柴田巧の発言 (本会議)
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○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりましたサイバー安全保障関連二法案について、石破総理に御質問をいたします。
サイバー空間における他国による攻撃の脅威は、我が国においても急速に高まっています。国民生活がサイバー攻撃によって脅かされる事態が実際に目の前で起きている今、重要インフラに対するサイバー攻撃をいかに未然に防ぎ、国民の大切な情報をいかに守るかは、国家の存亡に関わる事態と言っても過言ではありません。
そういう中、本法律案は、我が党がかねてから強く早期提出を求めてきた能動的サイバー防御を実現する法案と理解しています。衆議院において、官民連携の強化策のほか、通信情報を利用するに当たって憲法に定められる通信の秘密との関係をどのように考えるか、また、アクセス・無害化を行うに当たって国際法との関係をどのように整理するのかといった既存の法体系との関係で多岐にわたる論点がありました。
そこで、衆議院での議論を踏まえ、実効性ある運用をどのように確保し、我が国のサイバー対処能力をいかにして強化していくかという観点から、以下お伺いをいたします。
まず最初に、衆議院での修正についてお尋ねをします。
本法案では、通信当事者の同意によらない場合であっても、重要なインフラ機能がサイバー攻撃によって損なわれることを防ぐ高い公益性があること等の場合に限って、公共の福祉の観点から、通信の秘密の保障の例外として情報が取得、分析できるものとなっています。
当然ながら、このような措置が憲法の保障する国民の権利と自由を不当に制限することのないよう、政府原案においても、第六十一条において、サイバー通信情報監理委員会は「毎年、内閣総理大臣を経由して国会に対し所掌事務の処理状況を報告するとともに、その概要を公表しなければならない。」とされていました。
しかし、条文上に具体的な項目が明示されていなかったため、我が党は、この規定は曖昧で不十分であるとみなし、条文に国会への報告が必要な項目を具体的に列挙して明記する修正案を各党に提案をいたしました。最終的に、我が党が提案した該当事項の承認件数やその概要という案に与野党の意見がまとまったことから、与野党六会派の共同で今回の建設的な修正に至りました。
そこで、衆議院での本法案の修正についての評価と、この修正を受けて、通信の秘密の保障や国会による民主的統制をいかに担保するのか、併せてお伺いをします。
次に、官民連携についてお尋ねをいたします。
本法律案では、情報共有、対策のための官民協議会の設置について定められていますが、官民の協議会におけるセキュリティークリアランス制度の活用による官民の情報連携や情報管理が重要になってきます。
また、同盟国、同志国との情報連携も重要であると考えられますが、それらの国とギブ・アンド・テークの関係を構築するには、内閣サイバーセキュリティセンターを発展的に改組して設置するとされる国家サイバー統括室(仮称)を始めとした関係部局職員のインテリジェンス能力の向上が欠かせないのではないでしょうか。
そこで、官民の協議会におけるセキュリティークリアランス制度の活用による官民の情報連携の強化や適切な情報管理にどのように取り組むのか、また、我が国のインテリジェンス能力の向上をいかに図るのか、併せてお伺いをします。
サイバー対処能力強化法案の第十二条では、基幹インフラ事業者以外の事業者等との協定が規定されており、同規定に基づき、医療機関が内閣総理大臣と協定を締結することは可能な仕組みとなっていますが、医療機関を狙ったサイバー攻撃が多発していることを鑑みれば、医療を経済安全保障推進法の基幹インフラの対象事業に追加した方が整合的であると考えます。
令和六年の常会で経済安全保障推進法の改正案が審議された際の参議院内閣委員会でも、「医療DXの推進に関する取組を実施していく中で、セキュリティ対策の強化を図りながら、引き続き基幹インフラ制度の対象に追加することを精査、検討すること。」といった附帯決議が付されてもおります。
そこで、経済安全保障推進法の基幹インフラの対象事業に医療を追加する必要性についての見解、そして同法のこの附帯決議案等を踏まえた政府の検討状況について併せてお伺いをいたします。
サプライチェーンには中小企業も組み込まれているため、サイバー攻撃に対する社会全体の強靱性を高める観点からは、セキュリティー対策が遅れている中小企業の対策が急務です。そこで、対策を前進させるためには政府による実効性の高い支援が必要ですが、今後どのような支援を行っていくのか。
また、三月十八日の衆議院本会議の総理答弁において、基幹インフラ事業者と取引のある中小企業にも官民の協議会に参加してもらうことを可能とする規定を設けていることが示されました。そして、それにより、サイバーセキュリティにつなげてもらうことを期待しているようでありますが、このような中小企業がどれぐらい官民の協議会に構成員として参加することを見込んでいるのか、併せてお伺いをします。
次に、通信情報の利用についてお尋ねをします。
今回の法案では、通信情報を利用して収集をした情報等を基に内閣府が総合整理分析情報を作成し、行政機関や基幹インフラ事業者に提供することとされています。総合整理分析情報の基となる情報としては、本法案に基づく情報以外の情報も活用して有用な情報としていく必要がありますが、どのような情報を使うことができるのか。また、同盟国、同志国からの情報提供、警察がサイバー犯罪捜査のための国際連携の中で得た情報、さらにはインテリジェンス情報なども活用していく必要があると考えますが、どうか、併せてお伺いをします。
国家安全保障戦略では、これまでのNISCを発展的に改組することとされ、本法案では、内閣官房に内閣サイバー官を新設して総合調整権限を強化するとともに、通信情報の利用に関する事務は内閣府が担うこととされています。
そこで、内閣官房と内閣府の新組織がそれぞれどのような権限を持ち、どのように連携してサイバーセキュリティ分野の対処能力の向上につなげていくのか、お伺いをいたします。
続いて、アクセス・無害化措置についてお尋ねをします。
本法案によって違法性が阻却される範囲は、不正アクセス禁止法に違反する行為が該当することは想定されますが、その他どのような行為にまで法令行為に該当することが認められるかという整理は行われているのでしょうか。事案ごとに措置の内容は異なるとはいえ、現場で措置を行う職員がちゅうちょして必要な対応を行うことができない事態を避けるためにも、判断基準や行ってよい措置の限界を一定程度整理しておくべきではないかと考えますがどうか、お伺いをいたします。
本法案についての政府の説明によると、アクセス・無害化措置は、国家安全保障会議において総論的な意思決定があり、その後、個別の措置について、警察、自衛隊の役割分担等を内閣官房が決定するとされています。
こうした流れは、アクセス・無害化の個別事案の対応を開始するときには当てはまると思いますが、その後、事態が進行していく段階ではどのように対応していくのか。衆議院での答弁では、内閣官房の新組織が実務上の司令塔機能を発揮し、サイバー安全保障担当大臣の指導の下、個々の措置の総合調整を行うとしています。
この点、例えば、当初は警察が対応することとしたが、事態が変化して自衛隊の対応が必要となる場合などにおいても、内閣官房による総合調整を行うことが困難にならないよう、内閣官房としても措置の状況を把握しておく必要があると考えますが、どのように対応していくのか、お伺いをします。
衆議院では、アクセス・無害化に当たって、国際法の観点から外務大臣と協議を行うことについて質疑が行われました。その中では、国際法上許容される範囲内で措置を行うとはしながらも、主権侵害に当たり得るかどうかは個別具体的な状況等に照らして判断する必要があり、一概に答えることは困難である旨、政府は繰り返し答弁をしています。事案によっては外国政府と情報を共有して連携して対応するなどの方法があり得るとはいえ、国際法上の観点の判断次第では、運用に慎重を期するばかりに期待した成果が得られない可能性があると考えられます。そこで、国際法の観点を判断するに当たってどのような姿勢で臨む方針か、お伺いをいたします。
最後に、この度の法案は、国家におけるサイバー安全保障に不可欠な最小限の法整備に着手したにすぎません。サイバー攻撃は今後ますます高度化、巧妙化していくことが予想されます。日本維新の会は、これからも国民の生命と財産を真に守ることのできる政策を積極的に提案し、実現していく決意であることを明確に申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕