秋野公造の発言 (本会議)
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○秋野公造君 公明党の秋野公造です。
私は、ただいま議題となりました医療法等の一部を改正する法律案につきまして、会派を代表して厚生労働大臣に質疑をいたします。
まず、医療偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージを定めて、医師養成過程の中心の対策から、中堅、シニア世代を含む全ての世代の医師へのアプローチに踏み込んだことは重要です。しかし、この養成は、誰がどのように、どのくらいの期間で、どの程度のスキルが身に付くのか、明確ではありません。例えば、内科医が、不足している消化器外科医を目指せるのかなど含めて、質の良い医療を提供する観点から御答弁を求めます。
二〇四〇年頃を見据えた医療機関機能報告制度を設けることは重要です。一月当たりの推計患者数約五十六万人のうち八十五歳以上の方が約二十万五千人を占める中で、高齢者救急に一つの重点を置くことは重要です。
一方で、在宅の高齢者が入院する理由は、動脈硬化などを背景とする生活習慣病やがんよりも、肺炎や骨折が中心です。
医療法人社団悠翔会の佐々木淳先生らの調査によると、在宅の超高齢者が肺炎と骨折で入院する割合は約半数であり、超高齢者が肺炎で入院すると要介護度は平均一・七二上昇し、約三割の方が亡くなっています。骨折で入院すると要介護度は平均一・五四上がり、約一割の方が亡くなっています。高齢者には入院自体がリスクであります。
財政上の課題としても、高齢者医療の七割が入院です。一般的な誤嚥性肺炎の入院に要する医療費は約六十万から七十五万、重症の誤嚥性肺炎では約八十万から百十万掛かります。また、骨折について全国のレセプトデータから推計した研究によると、高齢者に多い大腿骨骨折の場合、男性の入院は約二百五十五万円、女性は二百九十二万円掛かっているとされます。
高齢者が入院しないで済むように、在宅医療が予防、重症化予防に果たす役割は更に重要になると考えますが、大臣の見解を伺います。
そもそも、高齢者には低栄養又は筋肉の減少が背景にあり、肺炎も骨折も低栄養と筋肉量が低下したときに生じやすくなります。筋量は四十歳を超えると一年で約一%減少します。高齢者が食事を半量にすると一日〇・二%、寝かせきりでは一日〇・五%、コロナなど強い炎症の下では一日一%、安静と絶食では一週間に三五%の筋量が減少しますが、たんぱく質の十分な摂取で補うことができます。
高齢者には、薬よりも食事で低栄養と筋量低下を予防すべきであります。診療報酬上、疾病ごとの食事に評価があっても、高齢者の低栄養、筋量減少に対する食事に評価はありません。
医療法を改正する以上、超高齢者に対しては、動脈硬化を防ぐ食事よりも、肺炎や骨折を防ぐ食事メニューを定めて評価を行う必要があると考えますが、大臣の見解を伺います。また、ペースト食など、高齢者に多い摂食嚥下障害に対しても加算を検討すべきと考えますが、大臣の見解を伺います。
肺炎を予防、重症化予防する取組についてお伺いをいたします。
私は、昨年六月に、国民の死因五位である肺炎、六位である誤嚥性肺炎、三位の老衰の中にも肺炎が含まれており、その肺炎について普及啓発する日又は週間の設定を提案しました。厚生労働省は適切な日程の検討を行う旨を答弁して、呼吸器感染症予防週間が創設され、期間を九月二十四日から三十日までと定めました。
しかし、その基となる急性呼吸器感染症予防指針の案には、肺炎の予防について記載がありません。予防週間を創設して、一体何を予防するのですか。なぜ死因の多くを占める肺炎に対する対応はしないのですか。大臣の告示です。医療法を改正するなら、縦割りを排し、各局の取組を総合調整するのは大臣の役割です。早急に見直して肺炎対策を盛り込んではどうかと申し上げますが、大臣の見解を求めます。
また、コロナによる死亡報告者数は、五類感染症になる前と後では変わっておらず、死亡は八十歳以上に集中しています。八十歳以上の方についてはコロナは終わっていません。インフルエンザによる死亡報告数の十五倍の現状で、後期高齢者に集中するコロナのリスクに対応しないのはなぜですか。
高齢者と基礎疾患がある方が重症化しやすく、クラスターを起こすコロナの性格は変わっていません。先進国では高齢者等に対するコロナワクチンを無償で接種を続けています。日本だけ六十五歳以上の一律の対応で、有償でいいのか、大臣の見解を伺います。
感染性肺炎の治療に必要な抗菌薬は国民の生命を守るために不可欠と考えますが、大臣の見解をお伺いします。
原薬の国産化に向けた取組が進んでいますが、日本で製造した原薬は海外と比べてコストが三から十倍掛かると聞いています。大臣はこの差額をどのように埋めるおつもりでしょうか。私は、日本の質の高い原薬を海外に販売して、生産量を増やすことで差額を埋めることを提案しますが、見解をお伺いいたします。
薬剤耐性の菌の対策も急がれます。最強の抗生物質と言われるカルバペネムにも耐性菌が現れており、五類感染症として報告が求められています。一方で、カルバペネムにさえ耐性を示す菌に対する日本企業が開発した抗菌薬は、海外が欲しがっている優れ物であります。これこそ日本が海外にプレゼンスを示せるものなのに、国内に製造所がありません。原薬の製造も製品の供給も海外に依存し、薬剤を確保できなくなれば、医療は成り立ちません。このような抗菌薬の供給にどう取り組むおつもりか、大臣の御見解をお伺いします。
大臣は重要供給確保医薬品や感染症対策物資の増産要請をすることができますが、これらの品目の中には、アモキシシリンなど不採算品があります。不採算のまま増産要請などあり得ません。増産のための設備投資や老朽化更新も含めてどう対応するおつもりか、併せて大臣にお伺いをします。
美容医療を行う医療機関に定期報告義務等を設けたことは重要です。平成二十八年、美容医療関係学会の有志を当時の古屋範子副大臣の元に御案内して、美容医療の適正な実施を要望しました。古屋副大臣は先生方も頑張ってくださいよとおっしゃって、国の研究班が設置され、公共広告機構による啓発など進めていただきながら、検討が進み、法改正に至りました。
当時を振り返ると、美容医療に用いる材料の安全性が懸念されていました。啓発チラシに材料の文言を盛り込むよう質疑をして反映していただいた理由は、海外で催がん性のあるインプラントが豊胸手術に用いられるなど、薬事承認を受けていない薬物や機器が用いられることもある医療だからであります。法改正後、美容医療に用いる材料の安全対策をどう行うのか、大臣の答弁を求めます。
オンライン診療を法に定義した目的は、へき地に対する対応か、利便性の向上か、どのような範囲の医療がオンライン診療の対象となるのか、大臣の見解を伺います。
肺炎や骨折の予防、重症化予防について申し上げましたが、本年六月に与党と公明党との間で、重症化予防の推進による財政上の効果について検証することが合意されました。
公明党が実現をした胃がん予防のためのピロリ菌除菌の保険適用で、胃がんで亡くなる方の数は四十年間、約五万人から減らすことができなかったところ、保険適用後にはその数は直線的に減少し、今や約二五%の減少となりました。若い外科医にとって胃がんの開腹手術を経験することが困難になるくらいに早期発見が進みました。こうした財政上の効果についての検証はもう始まっているのか、今後どのように行っていくのか、大臣の見解をお伺いします。
攻めの予防と言いながら、その範囲は検診だけにとどまり、極めて狭いと指摘をします。ピロリ、肝炎ウイルス、HPVなど感染症を原因とするがんは介入の効果が高く、早急に行うべきです。
公明党は、医療へのアクセスを下げることだけで医療費を削減しようとする動きとは一線を画し、予防、重症化予防を推進し、よく寝て、よく食べて、よく運動する、その価値に共感を広げる努力を続け、健康対策に全力で取り組んでいくことをお誓いして、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣上野賢一郎君登壇、拍手〕