三原岳の発言 (厚生労働委員会)
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○参考人(三原岳君) ニッセイ基礎研究所の三原です。
今日は、こういう機会をつくっていただき、ありがとうございます。
今日は、医療法の改正案について、独立した立場、研究者としての立場で私見を申し上げたいと思います。よろしくお願いします。
少し、三週間ほど前からちょっとぜんそくの気が出ておりまして、突然せきが出たりするかもしれませんけど、お聞き苦しい点があったら申し訳ありません。よろしくお願いします。
資料を作ってまいりましたので、資料に沿って説明していきたいと思います。
一枚おめくりください。今日の内容です。今回の医療法改正案、大きな内容は、先ほど城守参考人が御説明いただいたとおり、新たな地域医療構想と医師偏在是正、それから医療DXだと理解しているんですけれども、私の方は、新たな地域医療構想の論点と医師偏在是正、この二つを中心的に述べたいと思います。その上で、後半は、介護、今介護の方も、老健局を中心に二〇四〇年を見据えた提供体制改革の議論が進んでいます。恐らく来年の通常国会に法律が出ると思うんですけれども、詳細はまだ固まっていませんけれども方向性は見えていますので、介護も加味して二〇四〇年の議論の上で、二〇四〇年の提供体制改革を語る上で、こういうところが足りないんじゃないかということを少し私見も述べさせていただければと思っております。
資料の二ページ目ですが、これが二〇二四年十二月に地域医療構想に関して厚生労働省の検討組織が取りまとめた報告書です。これを基に医療法の改正案が出されているということです。かなり広範な内容が盛り込まれていることはお分かりいただけると思います。
次、三ページ目ですけれども、これ、新たな地域医療構想の主な変更点としては、先ほど城守参考人からもありましたけれども、私自身も幾つかの変更点があると思っています。一つは、病床だけではなくて、外来や在宅、介護との連携を重視する、切れ目のない提供体制改革が意識されるようになったということです。新たに精神医療も位置付けることになった。それから、医療機関機能報告の仕組みをつくって、単なる病床数の調整だけではないということになったかなと理解しています。さらに、包括期とかいろんな新しい概念も出てきたということです。
私はこれは前向きに受け止めています。なぜかというと、これまでの地域医療構想は、ちょっと構造的な分かりにくさ、まあ欠陥とまでは言いませんけれども、分かりにくさがあったと私は思っています。具体的には、次のページ、四ページ目なんですけれども、地域医療構想は元々、過剰な病床の適正化で議論がスタートした、これはもう明白です。福田内閣のときにできた社会保障国民会議、ここで国際的に過剰な病床の適正化という言葉が盛り込まれていて、これが地域医療構想の淵源になりました。
ただ、厚生労働省の検討組織の方に検討が移ると、日本医師会を中心に様々な委員から、いやいや、切れ目のない提供体制の構築こそ大事であろうという指摘がなされたわけです。私はこれは前向きな変化だと受け止めています。なぜかというと、医療提供体制改革は当然、病床数の話だけではないはずです。なので、このスライドでいうと右側と左側、つまり過剰な病床の適正化と切れ目のない提供体制の構築と、両者をバランスを取る必要があると思っています。ところが、地域医療構想というのは全て病床数で語られています。具体的には、医療需要は全て病床数に置き換えて医療需要を推計していますよね。
それから、五ページ目見ていただきたいんですけれども、厚生労働省が地域医療構想の進捗状況を語るときというのは全て病床数です。元々、地域医療構想は百十九万床ぐらいになると言われていたのが今百十八万床ぐらいになるので、全体としては帳尻が合っているよねというような説明がなされていると思います。ただ、それでも急性期と回復期のバランスが悪いので二〇二五年から二〇四〇年に延ばすのであるという説明がなされていると思います。これ自身、私は全然間違っていない、そのとおりだと思うんですけれども、地域医療構想は病床削減のための政策ではないわけですよね。それにもかかわらず病床数で目標を管理しているというのが、ここに私は構造的な分かりにくさがあったと思っています。
少し戻っていただいて、三ページ目戻っていただきたいんですけど、その点で考えると、地域医療構想が外来や在宅、介護との連携とか、病床数だけではない価値観がいろいろ入ってきたというのは大変私は前向きに受け止めています。ただ、かなり地域医療提供体制全体をオーバービューすることになるということですよね。ただ、その分だけ、だから都道府県がどこまで対応できるのかという新しい問題が私は出てくると思っています。
衆議院の参考人質疑の方で、連立方程式を解くような難しさが都道府県にあるというふうに発言があったやに聞いているんですけれども、私もそれはそのとおりだと思うんですけれども、連立方程式が二次なのか、三次なのか、四次なのか示してあげないと、都道府県は解けないと思うんですよ。そこをもう少し都道府県にバックアップしてあげなきゃいけなくて、それは地域の実情に応じた体制整備というのは厚生労働省盛んに言っていて、私もそれは賛成なんですけれども、もう少し都道府県に、提供体制改革の全体像と、それぞれの改革の連動性みたいなことを説明してあげないと、都道府県なかなか対応できないんじゃないのかなと思っています。
六ページ目に、それぞれの医療提供体制改革の関係性を簡単にプロットしています。これ全ては説明できませんから、幾つかかいつまんで説明させていただきますけれども、例えば、地域医療構想とかかりつけ医機能報告というのは、当然、医療機関の役割分担の明確化で関係してくるわけですよね。それから、医師の働き方改革、私は中長期的にこれが一番影響出るんじゃないのかと思っていますけれども、医師の献身的な超過勤務で維持されていた急性期あるいは外来が縮小するということになれば、地域医療構想あるいは外来機能分化を進める方向に働くはずです。それから、大学病院から派遣されている地域の、地域の病院に派遣されている医師が引き揚げることになれば、これ、医師確保計画、医師偏在是正とは逆向きの方向になります。トレードオフの関係ですよね。
もちろん、地域でいろんな変化がありますので、国全体としてはこうだとしても、それぞれの地域でそれぞれの変化があると思いますので、そこは都道府県が見ていく必要があると思うんですけれども、こういった全体像を見せる必要が私はあるのかなと思っています。
まかり間違っても、地域医療構想は何とか係、医師確保は何とか係、医師の働き方改革は何とか係といって都道府県の中でばらばらに政策をやっていては、これは何の意味もありませんので、こういった全体像を見せながら都道府県に政策を立案していただく、あるいはそういったことができるような組織を開発していく、人材育成していく、そういうことが求められるのかなと思っています。
次、新たな医師偏在是正対策です。これが八ページ目、厚生労働省が示した報告書の概要になります。
九ページ目ですけれども、これが私の医師偏在是正に関する私見です。
これまでは、奨学金の返済を免除する代わりに地域での勤務を義務付ける地域枠、これをやっていたわけですよね。もちろんこれは一つの政策だと思うんですけれども、若いお医者さんだけに対策の負担を強いていたという矛盾が私はあったと思います。ただ、それが中堅医師のリカレントの教育、これがどこまで意味があるのか、どこまで効果があるのかというのは別問題としてあると思うんですけれども、医療界全体として偏在是正やっていこうと方向性が示された、このことは私は前向きに受け止めています。
さらに、重点医師偏在対策支援区域というのを都道府県が設定して、人口減少下でも守る地域をある程度明確にして、そこに資源と人と物を集中していくという考え方だと思うんですけど、これも私は前向きに受け止めています、二〇四〇年になってくると人口減少どんどん激しくなりますから。ただ、これ、都道府県がどこまで対応できるのかという、やはりその国と都道府県の関係、現場で起きることというのは想像しないといけないのかなと思います。
厚生労働省の政策って多くは通知で縛るわけですけれども、自治事務の通知というのは技術的助言です。ですから、都道府県は従ってもいいし、従わなくてもいいわけですよね。そこで、重点医師偏在対策支援区域というのを通知で縛れば、当然、都道府県は多くの地域を重点化、できるだけ多くの地域を重点医師偏在対策支援区域に指定しようとするはずです。私が都道府県の担当者なら当然そうします。そうなると、厚生労働省が考えている重点化というのはどこまで現場で実効性が保たれるのかというのはもう少し考えないといけないのではないかなと。そうすると、通知ではなくて、例えば政令、省令で、ある程度縛っていくということを考えないといけないのかなと思っています。
残り五分で、二〇四〇年の話をしたいと思います。
十一ページ目です。二〇四〇年のことを想像すると、明らかにこれから起きることは人材不足の深刻化、それから困難、複雑ケースの増加だと思われます。
十二ページ目、今、介護、福祉に関して厚生労働省の検討組織の方で今年検討したんですけれども、この検討結果のとりまとめです。
十三ページ目見ていただきたいんですけど、そこから抽出した部分です。地域を、中山間・人口減少区域、都市部、それから一般市の三つに分けて、それぞれ対応策を書いてあります。こういった方向性で介護保険法の改正案が来年出てくると思うんですけども、私が注目しているのはこの中山間・人口減少区域です。やはり、訪問系サービスは、回数を単位として評価すると、移動時間が長くなりますから、だからなかなか維持できないんじゃないかということが盛り込まれています。結果的に包括のような支払い方が大事ではないかということを言っています。
私は、これは非常に大事な選択肢だと、指摘だと思いますし、そういった方向性は避けられないのかなと。じゃ、医療の場合、医療もどうしたらいいんだろう、医療も同じようなことが言えるんじゃないのかなと思っています。
既に始まっている対策を簡単に並べたのが十四ページ目です。デジタル技術の活用、今年、今回の医療法の改正案もそれに組み込まれます。それから、多職種、多機関連携、それから事業者の協働、こういった政策が行われています。これは、国の政策を引き続きやりつつ、現場での取組、現場での運用改善が求められると思います。
私自身がもう少しこの辺強調した方がいいんじゃないのかなというのがこの後の話です。もう一つがプライマリーケアを中心とした改革ということです。やはり、切れ目ない提供体制改革をやっていく上では、ある程度幅広い健康、生活課題に対してはプライマリーケアが対応していくというのが有効ではないかなと思います。それから、医療機関の再編統合や、医療機関の役割分担が明確化が進めば、医療へのアクセスをめぐる格差が広がる可能性があります。そうなると、やはり幅広い生活、健康課題に対応できるプライマリーケアを中心とした提供体制改革ということになるのかなと思います。
ただ、これは、二年前、私もここで参考人質疑に参加させていただきましたけれども、ややもすると登録制とか包括払いの是非みたいな形になっていくんですけど、やっぱり必要なことは、総合診療医を育成するとか、今回もやっていますけれども中堅医師リカレント教育やっていく、現状やれることをやっていった積み上げの結果として制度改正を考えていく必要があるのかなと思っています。なので、これから、今年の四月から始まったかかりつけ医機能報告制度とか、日本医師会さんがやっていらっしゃるかかりつけ医機能研修制度ですか、こういったものも充実させていく必要があるのかなと思っています。
もう一つ、十六ページ目です。これ、総務省の研究会が今年六月に報告した、公表した報告書です。人口減少を見据えて、市町村の行政をてこ入れしていかなきゃいけないという考え方です。私もそれは全く同感で、人口減少で市町村の機能が下がっていく可能性が高いなと思っています。ただ、対人支援業務を都道府県にやってもらうのはなかなか難しいので、この対人支援業務はできるだけ現場に残しながら一部の事務を広域化するという、非常に、二つの方向性を同時に解決していかなきゃいけない難しさがあるのかなと思っています。なので、この市町村のてこ入れ策というのも、二〇四〇年、考えていかなきゃいけないんじゃないのかなと思っています。
そこは、だから、総務省の所管になると思うんですけれども、厚生労働省がもう少し、厚生労働省と全国知事会、それから教育が関われば文部科学省ですから、そういった関係省庁、関係団体と一緒に考えていく必要があるのかなと思っているところであります。
最後、十七ページ目なんですけど、これが私の一つのアイデアとして考えていることです。これは、別に全国一律にやる必要はなくて、人口減少が厳しい地域でやっていくことが一つ考え方としてあるのかなと思っているのが、例えば医療圏単位です。都道府県単位で広域化するというのは、ちょっと私大き過ぎる気がするんですよね。地域によっては、七十万ぐらいの都道府県であれば広域化できると思うんですけれども、全ての都道府県でそれを、要介護認定を都道府県単位でやるというのはちょっと難しいんじゃないのかなという気がしていますので、例えば二次医療圏単位を単位とした行政機構、これをつくって、これ、広域連合、一部事務組合、いいんですけれども、つくって、介護保険と、要介護認定とか保険料の徴収とかその保険料の算定とか、そういうところは行政機構に移譲しつつ、都道府県が持っている医療圏を二次医療圏単位のところに移譲して、そこで医療と介護と福祉を連携していくと。
さらに、これは強制ではできませんので任意になると思うんですけれども、人口減少区域で、ある程度医療あるいは福祉で協業化してもらう。そのときに、地域医療連携推進法人、社会福祉連携推進法人の枠組みを使う。その行政機構と契約を結んで、この地域で医療、介護、福祉を守ってくださいということを明確にする。そのときに、包括払いを支払うことによって、必要な医療、介護、福祉サービスが効率的かつ効果的に提供できるような、そういった仕組みが必要じゃないかなと私自身思っています。
ただ、これは、住民参加どうするのかとか、行政機構が複雑化するとか、報酬制度どうするんだとか、保険者との関係どうするんだという様々論点あると思いますので、一つのたたき台ではあるんですけれども、こういった形で、市町村の行政と医療、介護、福祉の提供体制どう改革していくのか、そういった点も私は必要ではないかなと思っているところであります。
私からは以上です。御清聴ありがとうございました。