利用について話したのではないかと出張記録の提出を求めましたが、何を話し合ったのかという肝腎の部分は全て黒塗りになっていました。何を話し合ったのか、明らかにするべきではありませんか。
ラピダスの東哲郎会長は二〇二三年十月、重要な部分は国防の領域、そういう半導体を我々はまずアメリカのお客さんに届けることをやっていかなければならないと述べています。
ラピダスが作る半導体の軍事利用について、武藤大臣は衆議院で、ラピダス社から現時点では軍事への利用は想定していないと聞いていると答弁していますが、ラピダス社は軍事利用を否定していないということです。大臣はさらに、政府がラピダスの将来の販売先について制限を課すことは、支援の目的や営業の自由等の観点から慎重であるべきと答弁しています。結局、政府、経産省がデュアルユース、軍民両用を含め軍事利用を容認しているということではありませんか。
二月十日、私たち党国会議員団は、党道議団、党千歳市議らとラピダスの工場を訪問し、関係自治体や地域住民の方々と懇談してきました。土地の開発、地価高騰、雇用、工業用水、排水やPFAS問題、泊原発再稼働など、様々な懸念と不安の声を伺いました。TSMC熊本工場の問題とともに、関係者の切実な声や懸念に十分耳を傾けるべきではありませんか。
経済安保の名の下に、米国に従属し、特定の企業に際限なく税金をつぎ込む産業政策では、真の半導体産業支援にはなりません。特定の国を敵視する政策をやめ、日本の強みである半導体装置や素材産業、それを支える中小企業をきめ細かく支援する政策に転換するべきだということを求めて、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣武藤容治君登壇、拍手〕