坂井学の発言 (本会議)

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○国務大臣(坂井学君) 柴田巧議員の御質問にお答えいたします。
 日本学術会議の活動の評価と変化への期待についてお尋ねがありました。
 まず、ナショナルアカデミーは、主要先進国を始めとする海外諸国に置かれており、各国アカデミーや国際学術団体と連携して、学術の発展のためにグローバルな活動を行うとともに、政府から独立した立場で中長期的、俯瞰的な見地から、政府や社会に対して学術的なエビデンスを提供することなどを重要な役割としているものと承知しています。
 日本学術会議は、南極地域観測などのほか、数多くの共同利用研究所や研究機関の創設に関与したと承知しています。また、科学的助言等を行うとともに、G7の科学アカデミーの一員として、あるいは四十二に及ぶ国際学術団体と連携して学術の進歩に貢献してきたと承知しています。
 しかしながら、有識者懇談会の最終報告書においては、設立以来七十六年の学術の進歩と社会の変化を踏まえると、学術会議には拡大、深化する役割に実効的に対応していくことが求められており、国の機関のままの改革では限界があることから、機能強化に向けて独立性、自律性を抜本的に高めるため、より良い役割、機能の発揮にふさわしい組織形態として、学術会議を法人化することが提言されました。
 先日発表された学術会議の外部評価有識者による評価書においても、例えば、国民のアカデミアへの期待に応えるためには喫緊の社会課題をしっかり取り上げて検討していくべきである、東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故が起きたとき、放射線の生体影響に関する科学的知見が国民に正しく伝わらなかったのではないかという反省もあるなどと指摘されているものと承知しています。
 この法案は、有識者懇談会の最終報告書の内容を踏まえ、学術会議とコミュニケーションを取りながら取りまとめたものであり、独立性、自律性を抜本的に高めることによる学術会議の機能強化と、国が設立し、国の財政的支援を受けて運営される組織としての説明責任の担保を主な内容とするものです。
 私としても、学術会議が社会と向き合い、国民と対話をしながらナショナルアカデミーに求められる現代的な役割を果たしていくためには、海外アカデミーのような自由度が高く活動しやすい組織にステップアップしていくことが必要だと考えております。学術会議がサイエンス・フォー・サイエンスのみならず、サイエンス・フォー・ソサエティーやサイエンス・フォー・ポリシーなどの役割に主体的にチャレンジし、国際社会における課題解決の貢献を通じて、我が国の国際的プレゼンスの向上にも寄与することを期待をしております。
 民間法人への移行についてお尋ねがありました。
 有識者懇談会では、各国のアカデミーの在り方は、様々な歴史的経緯などを背景に各国にふさわしい形態が取られているという認識の下で、我が国に適した形でのナショナルアカデミーとしての理想的な在り方を議論していただきました。
 その上で、海外アカデミーに見られる公益法人のような形に落ち着いていくことが理想的な在り方ではないかとしつつ、国が設立する法人として出発し、国民の理解と信頼を獲得するよう努め、財政面も含めた運営の自律性を着実に高めていくことが現実的だと考えたものと承知しています。
 その際、学術会議に期待される役割をより良く発揮するために、特別な地位、権限や、国による必要な財政的支援を法律に明記することから、公益法人といった民間が設立する法人ではなく、国が設立する特殊法人とするものです。
 将来的、最終的には公益法人のような形態となることも考えられますが、私としては、現実を踏まえ、学術会議が拡大、深化するアカデミーの役割にふさわしい組織にステップアップし、海外アカデミーのような活動をしやすい体制を整えていくことが今回の法人化の目的だと受け止めています。
 会長、副会長及び会員の選任理由の公表についてお尋ねがありました。
 法人化後の学術会議の人事については、国が関与せず、学術会議の意思決定により完結することとなっており、国が設置する法人としての適正性を確保するためには、選任の過程の透明性を確保し、国民への説明責任を果たすことが重要と考えています。
 会員の選任については、会員選任の過程の大枠を法定していること、選定の基準、方法等を選定方針の形で決定し、公表しなければならないことに加えて、選任された会員についての選任理由の公表などにより、選任の過程を国民に明らかにすることを求めています。
 これに対し、会長や副会長については、法人の運営のマネジメントを担う者であり、その時々の学術会議の具体的な目標や重点ミッションに基づく活動の形態などにより、求められる具体的な人物像とそれにふさわしい選出方法が異なると考えられることから、具体的な選任の過程については法定せず、学術会議に具体的な選任過程を委ねていることとしました。そのため、選任された会長や副会長の選任の理由等の公表を義務付けることにより、選任の過程の透明性を確保し、国民への説明責任を果たすこととしております。
 会員の選任理由の公表に対する今後の対応についてお尋ねがありました。
 有識者懇談会の報告書においては、学術会議の活動が国民から納得感を持って受け入れられるためにも、コオプテーションが適切に機能する前提としても、より良い選考基準や選考手続等の検討のために外部の意見を幅広く聴くこと、会員が仲間内だけで選ばれる組織だと思われないために、外部に説明できるような選考の仕組みを整えることを、国民の約束として制度的に担保することが必要であると提言されております。
 学術会議が我が国の科学者を代表し、特別な権限を有することを国民に納得していただくため、さらに、特定の思想の人たちを排除するような選考を行ってきたという懸念を払拭するためにも、学術会議の活動、運営を担う会員が客観性及び透明性を確保する方法で選任されることは極めて重要です。
 この法案では、国は会員の選任に関与せず、法定事項も選任過程の大枠のみに限定していますが、これは、分野の固定化防止や選任理由の公表等による透明性の確保については、学術会議が自主的、自律的に対応することを前提とした制度設計になっているということです。
 有識者懇談会の議論には学術会議の会長、副会長等にも毎回御参加いただいたわけですから、新制度の運用に当たっては、以上のような懇談会での議論や法律の趣旨を踏まえて学術会議において適切に対応されることを期待をしております。
 会長選考の制度設計についてお尋ねがありました。
 学術会議の会長は、学術会議を代表し、総会の議長の職務を行うほか、学術会議の経営に関する事務を総理する役割です。学術会議の使命、目的の拡大、深化、法人化後に見込まれるマネジメントに係る業務量及び責任の増大を考慮し、有識者懇談会最終報告書では、会長の資質としては、卓越した研究、業績に加えて、学術及び学術会議の方向性への明確なビジョン、組織マネジメント及びガバナンスに係る能力、経験、会員や国民、社会とのコミュニケーション能力なども求められると指摘されたところです。
 選考方法についても、会長は引き続き会員の互選とすることが適切、適当だが、会長に求められる資質を十分に勘案しながら選考するためには、慎重かつ丁寧なプロセスで選出することが必要であり、例えば学術会議の内部に会長選考委員会などを置くなどして、会長候補者の資質や業績を整理し、会員間で会長候補についての十分な情報を事前に共有することが考えられると述べられています。
 会長の資質や選考方法については、以上のような議論について学術会議においても特段の異論はなかったことから、この法案では、会長の要件として、学術会議の業務を適切かつ効果的に運営することができる能力を有することと規定するにとどめ、具体的な選任方法は学術会議の自主性、自律性に配慮して学術会議に委ねることとしました。
 会長が選任されたときは、学術会議は、会長の選任の理由その他の事項を遅滞なく公表することとなっており、法の趣旨に沿って国民に説明できる方法で会長を選任していただくことになっています。
 研究インテグリティー、そして、及び研究セキュリティーについてお尋ねがありました。
 ナショナルアカデミーが特定の政治勢力や外国勢力から独立して活動することが大事であることは言うまでもありません。政府全体としても、各大学、研究機関等において、採用や競争的研究費の申請に際して研究者自身による適切な情報開示を所属機関に対し報告することなどを求めており、各大学、研究機関等において、こうした研究者からの報告等も踏まえた上でマネジメントを行っているところです。
 我が国の科学者を代表する機関である学術会議は、このような我が国の科学者コミュニティー全体としての取組も当然踏まえながら、不透明な資金提供を受けるなど公正性に問題があるような人物が会員とならないよう、適切に対応されるものと考えています。
 秘密保持義務についてお尋ねがありました。
 この法案の秘密保持義務規定は、国が設立する法人に一般的に置かれているものであり、秘密とは、非公知の事実であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値するものとされており、人事や法人経営に関する秘密も対象とする一般的なものです。ここで漏らすとは、秘密である事実を一般に知らしめること又は知らしめるおそれのある行為をすることをいい、秘密を漏らす対象は、不特定多数の人々である場合はもちろん、特定の人を対象とした場合であっても、その者を通じて広く流布されるおそれがある場合は、漏えいに該当することとなるとされています。
 法人と雇用契約関係となる者については、常勤、非常勤を問わず秘密保持義務規定の対象となるので、秘密保持義務規定が適用されるかどうかは雇用契約関係の有無によって判断していくことになりますが、適用対象外となる者に秘密を共有する場合には、秘密保持に関する契約を交わすなど適切な措置を講ずることが求められると考えております。仮に適切な措置を講じずに秘密を共有し、当該秘密を広く流布されるおそれを生じさせた場合には、当該会員又は職員は秘密保持義務違反に該当し得ると考えております。
 予算についてお尋ねがありました。
 学術会議に対する国の財政的支援については、有識者の最終報告書を踏まえ、学術会議の業務の財源に充てるため、必要と認める金額を補助することができることとしています。
 学術会議に関する経費は、これまでも予算編成過程のプロセスを経て、他の組織と同様に必要な金額が措置されてきたところであり、今後も必要な財政的支援は行っていくことになります。
 いずれにせよ、必要な金額が支援されるためには、予算要求の前提として活動、運営についての考え方が明確に示されていなければならず、法人化後は、実施しようとする主な活動は年度計画の中に位置付けられ、その意義やコンセプトが国民に説明できるものになっている必要があります。(拍手)
   〔国務大臣中谷元君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 坂井学

speaker_id: 24099

日付: 2025-05-28

院: 参議院

会議名: 本会議