鬼木誠の発言 (憲法審査会)

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○鬼木委員 自由民主党の鬼木誠です。
 発言の機会をいただき、ありがとうございます。
 私からは、先ほどの新藤筆頭幹事の御発言を受けて、緊急政令の必要性について意見を述べたいと思います。
 各国の憲法には様々なスタイルがありますが、いわゆる緊急事態条項としては、国会機能を維持するための議員任期延長と、国会機能をどうしても維持できないような事態において政府が国会機能を一時的に代行する緊急政令、緊急財政処分を規定している例が多いものと理解しております。
 そこで、まず、緊急政令について、我が国においても憲法に規定を設けるべきではないかとの立場から、私なりの意見を申し上げます。
 まず、緊急政令とは、国会が立法機能を行使することができないような状況に陥ったり、立法措置を講ずる時間的余裕さえないような状況において、あらかじめ国会が設定した枠の範囲内で、一時的、暫定的に国会に代わって内閣が政令によって必要な措置を講ずるものです。あくまでも一時的、暫定的な国会機能の代替であり、国会機能が回復した時点で直ちに国会の承認を必要とすることによって、国会が民主的統制を果たすことは当然であります。
 もちろん、想定されるあらゆる事態に関し、あらかじめ法律を制定し、緊急時に講じることができる措置を整備しておくことは当然です。
 実際、現在でも、他国からの武力攻撃や大規模な自然災害、感染症の大規模な蔓延の発生等に備えて、それぞれの分野で緊急事態対応のための法律が整備されております。これらのうち、災害対策基本法、国民保護法や新型インフル等対策特措法においては、法律上の緊急政令制度が設けられており、緊急時には、これらの法律に基づき、内閣が一時的、暫定的な措置を講ぜられるようになっております。
 しかしながら、これらの個別法に基づく緊急政令によって取り得る措置は、一、物資の配給、譲渡制限等、二、物価等の統制、三、モラトリアム、四、海外支援の受入れという四類型に限定されております。なお、海外支援の受入れは、阪神・淡路大震災の発災によって初めてその必要性が確認され、一九九五年法改正により災害対策基本法に追加されたものであります。
 もし、緊急事態が発生し、国会が機能不全に陥った場合に、この四類型以外の立法措置が必要になったとしたらどうすればよいのでしょうか。現行憲法上、国会が機能不全に陥るほどの緊急事態が生じた場合に対処するすべは何も定められていないことから、緊急事態の法理に基づき、内閣が超法規的措置を行うほかありません。しかし、それでは、国会の事後的な承認という民主的統制も働かなくなってしまいます。
 このような民主的統制の働かない内閣の超法規的措置を認めるのではなく、国会があらかじめ制定した法律の枠組みの下、内閣に一時的、暫定的に立法権を与え、事後的に国会が統制するという緊急政令制度を憲法に設けておくことこそが立憲主義にかなうものと考えます。
 関東大震災などで歴史的に発出されてきた緊急勅令の内容は、現在、個別法に基づく緊急政令制度に取り込まれているからこれ以上必要ないのだという主張もありますが、海外支援の受入れが、阪神・淡路大震災においてその必要性が発見されたように、どのようなメニューが新たに必要になるかは予測不可能なのであります。
 以上、今後の議論の深掘りのため、緊急政令について私なりの意見を述べさせていただきました。次週の審査会では、是非、集中的なテーマとして、緊急政令を含めた緊急事態条項の問題を取り上げていただくことを私からも提案いたします。
 以上で発言を終わります。

発言情報

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発言者: 鬼木誠

日付: 2026-04-16

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会