石破茂の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○内閣総理大臣(石破茂君) 井上哲士議員の御質問にお答えを申し上げます。
 米国の関税措置に関する日米協議についてお尋ねがございました。
 今般の協議における議論の詳細につきましては、外交上のやり取りであり、言及は差し控えますが、同盟強靱化予算につきましては、日米両政府の合意に基づいて適切に分担されていると考えております。また、我が国の防衛費の在り方につきましては、我が国が主体的に判断をいたします。
 サイバー対処能力強化法案の必要性についてでございますが、近年、機微情報の窃取、重要インフラの機能停止等を目的とする高度なサイバー攻撃に対する懸念が急速に高まっております。国家を背景としたサイバー攻撃も日常的に行われるなど、安全保障上の大きな懸念にもなっております。
 昨今、サイバー攻撃の実行者は、マルウェアに感染させるなどして乗っ取った多数の通信機器を組み合わせ、攻撃用のインフラを構築した上で、攻撃者を隠蔽しながらサイバー攻撃を行うことが常態となっております。
 こうした巧妙な手段による、手法による重大なサイバー攻撃に的確に対応いたしますためには、我が国におきましても、欧米主要国と同様に、法律により一定の要件を定め、独立機関の承認や検査などにより事務の適正性を確保した上で、必要最小限の範囲で通信情報の取得、分析や、攻撃サーバー等へのアクセス・無害化措置を行うといった能動的サイバー防御の制度を設ける必要性があると、このように考えております。
 当事者協定を締結した基幹インフラ事業者の通信相手等への配慮と政府が取得した通信情報の自動選別についてのお尋ねです。
 サイバー対処能力強化法案におきましては、事業者と協定を結び又は電気通信事業者の協力を得て政府が通信情報の取得、分析を行う際に、その事実を公表する規定は設けておりません。
 しかし、政府が取得した通信情報につきましては、重大なサイバー攻撃に関係があると認めるに足りる機械的情報のみを自動的な方法により選別し分析対象とすること、コミュニケーションの本質的内容であるメールの本文やIP電話の通話内容などの情報は何ぴとにも閲覧等されることなく消去すること、独立性の高いサイバー通信情報監理委員会が法の遵守状況について検査を行うことなどを規定いたしております。したがいまして、御指摘のような恣意的な選別が行われることはなく、通信当事者の権利にも十分に配慮した制度としておるところでございます。
 本法案により取得した通信情報の目的外利用についてのお尋ねです。
 本法案では、事業者との協定に基づき政府が取得した通信情報につきましては、当該事業者の同意があれば、一定のサイバー攻撃の被害を防止する以外の目的で利用、提供することができることといたしております。
 この目的外利用、提供の規定は、サイバーセキュリティ対策に資する分析を行うため、協定当事者の同意を得て、関係行政機関のほか、サイバー攻撃の動向について知見を有する民間のセキュリティー会社等に通信情報を提供し、利用することなどを想定しているものでございます。
 この規定に基づき通信情報を提供する場合でありましても、当該通信情報は、何ぴとも閲覧等ができない自動的な方法によって選別した重大なサイバー攻撃に関係すると認めるに足りる機械的な情報に限られており、その中にサイバー攻撃と関係のないユーザーの情報などが含まれることはございません。このため、御指摘のような御懸念は当たりません。
 サイバー通信情報監理委員会についてでございますが、お尋ねのサイバー通信情報監理委員会は、事業者の同意によらずに通信情報を利用する場合の事前の審査や、通信情報の取扱いに関する規定が遵守されているかどうかの継続的な検査などを行う組織であり、憲法で保障された国民の基本的な人権である通信の秘密への十分な配慮等を担保する上で極めて重要な役割を果たすものでございます。
 この委員会は内閣府の外局ではございますが、いわゆる三条委員会として、ほかの行政機関と同等の立場で審査や勧告等を行うことができるものであり、委員長と委員が独立して職権を行うことが法律で明確に定められております。この委員会の委員長と委員は国会の同意を得て任命され、また、任命された後は、拘禁刑以上の刑事罰に処されるなどの法律で定められた事由がなければ罷免されることはございません。したがいまして、委員会の独立性は十分に確保されており、御懸念は当たらないものでございます。
 アクセス・無害化措置の違法性阻却についてでございますが、これまでの国連における議論の結果、国連憲章全体を含む既存の国際法がサイバー行動にも適用されることが確認されております。
 サイバー行動に適用される国際法について、自国の詳細な立場を対外的に明らかにしている国は一部にとどまり、他国の立場を包括的に示すことは困難でございますが、例えば、フランス、ドイツ、オランダ、コスタリカ、EUといった国や地域がサイバー行動に関する緊急状態の適用可能性について対外的に言及していると承知をいたしております。
 また、いわゆるタリン・マニュアルは、サイバー行動に適用される国際法に関する研究の成果として専門家によって作成された文書であると、このように承知をいたしております。
 その上で、サイバー行動の国際法上の評価につきましては、個別具体的な状況に応じて判断されますため、一概にお答えすることは困難でございます。
 いずれにいたしましても、我が国が国外に所在するサーバー等に対してアクセス・無害化措置を行うに当たっては、違法性阻却事由として緊急状態を援用する場合を含め、外務大臣との協議を通じて、国際法上許容される範囲内で措置を行うことを確保いたしてまいります。
 アクセス・無害化措置の導入経緯についてでございます。
 国家を背景とした高度なサイバー攻撃への懸念の拡大等を踏まえますと、我が国のサイバー対処能力の強化は喫緊の課題でございます。
 このため、国家安全保障戦略に基づき、国、重要インフラ等に対する安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃の発生又は予兆を認知した場合に、その被害の未然防止又は拡大防止のため、アクセス・無害化措置を導入することといたしたものでございます。
 我が国全体のサイバー対処能力の強化を目的として我が国として主体的に判断したものであり、御指摘は当たらないものでございます。
 アクセス・無害化措置が武力攻撃や先制攻撃とみなされる危険性についてのお尋ねです。
 アクセス・無害化措置は、比例原則に基づき、重大なサイバー攻撃による危害の防止のために必要最小限度の措置として行うものであり、措置の対象となるサーバー等に物理的被害や機能喪失等、その本来の機能に大きな影響を生じさせることは想定いたしておりません。
 こうしたことから、今回整備するアクセス・無害化措置は、そもそも武力の行使と評価されるものではなく、武力攻撃や先制攻撃とみなされるようなものではございません。また、我が国に所在する米軍が使用する特定電子計算機の警護のための自衛隊による措置につきましても同様のものであり、武力攻撃や先制攻撃とみなされるものではございません。
 以上でございます。(拍手)

発言情報

speech_id: 121715254X01420250418_025

発言者: 石破茂

speaker_id: 20757

日付: 2025-04-18

院: 参議院

会議名: 本会議