中尾一久の発言 (厚生労働委員会)

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○参考人(中尾一久君) 福岡県私設病院協会の中尾一久と申します。
 当協会は福岡県内の中小民間病院約二百四十病院が会員病院でございまして、まさに二〇四〇年に向けての高齢者医療が当協会にとっては一丁目一番地の問題でございます。また、私自身は、県内の久留米市というところで医療、介護、福祉を提供する医療法人と社会福祉法人の理事長をしておりまして、病院の中では、外来、それから入院、訪問診療、それから施設の嘱託医をしておりますので、本日は現場の実情をお話ししたいというふうに思います。COIはございません。
 二ページ目、お願いいたします。
 本日の話の内容でございます。一つ目は高齢者救急医療の現状と将来予測。それから二番目に、プライマリーケアの介入により重度化による入院を予防できる可能性がある疾患群、ACSCs。それから三番目に、医療・介護連携とICT、医療・介護DXのお話。最後に、昨今問題になっています医原性のサルコペニア。サルコペニアというのは、加齢に伴う筋肉量減少と筋力低下の問題のことでございます。これについてお話をさせていただきます。
 三ページ目、お願いいたします。
 二〇四〇年に向けた医療、介護の課題でございます。もうまさしくキーワードは八十五歳以上の高齢者ということで、課題をここに列記しておりますが、八十五歳以上の高齢者が急増する、それから、要介護認定が約六割、医療と介護、リハビリが同時に必要となるということでございます。それから、高齢者のいわゆる施設からの救急患者が増加し、在宅医療の需要が増えます。それから、二〇四〇年には診療所が激減する地域が出てきます。一方で、入院患者さん、主な入院疾患はおおよそ実は決まっておりまして、外科的手術は少ない傾向、それから軽症、中等症が多い傾向でございます。また、これも問題でございますが、高齢者施設と医療機関の連携がいまだ取れておりません。それから最後に、サルコペニアの話です。
 四ページ、お願いいたします。
 これは、八十五歳以上の高齢者のいわゆる入院した患者さんの上位疾患五つ、左の赤で囲んだところでございますが、一番、肺炎、二番、心不全、三番、誤嚥性肺炎、四番が股関節、大腿近位の骨折、五番が腎臓、尿路感染症、これがもうベストファイブでございます。一つだけ赤字で書いています股関節・大腿近位の骨折が外科的な治療が必要だということでございます。
 五ページ目。
 高齢者救急医療を減らすための対応策としまして私考えておりますのが、八十五歳の高齢者に対してどのような考えでやるかと。これはまさしく先ほど申し上げています予防的介入、ACSCですね。で、誰が。総合診療の技術、考えを持ったドクター、歯科医師、それから、できるなら特定行為修了者の看護師を含む医療、介護の多職種ということで、何をするかというと、入院を、緊急入院を減らすために疾病の予防、重症化を防ぐということでございます。
 六ページ目、お願いします。
 そのために、私は三つの重要な視点というのをここに書かせていただいています。一つ目がACSCですね。二つ目が医療、介護の連携、ICT、DX。三つ目が、高齢者というのは多疾病罹患、たくさんの病気を一人で抱えておられますので、医療と介護が同時に必要であるという考え方。この三つの視点が大事だと私は思っています。
 七ページ目。
 これは年齢別の救急搬送人員の構成比の推移ですが、令和六年度は六十五歳以上の高齢者が何と六割を占めるということでございます。
 八ページ目、九ページ目をお開きください。
 これは福岡県のデータでございますが、最近十年間における救急活動の推移でございますが、救急出動、それから搬送人員、それから救急車の数は右肩上がりでございますが、九ページ目の赤で囲んだところ、実は救急隊員数の数がコロナ後、がたっと落ちているんですね。これは問題でございます。
 それから、十ページ目。
 高齢者施設におきます救急搬送の実態調査なんですが、高齢者施設、特に医師のいない介護老人福祉施設、特養ですね、これが約三〇%。それから、こちらも医師のいない有料老人ホーム、特にサ高住が最近特に増えてきております。ここからの救急搬送も多うございまして、どちらも医師がいない、場合によっては看護師もいないというところで、あるいはもう全くの素人の方が救急車を呼ぶという事態が考えられるわけでございます。
 それから、十一ページ目。
 実は、ドクターの高齢化も進んでいるということです。病院と診療所、僅かにドクター増えておりますが、六十歳以上のドクターが、何と診療所ではもう五〇%以上になってきている。
 続きまして、十二ページ目、十三ページ目です。
 近畿地方におきます現在の診療所医師数と二〇四〇年の見込みのスライドでございます。左側が二〇二二年、右側が二〇四〇年でございます。一応、ドクターが八十歳で引退して、新規の開業がないという前提での予測でございますが、人口が約一二%減る、でも実際のその診療所の数は半分になるんですね。下の十三ページ、四国においては全ての県が半分以下に診療所がなると。
 次、十四ページ目、お願いいたします。
 高齢者施設と医療機関の連携体制の話なんですけど、一番上の介護老人福祉施設におきましてはたかだか六割、連携を結んであるのがですね。軽費老人ホームにおいては五割も行かないんですね。これだけ連携ができていないということです。
 これまでのまとめをちょっと一ポツから四ポツまで書いていますけど、さあ、どうしましょうという話でございます。
 十六ページ、お願いいたします。
 これは、私どものグループ内における医療・介護連携のお話と、その実際の話を少しかいつまんでお話をしたいと思います。
 十七ページ。
 私どものグループは久留米市におきまして創立六十一年目でございまして、介護と医療のベッドが約五百五十、そのうちに医療ベッドは約百床でございます。約二か所において展開をしております。
 十八ページ目、お願いします。
 私どものグループの元々の理念は、医療、介護、福祉の一体的提供と、いわゆる地域共生社会、町づくりということでございます。特徴は、グループ内での医療、介護、福祉の連結と融合、それから情報共有ツール、これKIICSと呼びますけど、電子カルテ、全ての施設で電子カルテが見られるというKIICS。それから、あとはウエルビーイングと健康ケアに力を入れております。最後に、約十年間、グループ内全ての施設の身体拘束ゼロでございます。
 十九ページ目。
 改めまして、久英会グループのアウトカムは、当初から高齢者救急入院を減らすということで、まさしくこのACSCsを展開しておるということです。キーワードは、戦略としまして医療、介護、福祉の融合、それから戦術は、いわゆる医療機関と介護の施設を物理的に廊下で結びまして、機能としてのツール、情報共有ツール、KIICSを展開しているということでございます。
 二十ページ、お願いします。
 医療、介護、福祉の連結と融合、循環ということで、これ私が考えていることでございますが、医療、介護、住まいにはやっぱりしっかりとした縦串が必要だというふうに思います。その縦串というのは、連携パスであったり、あるいは、後ほど御説明をしますけど、はこだて医療介護連携サマリーだったり、歯科歯科連携だったり、ケアマネジャーの存在だったりすると思いまして、この縦串がしっかりして一気通貫であって、これがぐるぐるぐるぐる循環するというのが高齢者医療、介護というふうに思います。
 その次、二十一ページ。
 その一例をちょっと御紹介いたします。私どものグループの建物の一体化ということで、高齢者施設、これ特養、サ高住、グループホームが建物の中にあるんですけれども、そしてその反対側にデイサービスという建物があって、そこの二階にクリニックを約十年前からここに展開しております。
 めくっていただきまして、二十二ページ、二十三ページがその写真なんですが、このように廊下で二つの建物をつなぎまして、特養からすぐもうクリニックを受診できるという形にしておりまして、下の待合室、二十三ページですね、ここのクリニックの特徴は歯科を入れているんですね。内科と歯科と一緒に入れております。この歯科を入れる理由は、誤嚥性肺炎を防ぐために入れておるわけでございます。
 二十四ページ。
 この機能の一体化ということでちょっとまとめておりますが、高齢者施設とクリニックを一体化することで、特養を実は医療機関化したということでございます。このような取組を当グループ内で行っておりますので、これは参考資料を御覧いただくと有り難いです。もうこれもまさしくACSCsというふうに私は考えております。
 それでは、この機能ですね、機能の一体化をどうしたかというと、二十五ページ、グループ内の情報共有システム、このKIICSということを構築しました。
 二十六ページ、お願いいたします。
 これが久英会統合ケアシステム、KIICSでございまして、全ての施設から患者さんの情報、利用者の情報を見ることができるということでございます。
 では、どのような情報が必要かということで、ここで、はこだてサマリーが出てくるわけですけど、リハビリ、栄養、嚥下、排せつ、ACP、これが高齢者にとって最も必要な柱でございます。これがこのはこだて医療介護連携サマリーの中にきっちり入って、これがぐるぐるぐるぐる回っていくという非常に優れたものでございます。
 二十八ページをお願いいたします。
 それでは、私ども同じグループ外の診療所とはどんなふうに連携しているかということでございますが、このMクリニックとはこのバイタルリンクというICT、また別のICTで連携しております。
 その中で何をしているかというと、在宅あんしんサポート隊というのをつくっています。これは医師の働き方改革にもつながるんですけれども、二十四時間三百六十五日、ずっと医師が診ることはできませんので、例えば月曜から金曜まで毎日、夜は違うドクターをちゃんとあてがって、あるいは日曜、祭日も違うドクターをあてがって、バックアップ体制をつくって診ているということでございます。
 三十ページ、お願いいたします。
 そこで、バイタルリンクとこのあんしんサポート隊のまとめということでございますが、このあんしんサポート隊の導入は、医師の働き方改革の一助にもなっていますし、訪問看護ステーションの安心にもつながっています。確かに入院も減っております。ですから、これはもうまさしくACSCというふうに考えております。
 それから、このバイタルリンクの導入で随時情報が入ってくるものですから、若干医師の往診数は増えましたけど、サポートする側にとっても、利用者のタイムリーな情報が瞬時に入りますので、迅速な報告、指示を可能にして、入院患者さんを減らすということになっております。
 三十一ページ。
 改めてACSCのお話をちょっとここでさせていただきますが、この概念は約二〇〇〇年頃に出た概念でございまして、医療費削減につながるものとして、欧米、オーストラリアで始まったものでございます。二ポツ目のように、高所得国における入院の五%から一〇%を占めておりまして、多くの国でプライマリーケアの質の指標として使用されているという代物でございます。
 三十二ページ、お願いいたします。
 これは分類でございます。
 一つ目、効果的な管理によりまして急性増悪を予防できる慢性のACSCs、これ、ぜんそくや高血圧。これ実は熊本済生会病院がまさに展開しているものでございまして、具体的には、連携しているクリニックの患者の疾病コントロールをして、いわゆる緊急入院を減らしているということであります。
 二つ目、早期介入により重篤な進行を予防できる急性ACSCs、肺炎や腎盂腎炎の予防ですね。これがまさしく私どもがやっているACSCsでございます。
 三つ目が、予防接種あるいはワクチンですね、これを打つことによって、肺炎、インフルエンザや肺炎を予防すると、こういう三つの分類があるわけでございます。
 改めまして、三十三ページ。
 高齢者医療におけるACSCsの概念と役割ということで、急性期、包括期、在宅、施設からの入院を少なくする、あるいはなくすというのがこのACSCの概念でございます。
 三十四ページ。
 実は、六十五歳以上の高齢者が非常に、低栄養の割合が非常に高くなっております。男性では一二・二%、女性で二二・四%で、八十五歳以上になると更にそれがひどくなるという現実があるわけでございます。高齢者は、実は味覚の有病率が非常に高くなって、食欲低下や低栄養状態を惹起し、フレイル、サルコペニアに至るということで、問題は一つは、減塩食というのが一つ問題でございまして、それで食事量が落ちて、それで栄養不足が進行する。それにリハビリをするものですから、なおさら低栄養が進行する、サルコペニアになるということでございます。
 三十六ページ、お願いいたします。
 実はこのことを受けまして、私、私どもの病院の中で、うちはどうなんだということで調べたのがこれでございます。患者さんは四百五十五名、平均年齢が八十・五歳。入院中だったから、退院時と入院時の体重の差ですね、体重の変動分布を示しております。左側がプラス十というのは十キロ太って退院したということ、右側がマイナス九・二というのはマイナス九・二キロ、減って退院したということでございますが、私は、これは皆さん全員退院されたわけでございますけれども、下腿の周囲長、これが栄養状態を反映しているものでございます。ですから、下腿の周囲長が増加するということは栄養状態が改善しているというふうに取ります。ここの赤枠で示しているのがまさしく下腿周囲長が増加したというところでございまして、何とかリハビリ病院の面目をここでもっている、保っているというところでございました。
 それで、最後に、医原性サルコペニアつくらないためにということで、ここもポイントでございますが、やっぱり高齢者においてはリハビリと栄養はセットで同時にやらなくちゃいけないということ。それから、これちょっと表現が余り良くないんですけれども、まずい治療食を提供しても、食べなければ何にもならないということですね。それから、高齢者においては治療食という概念をもう捨てて、おいしい、もう完食できる食事を提供したらどうかと。
 それから、高齢者において嚥下困難者が非常に多いんですね。ですから、嚥下調整食は非常に必要でございます。ただ、今、全く診療報酬ではこれ付いておりません。そして、もう一つ、栄養補助食に関しても付いておりませんので、ここを何とか考えていただくと有り難いな。これは、もちろん若い世代の方には生活習慣病対策がありますので、またちょっと考え方別でございます。
 最後に、余りこれここでお話ししたくない資料でございますが、うちのグループの栄養部門の収支を、二〇二四年度、一年間どうだったかと見ましたら、一日当たり約千食なんです、提供しているのが。何と赤字が年間九千百五十四万円ということで。
 以上で発表を終わります。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 中尾一久

speaker_id: 796

日付: 2025-12-03

院: 参議院

会議名: 厚生労働委員会