松尾明弘の発言 (憲法審査会)
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○松尾委員 立憲民主党の松尾明弘です。
私からは、まずは、国民投票法の改正に関連して、立憲民主党の見解を追加で申し上げたいと思います。
先ほど来各委員からも御指摘がありましたけれども、近年新たに顕在化している論点として、外国勢力による国民投票に対する不当な干渉を排除するための制度的な措置が挙げられます。先週の幹事懇談会においても、自民党の平将明議員から外国勢力が選挙や国民投票に影響を与え得る具体的な事例について解説がありました。こうした問題を踏まえ、国民投票法上どのような規制や歯止めを設けるべきか、我が国の民主制度を守る観点から早急に議論を深める必要があります。
外国勢力の目的は、改憲を推進することでも阻止することでもなく、国内の分断をあおり、民主主義に対する国民の信頼を揺るがすことにあると指摘されています。その意味でも、この問題を未解決のまま国民投票を実施することは我が国社会に重大なリスクをもたらすと言わざるを得ません。
その上で、本日の議論で自民党の船田会長代理から提示されました条文起草等に関する小委員会の設置についても触れたいと思います。
条文起草委員会とは、本来、憲法審査会において改正すべきテーマや方向性に一定の共通理解が形成された後、その合意に基づいて具体的な条項案を作成するための機関であるべきです。ところが、今回提案されたように、対象となる条文、条項を広く列挙し、その中から必要の要否を検討するといった方法を取るのであれば、審査会の本来のプロセスを逆転させ、合意形成よりも先に条文作成作業を進めようとするものであって、適切なプロセスとは言い難いと考えます。まずは審査会として、どの論点について改憲が必要とされるのか、その妥当性をきっちりと議論し、共通認識を形成することが不可欠です。
議員任期延長に関しては、参議院の緊急集会が存在する以上、改憲を正当化する理由とはならないと考えます。さらに、議員任期の延長は、国民の選挙権という重大な権利を侵害し、国民主権原理にも背くものであると考えられます。したがって、議員任期延長を目的とするような条文起草委員会を直ちに設置することは認められないと考えております。
なお、仮に、いつか何らかの条文作成について合意された段階において条文起草委員会を組成するとしても、いわゆる中山方式に従い、少数意見を反映させることを重視して、この構成員には現在幹事会にオブザーバーとして参加されているような会派の方々も参加するべきであることを付言いたします。
一方、本憲法審査会におけるこれまでの議論においては、憲法解釈をゆがめ、立憲主義の理念を軽視したような発言が散見されることを懸念しております。立憲主義とは、言うまでもありません、政治権力の独裁や恣意的な支配を憲法や法律によって統制しようという原理であって、民主主義国家の憲法において不可欠な前提となるものです。したがって、この憲法審査会で議論するに際しては、立憲主義に基づきこの機能を一層強化する、若しくは、人権保障をより一層実現するといったテーマを優先して行うべきです。
具体的には、以下のようなテーマが挙げられると考えております。
第一は、衆議院の解散権についてです。
選挙で選ばれた議員の任期を強制的に終わらせる以上、そこには相応の正当な理由が求められます。憲法や法律のどこにも総理の専権事項とは明記されていないにもかかわらず、政権の都合で恣意的に行使されている現状は是正すべきです。
なお、この点に関し、立憲民主党は、本年、解散権濫用防止の法案を提出しております。
第二に、憲法六十二条が定めている国政調査権についてです。
国権の最高機関としての国会の役割は、立法にとどまらず多岐にわたります。国政調査権は議会による行政監視の要ですが、現行の予備的調査制度には強制力もなく、実効性に課題が残っています。また、調査権の発動が多数派の意向に委ねられている。この現状の是非についても議論が必要です。
第三に、LGBTQの方々の人権保障、特に、同性婚に関しては、高裁レベルでも違憲判決が相次いでおり、唯一の合憲判決の中でも立法府の対応が求められております。個人の尊厳を守り差別を解消するための法的措置は社会的な要請も極めて高く、喫緊の課題です。
第四に、憲法九十二条、地方自治についてです。
住民に身近な行政は地方が担うという補完性の原理に立ち返れば、条例制定権や財政自主権といった自治の基盤に対し法律による一律の縛りが適切か否か、立法事実に基づいた再検討が必要です。
以上のように、立憲主義の深化が必要であるような論点、人権保障のための論点、新しい人権、そういったものに関する論点こそ本審査会が優先的に取り組むべき課題であると申し上げまして、私の発言を終わらせていただきます。
ありがとうございます。