上野賢一郎の発言 (厚生労働委員会)

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○国務大臣(上野賢一郎君) この度、厚生労働大臣を拝命をいたしました上野賢一郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 厚生労働委員会の開催に当たり、御挨拶を申し上げます。
 厚生労働行政は、国民の生活を生涯にわたって支える使命を担っており、改めて責任の重大さに身の引き締まる思いです。国民の皆様の安全、安心の確保に万全を期すことにより、社会経済活動の安定に資するよう、職務に邁進してまいります。
 医療、介護、障害福祉分野の現場の厳しい現状を踏まえ、賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保がしっかり図られるよう、コストカット型からの転換を明確に図る必要があります。二〇二五年春季労使交渉において力強い賃上げが実現したことや、昨今の物価上昇による影響等を踏まえ、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう、次期報酬改定を始めとした的確な対応を行うとともに、速やかに経済対策、補正予算を取りまとめ、報酬改定の時期を待たず、経営の改善や職員の方々の処遇改善につながる支援を可能な限り迅速に届けてまいります。また、ICT等を活用した現場業務改善の取組を強力に推進してまいります。
 今後、日本成長戦略本部において、物価上昇を上回る賃上げが継続する環境整備に向けた戦略を策定することとしています。その中で、最低賃金を含むこれまでの政府決定への対応も含め、関係大臣と協力し、経済動向等を踏まえて、物価上昇を上回る賃上げの実現に向け、具体的に検討してまいります。
 また、リスキリングによる能力向上支援を行うとともに、職業情報等の見える化の推進等を通じて高い生産性や高い処遇の職への労働移動を支援し、労働生産性の向上を推進し、稼げる日本への変革を進めます。
 あわせて、最低賃金の遵守徹底が図られるよう周知していくとともに、全都道府県での地方版政労使会議の開催等により、地方で賃金が上がっていく環境をつくり出していきます。労働生産性向上に取り組む中小企業等が賃上げしやすい環境整備に向け、引き続き、業務改善助成金を始めとする賃上げ支援助成金パッケージによる支援や、関係省庁と連携した価格転嫁対策の徹底等に取り組み、持続的、構造的な賃上げの実現に取り組んでまいります。
 本格的な少子高齢化、人口減少が進む中、中長期的な社会の構造変化に耐え得る強靱で持続可能な社会保障制度を確立することが必要です。
 このため、全ての世代で能力に応じて負担し支え合い、必要な社会保障サービスが必要な方に適切に提供される全世代型社会保障の構築に向け全力を挙げているところです。今後、令和五年末に閣議決定された改革工程及び本年六月に閣議決定された骨太の方針二〇二五に基づき、必要な保障が欠けることがないよう留意し、高額療養費制度などのセーフティーネット機能を次の世代にも維持しつつ、全世代の安心を保障する観点から取組を進めてまいります。
 社会保障制度における給付と負担の在り方に関する国民的議論を踏まえ、関係大臣と協力して、税と社会保障の一体改革、特に給付付き税額控除の制度設計に取り組みます。
 また、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しや、金融所得の反映などの応能負担の徹底、医療機関の電子化等を通じた効率的で質の高い医療の実現などについて迅速に検討を進めてまいります。
 さきの通常国会では、将来にわたって地域での良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を確保するための法案を提出し、現在、継続審議中となっているところであり、早期の成立をお願いいたします。
 新たな地域医療構想については、二〇四〇年頃を見据え、医療、介護の複合ニーズを抱える高齢者の増大や人口減少などに対応できるよう、入院医療の在り方に限らず、外来や在宅医療、介護との連携までをカバーし、人材確保等の状況も踏まえた医療機関の役割分担や連携を更に推進します。
 医師偏在対策については、昨年末に策定した総合的な対策パッケージに基づき、地域の実情に応じた実効性のある取組を推進します。
 また、小児周産期・救急・災害医療体制の充実など、地域の実情に応じた医療提供体制の確保に努めてまいります。
 電子カルテ情報の医療機関等の間における共有や医療等情報の二次利用の推進、医療DXの運営に係る母体としての社会保険診療報酬支払基金の改組などについて取組を進めるとともに、国民の皆様が安心してオンライン診療を受けられるよう、その適切な実施と推進のための方策について検討を進めてまいります。
 マイナ保険証の円滑な利用が進むよう、利用促進に向けた周知や、本年九月から運用を開始したマイナ保険証のスマートフォンでの利用について医療機関等の環境整備の支援を含め、全ての方が安心して保険診療を受けられる環境を維持してまいります。
 本年十二月には全ての保険者で従来の保険証の有効期限を迎えることから、マイナ保険証への切替えが円滑に進むよう、医療機関等における運用について、国民の皆様にしっかりと周知してまいります。
 本年五月に成立した改正薬機法等の施行を確実に進め、医薬品等の品質及び安全性の確保の強化、医療用医薬品等の安定供給体制の強化、より活発な創薬が行われる環境の整備、国民の方々への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化等に取り組んでまいります。
 日本成長戦略本部における戦略分野の一つに位置付けられた創薬については、優れた創薬シーズを基にしたスタートアップの創出を促進すべく民間投資を呼び込む体制を強化するほか、創薬クラスターの整備やその支援のための新たな基金を造成する等、官民連携の下、企業、大学等が安定的、継続的に創薬に取り組み、実用化につながる環境整備を進めます。加えて、国際水準の治験、臨床試験体制整備を推進するとともに、ドラッグロスの解消に向けて、未承認薬、適応外薬のうち我が国にとって必要性の高い医薬品が優先して開発されていくこととなるよう、戦略的な取組を進めてまいります。
 また、後発医薬品の安定供給については、少量多品目生産という非効率な生産体制の解消に向け、新たな基金を造成し、計画的に生産性向上に取り組む企業を支援してまいります。企業間の連携、協力、再編を強力に後押しするため、企業の取組を認定する枠組みを設けます。
 さらに、医薬品による悲惨な被害の再発防止や、国内外の関係機関と連携した規制薬物の乱用防止対策にも取り組んでまいります。
 平成二十五年から実施した生活扶助基準改定に関する最高裁判決を受けた今後の対応の在り方については、専門委員会における審議を踏まえ、政府として速やかに対応方針を決定できるよう進めてまいります。
 二〇四〇年に向けて人口減少や単身世帯の増加など社会構造が変化していく中、地域住民や地域の多様な主体が参画し、互いに支え合う地域共生社会の実現に向けた取組を進めてまいります。具体的には、包括的な支援体制の軸となる生活困窮者自立支援制度において、子どもの学習・生活支援や、本年施行された改正生活困窮者自立支援法等による居住支援を始めとした機能強化を進めます。また、地域の実情に応じた包括的な支援体制の整備や、身寄りのない高齢者等への支援の拡充、成年後見制度の見直しへの対応などについても議論を進めます。
 障害者や難病患者の方々が、地域や職場において、本人の希望に応じて、その方らしく暮らし、働くことができるよう、昨年施行された改正障害者総合支援法等の取組を着実に進めます。また、障害者の方々の雇用機会の拡大とその能力を発揮していただくための雇用の質の向上を図ります。
 改正自殺対策基本法及び第四次自殺総合対策大綱を踏まえ、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向け、関係省庁と連携し、電話、SNS相談体制の拡充など、自殺対策を強化します。
 さらに、昨年末閣議決定された認知症施策推進基本計画にのっとって、認知症になっても希望を持って暮らし続けることができるという新しい認知症観に立ち、認知症施策に関する取組を推進し、共生社会の実現を目指します。
 介護サービスの提供体制については、二〇四〇年に向けて、人口減少や高齢化の進展によるサービス需要の変化に地域差がある中、中山間・人口減少地域での柔軟な対応など、地域の実情に応じた提供体制を確保するための取組について議論を進めます。また、ICT等を活用した生産性向上の取組を強力に推進し、サービスの質の向上や職場環境改善、介護人材の確保、育成及び定着を図ってまいります。こうした取組と併せて、訪問介護を始めとするサービス提供体制の確保を図ってまいります。
 多様性の尊重は社会の持続的な発展の基盤であり、女性や高齢者を含む国民お一人お一人がその能力を十分に発揮し活躍することが、我が国の活力維持向上には不可欠です。誰もが健康的で働きやすい働き方を選択することができる社会の実現を目指します。
 本年六月に成立した改正労働施策総合推進法等に基づき、職場における女性活躍の推進、カスタマーハラスメントや求職者等へのセクシュアルハラスメントといった職場におけるハラスメント対策の強化に取り組みます。
 新卒者等に対しては、大学等と連携しながらきめ細かな就職支援を行います。非正規雇用労働者の方々の正社員への転換や、同一労働同一賃金の更なる遵守徹底などによる処遇改善に取り組むとともに、就職氷河期世代を含む中高年層の方々に対し、就労、処遇改善や社会参加等を支援してまいります。
 また、多様な人材が安心して働き続けられる環境を整備するため、七十歳までの就業機会の確保に取り組むとともに、外国人労働者に対する就職支援の強化、働きやすい環境整備等に取り組んでまいります。育成就労制度の円滑な施行に向け、引き続き出入国在留管理庁等と連携してまいります。
 さらに、改正労働安全衛生法等を円滑に施行し、個人事業者や高年齢労働者の安全衛生対策の推進、ストレスチェック制度の実施義務の対象事業場拡大によるメンタルヘルス対策の強化等に着実に取り組んでまいります。
 心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和の検討や、誰もが安心して働くことができる環境の整備、労災保険制度の課題に関する検討を進めるとともに、過労死等の防止に取り組んでまいります。
 仕事と育児、介護の両立支援や共働き、共育てを引き続き推進するとともに、副業、兼業の促進、テレワークの普及、フリーランスの方々が安心して働くことができる環境の整備を更に進めてまいります。
 新型コロナウイルス感染症のほか、各感染症の発生動向を把握し適切に対応するとともに、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状、いわゆる後遺症に悩む方々が適切な医療を受けられる環境づくりを進めてまいります。ワクチンについては、有効性や安全性に関する科学的知見に基づき、引き続き必要な対応を講じてまいります。また、来年六月から令和十年度までにかけて各自治体において順次開始される予防接種事務のデジタル化について取組を進めてまいります。
 さらに、新型インフルエンザ等対策政府行動計画を踏まえ、本年四月に設立された国立健康危機管理研究機構、JIHSの科学的知見を活用しながら、次なる感染症危機への備えを着実に進めてまいります。
 また、UHCナレッジハブを我が国に本年設置し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、UHCの実現に向けた取組を加速するなど、国際保健に関連する国内外の課題の解決に取り組んでまいります。
 健康寿命の延伸を図り、皆が元気に活躍し、社会保障の担い手になっていただけるよう、攻めの予防医療の推進について検討を進めてまいります。第三次の健康日本21等を推進し、予防、重症化予防、健康づくりに取り組んでまいります。健診、産業保健体制の充実を図るとともに、昨年十月に国立研究開発法人国立成育医療研究センターに設置された女性の健康総合センターの取組を含め、女性の健康支援を推進してまいります。
 また、がん対策や循環器病対策に関する基本計画に基づいて総合的な対策を進めるとともに、花粉症を含むアレルギー疾患対策や受動喫煙対策も引き続き推進してまいります。あわせて、指定難病の患者及び小児慢性特定疾病児童等に対する医療費助成等の施策も着実に進めてまいります。
 ハンセン病元患者家族の方々への補償制度を引き続き着実に推進するとともに、ハンセン病に対する偏見、差別の解消にも全力で取り組みます。B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスに感染された方々に対する給付金等も確実に支給してまいります。
 臓器移植については、諸外国と比較して移植件数が低い水準にある中で、我が国の臓器移植体制の見直しなどに取り組んでまいります。
 原子爆弾被爆者援護対策については、被爆の実相を後世に伝えるための取組を進めるとともに、被爆者の方々に寄り添いながら保健、医療及び福祉にわたる総合的な支援を行ってまいります。
 広域的な食中毒事案への対策強化等に引き続き取り組みます。
 本年六月に成立した年金制度改正法に基づき、被用者保険の適用拡大、在職老齢年金制度の見直し、遺族年金の見直し、標準報酬月額の上限の段階的引上げ、個人型確定拠出年金の加入可能年齢の上限の引上げ等を着実に実施してまいります。
 そして、いわゆる年収の壁を意識せずに働くことができる環境づくりを後押しするため、年収の壁・支援強化パッケージによる支援や、本年七月に拡充したキャリアアップ助成金による事業主への支援等に取り組んでまいります。
 本年は戦後八十年の節目の年です。改めて弔慰の意を表すため、先般の法改正により戦没者等の遺族に対する特別弔慰金の支給を継続する措置を講じました。速やかに御遺族に特別弔慰金をお届けできるよう、施行事務に注力してまいります。加えて、慰霊事業に取り組むとともに、次世代への戦争に関する記憶の継承を行う平和の語り部事業に取り組みます。また、国の責務として、可能な限り多くの戦没者の御遺骨を収容し、御遺族に早期にお渡しできるよう、集中的な取組に全力を挙げてまいります。さらに、中国残留邦人等に対する支援策もきめ細かく実施してまいります。
 昨年一月の能登半島地震や本年の一連の大雨など、近年、甚大な災害が全国各地で発生しています。改めまして、お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。被災された皆様が一日も早く安全、安心な生活を取り戻すことができるよう、必要な対応に引き続き全力で取り組んでまいります。また、自然災害から国民生活を守ることができるよう、保健、医療、福祉の連携強化を含む体制や支援の整備に取り組みます。
 厚生労働行政は幅広く、様々な課題がございますが、一つ一つ思いを込めて取り組んでまいりますので、委員長、理事を始め委員の皆様、国民の皆様に一層の御理解と御協力を賜りますようお願いいたします。

発言情報

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発言者: 上野賢一郎

speaker_id: 7580

日付: 2025-11-18

院: 参議院

会議名: 厚生労働委員会