鬼木誠の発言 (本会議)
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○鬼木誠君 立憲民主党の鬼木誠です。
立憲民主・社民・無所属会派を代表し、ただいま議題となりました災害対策基本法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
今年は、阪神・淡路大震災から三十年の節目に当たります。阪神・淡路大震災以降も、東日本大震災を始め、多くの地震、豪雨、雪害など日本各地で経験し、そのたびに私たちは自然災害から多くのことを学んできました。
犠牲を伴い得た知見は次の災害に備える糧となり、被災経験は国や地方公共団体で共有をされ、共通知としての貴重な財産となっており、発災直後の初期対応や避難所運営の在り方など、様々な面でも改善が行われてきました。
しかし、これだけ多くの災害を経験をしながら、新たな災害に見舞われると、学べなかったこと、学びを生かし切れていないことがまだまだ多いことに気付かされます。
過去の災害から私たちは何を学び、何を学べなかったのかを真摯に問い直すとともに、現在進行形の災害と向き合い、次の災害に備える、そのことがこの法案を審議する基本的な姿勢でなければなりません。
その立場から質問をいたします。
初めに、災害避難所の環境について伺います。
これまでの災害を見ると、被災者は多くの場合、体育館などのスペースに雑魚寝で過ごし、段ボールベッドや簡易トイレ等が足りず、仮設トイレは不衛生であるなど、物資、設備の面で良好とは言い難い環境であったと思います。
この状況は能登半島地震においても大きく改善されてはおらず、地震の直接的な被害で亡くなった方の数よりも、その後、避難生活を送る中で亡くなられた方、災害関連死された方の方が数多いことがその証左であり、この事実を重く受け止めなければなりません。
現行の災害対策基本法では、国等は、被災者の心身の健康の確保、居住場所の確保など、被災者の保護等に関する事項を実施するとともに、安全性及び良好な居住性を確保した避難所を供与し、食糧、衣料、医薬品等の物資の配布や保健医療サービスの提供を行うなど、被災者の生活環境の整備に必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととされています。
石破総理は、災害の被災者が避難所等で尊厳ある生活を送るための国際的指標であるスフィア基準を踏まえた避難所運営を指示し、地方公共団体に対して通知をしている避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針、避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン、避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインがそれぞれ改定をされました。
この取組指針やガイドラインは自治体がなすべきことが詳細に記載をされており、優れた文書だと思いますが、他方で、全ての自治体でこの指針に基づいた対応ができるかという点は大いに疑問です。自治体の人員不足、財政の厳しさは政府も十分御存じだと思います。
この間の災害においては、多くの場合、市町村や社会福祉協議会などの避難所の運営に携わる職員も自らが被災をされており、家を失い、自分自身も避難生活を続けるという環境にありながら、昼夜を分かたず、ほとんど不休で復旧に向け努力をされているという状況でした。他方で、市町村の人員や財政の状況によって避難所運営の在り方が異なるという課題も指摘をされています。このような状況は何としても改善しなくてはなりません。
これら居住空間の快適性の追求という点については、新しい地方経済・生活環境創生交付金において、快適なトイレや簡易ベッドなど避難所の生活改善等に対して交付金による支援がなされるなど、政府としても対応をいただいていることは承知していますが、全ての自治体で取組指針やガイドライン等にのっとった対応が行えるようにするためには継続的な人的、財政的支援が更に必要です。
取組指針等を実効性あるものとするための坂井大臣、村上総務大臣の見解をお伺いします。
具体的な課題として、避難所の状況の改善についてお尋ねします。
技術の進歩により、現在は空気で自立し、支柱が要らず、気密性、耐寒性が高いエアーテントや、迅速に運搬可能な住まいであるトレーラーハウスも開発をされています。トイレカー、キッチンカー、ランドリーカー等の災害対応車両も含め、避難所の環境改善に向けた新技術の導入は不可欠だと考えますが、これらが全国に行き渡るだけの供給量は確保できるのか、そのためにはどの程度の時間が掛かる見込みなのか、坂井大臣にお伺いをします。
地方公共団体における備蓄の充実に向けた国の対策について伺います。
災害対策基本法改正案では、地方公共団体の長に対し、毎年一回、物資の備蓄の状況を公表するよう義務付けることとしていますが、地方公共団体の財政状況により備蓄状況に差が出るようなことがあってはなりません。必要に応じた国からの支援が必要と考えますが、国において優先的に備えるべき物資の品目、量の目安を示すなど、備蓄の確保に向けた指針の作成等も課題です。国からの財政的支援や指針の作成等の取組を実施する計画があるのか、坂井大臣にお尋ねします。
我が国では、避難所の運営は基本的に地方公共団体等が行いますが、日本と同じく地震の多いイタリアでは、大規模災害が発生した場合、国が中心となって調整役を担い、NPO団体等と協力しながら、被災地に物資を送り込み、避難所を運営するシステムが取られています。
政府は、防災庁について、二〇二六年度中の設置に向けて現在調整、検討を進めているものと承知をしています。この防災庁は、様々な面で被災自治体を支援する、国としての関わり方を強くするために設置するものと理解をしていますが、防災庁が担う役割について赤澤防災庁設置準備担当大臣にお尋ねします。
災害時には、不安定な生活環境や避難生活の長期化等により、被災者が体調を崩されるケースが多く発生します。こうした状況を防ぎ、避難生活の環境改善に資するよう、これまでも、災害派遣福祉チーム、DWATを中心として、福祉関係者が被災地に赴き、避難所の内外で、被災された高齢者や障害者等の方々に相談支援や見守り、生活支援などの福祉的支援を行ってこられました。
しかし、これまでの災害救助法では、救助の定義に福祉的支援は含まれておらず、災害救助法に基づいて措置される救助活動に掛かった費用の支弁を受けられないケースがあるなど、以前から問題が指摘をされてきました。
今回の災害救助法改正案では救助の対象に福祉サービスの提供を加えることとされており、その点は評価するものですが、本改正案では、同時に、これまでの従事命令の対象に新たに福祉関係者を加えることを定めた上で、従事命令に従わない場合は六か月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処されることとされていることには全く納得ができません。
福祉的支援については、福祉の専門家が現場で得た情報等を基に自ら判断し、自発的に動くことでその特性と効果が発揮されるもので、罰則付きの従事命令で縛ろうとする発想は、福祉に携わる皆さんの心情や現場実態を全く理解していないと言わざるを得ません。福祉関係者については罰則の対象から除外すべきと考えますが、坂井大臣の見解を伺います。
また、能登半島地震においては、福祉避難所として指定又は協定を締結をしていた施設が被害に遭い、職員等も被災したこと等により、福祉避難所の開設が一部にとどまることになりました。そのため、福祉避難所としての指定を受けていない施設であっても、高齢者等の避難者受入れを行った施設については、一定の要件を満たすことで福祉避難所とみなし、設置、管理及び運営等に必要な経費を求償の対象とする対応が取られました。
しかし、本来の福祉避難所等のサービス機能が回復するまでには長期にわたり広域避難が余儀なくされることとなるため、避難者が福祉サービスの提供を希望する間は災害派遣福祉チームによる切れ目のない継続的な支援が必要です。災害救助法に基づく福祉サービスを提供する期間の考え方について、坂井大臣の見解をお尋ねします。
次に、NPO、ボランティア団体等の登録制度についてです。
今回の改正案では、地方公共団体等において、事前に災害支援を行うボランティア団体等の情報が把握できるよう、当該団体の登録制度を設けることとしています。この登録を受けるためには支援業務について相当の実績を有することが要件の一つとされていますが、相当という基準の内容は明らかにされていません。登録基準がはっきりしていなければ、登録を希望する側もちゅうちょをしてしまいます。何をもって相当の実績があると判断するのか明確に示すべきであり、今後詳細を定めるというのであれば、ボランティア団体等からも納得が得られる明確な基準を定めることが求められると考えますが、坂井大臣の見解を伺います。
あわせて、経験が少ない団体や個人のボランティアが登録を受けられないことにより、情報提供等の面で不利益を受けることがないよう配慮も必要だと考えます。坂井大臣の見解を伺います。
また、心身の障害により業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるものが団体の役員である場合には、その団体は登録が受けられないとされています。これでは、心身の障害を持つ人が団体の中心となって援護活動を行う道が閉ざされることとなり、問題があると考えますが、坂井大臣の見解をお尋ねします。
さらに、登録を受けた団体は、被災者支援業務を行うに当たり、業務を適切に行うため、内閣府令で定める基準などに適合した活動をしなければならないこととし、これらに違反していると認められる場合は、内閣総理大臣から業務改善命令が発せられる可能性があります。
ボランティア活動は、自主性を持って機動的に活動できる点が強みです。登録を受け、国の監督下に置かれることによって、活動にマイナスの影響を及ぼす、自主性が制限され、活動の萎縮を招くのではないかと懸念を抱くものですが、坂井大臣の見解をお聞かせください。
最後に、地方公共団体による防災DXへの支援策について伺います。
能登半島地震の際には、石川県において、能登地域の全住民約十二万人の被災者データベースが構築されました。被災者が市町村を超えて避難する場合などにおいては市町村の行政サービスが行き届かなくなるおそれがあり、被災者の所在地や要介護など要配慮事項を記録したデータベースを活用することで、市町村をまたいだ被災者の見守りや支援につなげることができると考えます。
改正案においても、国の機関や地方公共団体の長などは、被災者に関する情報の把握や情報提供に当たり、情報通信技術等の活用に努めなければならないことにしていますが、DX人材の確保、費用の面で全ての地方公共団体がこうした対応を取ることはできません。防災DXを進めるため、国としての地方自治体支援が欠かせないと考えますが、どのような支援、対策をお考えか、坂井大臣、村上大臣に伺います。
今後、南海トラフ、首都直下型地震、これまで経験をしたことがない大災害に見舞われる可能性が極めて高いと言われています。防災・減災に向けた取組、被災時の対応改善に向けては、一刻の猶予もない現在を捉え、取組を進めなければなりません。
想定外だったという言葉を絶対に発さないために、あるべき防災対策、災害支援を実現するため、立憲民主党として力を尽くすことをお約束をし、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣坂井学君登壇、拍手〕