石川大我の発言 (本会議)
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○石川大我君 立憲民主・社民・無所属の石川大我です。
私は、会派を代表し、日本学術会議法案について質問をします。
まず、法案の経緯についてお尋ねします。
本法案は、七十六年にわたり続いてきた日本学術会議の在り方を根本的に変えるものです。二〇一五年に出された日本学術会議の新たな展望を考える有識者会議の報告書は「現在の制度は、日本学術会議に期待される機能に照らして相応しいものであり、これを変える積極的な理由は見出しにくい。」と述べています。十年ほどの間に組織の根本的な変更を必要とする事情の変化が果たしてあったのか、坂井大臣に伺います。
今月十六日、二〇一八年の安倍政権下で任命拒否を可能とした法解釈の内閣法制局審査資料の墨塗りについて、東京地裁が違法と断じ、全ての箇所を開示すべきと判示しました。判決は文書を従来の運用を大きく変えるものとし、墨塗り箇所について、公開される公益性は極めて大きいと述べています。しかし、これに対し国は、あろうことか二十六日に東京高裁に控訴をしました。
坂井大臣に質問します。黒塗り箇所は、任命に関する考え方、すなわち総理が任命拒否できる場合の法解釈が書かれているはずですが、具体的にどのような任命拒否の要件が書かれているのでしょうか。お答えください。また、その考えは、政府が答弁してきた二〇二〇年の菅総理による任命拒否の総合的、俯瞰的との判断の根拠となっているものなのですか、あるいは、それとは関係のないものなのですか。お答えください。
二〇一八年十一月十三日の最終の解釈文書では、十月三十日の審査で形式的任命の概念が破棄されたことにより、墨塗り箇所も削除され、任命拒否の要件が何もない無限定な解釈となっています。墨塗り箇所が開示されない限り、菅総理の六名の学者の任命拒否の正当性の判断はできず、改正法案の審議の前提を欠くのではないでしょうか。坂井大臣、見解をお示しください。
また、これに関して、十月三十日以前の内閣法制局審査資料には、菅総理の任命拒否が違法であることを政府が自白する文章があります。例えば、内閣総理大臣に拒否の権能はない、総理の任命行為は形式的なものと解している、実質的な任命権は日本学術会議にあり、などの文言です。
坂井大臣に伺います。これらの文言を削除した理由はなぜですか。また、一般論として、これらの見解は政府の現行の学術会議法の解釈と整合するのですか、それとも誤った解釈なのですか。お答えください。
更に重要な問題を指摘をします。
各資料の墨塗り箇所は、総理の任命拒否の要件などが記載されている、すなわち、総理の学術会議への問題意識の根幹が記されているはずです。これらは、今回の改正案において、総理の任命である監事や評価委員、さらには総理が指定する設立委員についての総理の判断基準の根幹であるはずです。これが記載された墨塗りの開示なくして改正案の審議は許されようがありません。また、政府は、先週の二十三日に改正法と現行法の法解釈は関係がないなどと答弁していますが、政府の学術会議への関与の問題意識は変わらないはずです。なぜ関係がないと言えるのか、坂井大臣、具体的に御説明ください。
これに関係して、衆議院の審議の際に坂井大臣は、党派的な主張を繰り返す会員は学術会議が解任できるといった答弁を行いました。学術会議が判断するとは言っているものの、何が党派的な主張に当たるかの判断は難しく、そうした判断自体が党派性を帯びることにもなりかねません。このような仕組みは、形を変えた任命拒否です。
坂井大臣の党派的な主張を繰り返す会員は学術会議が解任できるという答弁の判断が本当に可能とお考えなのか、また、そもそも党派性を理由に会員を解任することが許されると今もお考えなのか、さらには、坂井大臣の答弁の問題意識は墨塗り箇所にその意味するところが書かれているのか、坂井大臣に答弁を求めます。
ほかにも、本改正案と墨塗り箇所との関係を裏付けるものがあります。十三回にも及ぶ内閣法制局審査の七回目の資料で、それまで存在していた日本学術会議は独立した立場からという文言と、学問の自由は憲法で保障されているところでありという文言が削除されています。学術会議の独立の文言削除と学問の自由への侵害は、本改正案で学術会議側も最も危惧する争点です。なぜ当時これらの文言を削除したのか、その理由を御答弁ください。そして、その理由と密接に関係するはずの墨塗り箇所の開示なくして本改正案の審議を求める資格は政府にはありません。坂井大臣の答弁を求めます。
また、この墨塗り資料は、憲法の定める議会制民主主義そのものの否定行為です。これまで、内閣法制局審査資料の解釈部分に墨塗りがなされたことはないと承知しています。墨塗りのままでは、国会として、政府の任命拒否の法解釈の正当性そのものが判断できず、本改正案の正当性も判断できません。そして、このような墨塗りが許されるのであれば、国会による政府の法解釈への監督は一切できなくなり、我が国の法の支配が崩壊します。このことについて、東京地裁判決は、現時点で整理した法解釈及び運用だけでなく、当該法解釈及び運用が整理される経緯や理由についても、国民に十分に明らかにされ、吟味される必要があると判示しています。また、このように解することは、情報公開法の理念とも整合するとも判示をしています。憲法が定める国会の政府監督権を否定する墨塗りの即刻の開示を行うべきです。坂井大臣の見解を問います。
以上のような問題を有する墨塗りの開示については、令和二年十二月十七日付けの内閣委員会理事会協議案件となっていました。墨塗りは参議院の内閣委員会に対して行われている暴挙であり、墨塗りのままの委員会審議は、内閣委員会を否定し愚弄する行為です。そして、墨塗りを開示しないまま改正案の審議を求めることは許されません。坂井大臣の見解を問います。
次に、改革の方向性や理念について質問します。
法案は、独立性という学術会議が訴えるナショナルアカデミーの五要件における最も本質的な要素についての規定もありません。国から独立した法人格を有するというだけで、活動の独立性が保障されるわけではありません。むしろ、現行法と同様に、独立性という文言を規定することが改正法全体の運用方針となるはずです。政府が本当に学術会議の独立性を尊重する意思があるのであれば、明確に法案に記載すべきです。坂井大臣、御答弁ください。
次に、会員選考の自主性、自律性です。
現在の学術会議が採用するコオプテーション方式は、主要国ナショナルアカデミーのスタンダードです。しかし、法案では、新法人発足時の会員選考、さらに、その三年後の会員選考について、会員以外の者を含む候補者選考委員会が新会員の候補者を選考するという仕組みです。
なぜ現会員が入れ替わるまでこのような不自然とも言える仕組みを取る必要があるのか、また、法案が定める特別な選考の仕組みがなぜ現在のコオプテーション方式より優れていると言えるのか、その理由について坂井大臣の答弁を求めます。
次に、監事についてです。
官僚だった者が監事に就く可能性を大臣は衆議院で否定されませんでした。これは、いわゆる天下りではないでしょうか。政府の意向を天下った元官僚が監事となり学術会議に反映させる。独立性が脅かされる危険性があり、決して許されることではありません。天下りは禁止すべきではありませんか。坂井大臣に明確な答弁を求めます。
法案では、内閣総理大臣が任命する委員から構成される評価委員会が内閣府に設置されます。委員会は、自己点検評価の方法及び結果や中期的な活動計画について意見を述べることとされています。この意見が学術会議の活動の本質的な部分にまで影響を及ぼすのではないでしょうか。また、中期的な活動計画については、独立行政法人などの中期計画との違いが不明瞭です。政府が学術会議の業務の事細かな管理を意図しているのではないかという疑念も生じます。こうした仕組みを通じて、学術会議の活動の独立性が損なわれないと言えるのか。坂井大臣の見解を求めます。
安定した財政基盤の保障という点でも、法案には必要と認める金額を補助するとのみ規定されており、補助金を通じ、政府が学術会議の活動に影響力を及ぼすことができることは明白です。
また、今の時代、公費だけに頼らず外部資金の獲得に努めるべきとの意見は、一見するともっともです。しかし、では具体的にどのような組織から資金を獲得することを想定しているのでしょうか。また、原子力産業や防衛産業、製薬会社など、特定の企業や団体、組織などから資金を受け取れば、その意向に沿った調査研究が行われる危険性もあります。中立性にも疑義が生じます。こうした危険、疑義は生じないとするならばその理由と、その企業や組織が外国の日本に好意的でない勢力とつながっている可能性をどう排除するのか、坂井大臣の明確な答弁を求めます。
本法案は、日本学術会議の機能強化に向けて、その独立性、自律性を抜本的に高めるためとされています。しかし、独立性や自律性への配慮よりも、政府によるガバナンスをいかに強化するかを最優先に設計されたものと言わざるを得ません。
トランプ政権のアメリカを見てください。民主主義の下においても、様々な政府の権限を背景に、ハーバード大学に対し、多様性推進などを問題視して、補助金を凍結したり、留学生受入れ資格取消しを発表するなどの圧力を掛けています。
トランプ政権が行っている学問の自由への侵害と今回の法案が目指すものとどこが違うのか、坂井大臣、明確にお答えください。
政府の方針に反する大学などアカデミアは潰してしまえと言わんばかりの今回の法案は、極めてトランプ政権の行為と類似性が高いと言わざるを得ません。支持率低下の現政権の焦りなのか、離れる一部保守層を再び引き付ける道具として本法案を提出したのであれば、全くこれは許されないことです。立法事実がない本法案は、選挙対策法案と言っても過言ではありません。
アカデミアへの政府の介入は民主主義の自殺行為です。政治的介入に影響されることなく、日本の未来に対して提言をすることができる、それが科学者の最高組織であるナショナルアカデミー、日本学術会議です。日本学術会議の独立性を法文、運営において明確に保障することが国際的に日本政府の品格を示すことになるのではないでしょうか。
私たち立憲民主党は、学問の自由を守り、学術会議の独立性を担保する修正案を準備しています。野党各党の皆様におかれましては、広く御賛同いただきますようお願いを申し上げます。また、政府・与党におかれましては、法案の正当性判断の前提である墨塗り箇所の即刻の開示とともに、内閣提出の日本学術会議法案は廃案にし、修正案に真摯に向き合っていただきますよう強く申し上げて、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣坂井学君登壇、拍手〕