浅野哲の発言 (憲法審査会)

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○浅野委員 本日は、今後の憲法審査会の進め方について、来年の通常国会を見据えつつ意見を申し上げます。
 第一に、来年以降も憲法審査会の定例日には原則として審査会を開催することを基本とすべきと考えます。
 今国会もほぼ毎週の開催が実現したところですが、今後も、憲法に関する議論を一過性とするのではなく、国会による継続的な自己点検プロセスとして位置づけ、継続することは重要な役割だと考えます。来年以降もこの流れを後退させることなく、憲法論議の日常化を図ることが国民の信託に応えるものであると考えます。
 第二に、偽情報対策やインターネット、SNSにおける情報の偏在への対応については、引き続き重点テーマとして取り組むべきと思います。
 先日の海外調査や有識者の意見陳述でも明らかになったとおり、フェイクニュース、マイクロターゲティング、フィルターバブルなどは、民主的な意思形成過程そのものをゆがめ得る課題です。他方で、表現の自由や知る権利を保障する憲法の趣旨を踏まえれば、国家が個々の表現内容に過度に踏み込むことには慎重でなければなりません。
 したがって、規制強化すべきか否かという二項対立論ではなく、プレバンキングやインプリント表示、既存メディアとの連携強化、そしてプラットフォーム事業者の自律的取組と一定の法的義務づけをどう組み合わせるかという多層的なアプローチを今後も継続して検討していく必要があります。
 第三に、こうした情報空間をめぐる議論を踏まえた上で、国民投票法の見直しについて申し上げます。
 国民投票法や選挙制度は民主主義を支えるインフラであり、そのルールの信頼性こそが憲法改正手続の正当性の前提となります。その上で、来年の通常国会に向けては、一定の取りまとめを行うべき論点と、継続的に調査検討を深めていくべき論点を意図的に仕分けて議論を進めることを提案します。
 前者、すなわち来国会で取りまとめを目指すべき論点としては、投票日前一定期間における政党等によるネットCMの取扱い、広報協議会による公的広報をネット空間でも確保する仕組み、広告主の表示義務や外国資金の関与を排除するルールなど、透明性と公正さを高めるコア部分が挙げられます。これらは、表現の自由との調整に十分配慮しつつも、比較的幅広い合意が得られやすい領域であり、来年の通常国会において部分的であっても改正案の形にまで議論を前進させるべきテーマであります。
 他方で、アルゴリズム規制やマイクロターゲティングの規制の在り方などは、技術の変化が速く、各国でも模索が続いている分野であり、中期のアジェンダとして位置づけ、海外動向や専門知見を踏まえつつ検討を重ねることが現実的であろうと考えます。
 第四に、選挙困難事態における国会機能維持条項の検討について申し上げます。
 自然災害や感染症の蔓延、武力攻撃事態などにより予定どおり選挙を実施できない場合に国会の機能をいかに維持するかという課題は、民主主義の根幹に関わる問題です。
 先国会において、与野党五会派の間で検討してきた骨子案が幹事会の場で共有されました。今後は、この骨子案を土台として、必要最小限の任期延長にとどめることや厳格な発動要件と期間の限定を明確にすることなど、権力の延命装置とならないための歯止めを組み込んだ条文化作業へと段階を進めるべきです。
 これは、国民主権と議会制民主主義を守るための防波堤を平時のうちに用意しておく作業にほかなりません。来年の通常国会の中で少なくとも一度は具体的条文案のたたき台をテーブルにのせることを共通の目標として共有したいと考えます。
 第五に、これらの国民投票法改正や選挙困難事態条項の検討を前に進める上で、衆参両院の憲法審査会の連携を強化する必要があります。
 国民投票制度や国会議員の任期に関わるルールは、本来、二院制の下で整合的な設計が求められる分野であります。次期通常国会の早い段階で、両院の憲法審査会長及び幹事の間で、優先的に議論すべきテーマや論点整理の方向性について認識の共有を図るべきと考えます。
 第六に、憲法改正条文案の起草に向けた小委員会の設置について、建設的に議論を進めるべきと考えます。
 起草委員会は、これまでの審査会における調査や議論内容を踏まえ、論点を整理し、条文素案として見える化するための技術的、準備的な機能を担うべきと考えます。例えば、国民投票法の一部改正や選挙困難事態における国会機能維持条項といった一定程度議論が積み重ねられた論点については、起草に向けた条文案を形成するプロセスにも堪え得るものと考えます。また、そうした起草作業そのものが、国民の皆様に憲法改正の具体像と論点を分かりやすく提示し、冷静な判断材料を提供することにもつながります。
 結びに、来年の通常国会においても、現行憲法の規範力を維持しつつ、時代の変化に対応した制度整備を進めるため、本日申し上げたような具体的ステップを与野党を超えて前に進めていきたいと考えております。一層の議論の深化をお願い申し上げ、私の意見表明といたします。
 以上です。

発言情報

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発言者: 浅野哲

speaker_id: 393

日付: 2025-12-04

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会