新藤義孝の発言 (憲法審査会)

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○新藤委員 自由民主党の新藤義孝でございます。
 本日は、これまでの審査会で各会派から述べられた意見を踏まえまして、緊急事態条項に関する集中的な討議を行いたいと思います。
 先週、私からも緊急事態に関する主な論点を申し上げましたが、本日は、更に深掘りをして、全体像が浮かび上がるような整理をしたい、このように思っております。
 まず、対象となる事態でございますけれども、私たちが検討している緊急事態条項では、大規模自然災害、テロ・内乱、感染症蔓延、国家有事・安全保障、この四事態と、これらに匹敵する事態、これを掲げております。
 参政党の和田委員からは、感染症蔓延は人為的な発生の可能性もあり、これを含めた緊急事態条項には反対だという御意見もございました。
 この五つの事態は、緊急事態の例示を示してあります。大事なのは、これらの事態の発生によって国政選挙の適正な執行が困難になる、これがすなわち選挙困難事態の発生でございます。したがって、感染症蔓延が例示に挙げられていても、あらゆる感染症蔓延が自動的に緊急事態になるわけではないというふうに考えているわけです。
 参政党の皆さんとは、選挙困難事態における議員任期延長の必要性については認識を共有できる、このように思いますので、今後具体的な制度設計の議論を通して共通の理解を得られるように努力していきたい、このように思っております。
 次に、選挙困難事態の認定の判断要素です。
 これは、まず国政選挙の一体性が害されるほどの広範な地域という広範性の要件と、参議院の緊急集会での対応がどうしても難しいほどの長期性の要件という二つがあります。
 まず、広範性でございますが、そのポイントは、通常全国で一斉に行われるべき国政選挙の一体性とは何かに帰着をするわけです。
 国政選挙の一体性の根本にあるのは、公平公正な選挙です。これは、憲法十五条四項の投票の秘密や、十四条一項と四十四条の平等選挙の背後にある、いわば不文の原則であります。この公平公正な選挙の原則に照らすと、繰延べ投票により投開票がばらばらに行われた場合、それが広範なエリアになればなるほど、またそれが長期にわたればわたるほど、後々の投票行動に影響を与えていくことが予想されます。公平さ、公正さが失われていくことになってしまうわけであります。
 加えて、憲法四十三条一項では、国会議員は全国民の代表と位置づけられております。国政選挙が全国津々浦々の全国民の多様な民意を同じ時点で一斉に反映させることによって、地域的な偏差がなく、そして平等、公正に国会に反映させることができるというふうに考えるわけであります。
 以上のように、選挙の一体性は、個々の国民の選挙権行使の大前提にあるものであり、選挙制度を支える重要な原則と理解をするべきだと思います。
 この観点から、具体的にどの程度の広範性を想定するべきか、ここが今後具体的に検討すべきポイントだ、このように考えます。
 次に、長期性の要件であります。
 憲法五十四条二項に定める参議院の緊急集会をもってしてもどうしても対応し切れない相当程度の長期間にわたる選挙困難事態を想定し具体化していかなければいけない、重要な要件だというふうに思うわけであります。
 参議院の緊急集会は、まず、条文の表現上は、解散の場合に限定されています。また、内閣による要求があった場合にしか開かれず、権限にも一定の制約がある、このように解されているわけであります。この参議院の緊急集会の法的位置づけを明確にしつつ、例えば、衆議院の任期満了の場合にも適用するか、また、具体的な日数、期間を明文化するか、こうしたことが今後具体化する際のポイントになる、このように考えています。
 続いて、選挙困難事態の認定に係る国会承認の議決要件については、過半数か、三分の二以上の特別多数かという論点がございます。
 現行憲法上、国会の議決要件は過半数で行うことが原則であり、三分の二以上の特別多数を定めているのは、衆議院による法律案の再議決、懲罰事犯の除名などの場合であります。いわゆる一院の議決に関する三分の二以上の特別多数であって、両院共に三分の二以上の特別多数が要求されるのは、唯一、憲法改正発議の場合だけなんです。
 ですから、選挙困難事態はまさに両院の議決で判断するものであり、これのみを三分の二以上の特別多数とすることは、憲法の議決要件に関する考え方と異なることになってしまうわけであります。重要な判断ですからより慎重な議決要件とすべきという主張もあると思われますが、そもそも国会の二院で議決すること自体が重い判断であることを踏まえ、引き続き議論を深めたい、このように考えます。
 また、選挙困難事態の認定に対する裁判所の関与については、憲法裁判所や最高裁判所のチェックを主張する御意見もございます。しかし、これらはいずれも、それ自体がまた別個の憲法改正項目となるものであって、引き続きの検討が必要だろう、このように思います。
 私自身は、この選挙困難事態の認定とそれに伴う議員任期の延長については、緊急事態が解除された後の国政選挙によって最終的に国民が判断する仕組みになっています。内閣と国会による選挙困難事態の認定は、選挙という民主主義の最大の手続によって担保されるものというふうに考えておるわけであります。
 さらに、任期の延長期間につきましては、半年あるいは一年を上限とすべきとの意見が出されております。東日本大震災当時、地方議員の任期が最大で八か月程度延長されていること、また南海トラフや首都直下地震も想定すると、やはり一年程度は必要ではないかと思われます。そして、事態が一年で収束しなかった場合の再延長、この可否も含めて引き続き議論が必要ではないか、このように思います。
 衆議院の解散後に選挙困難事態に陥った場合に備えて、前衆議院議員の身分復活の道も確保しておかなければなりません。これにつきましては前回申し上げました。
 なお、緊急政令、緊急財政処分の必要性についても意見が述べられています。どのような状況に陥っても、国家は民主的統治を前提に運営されていかなければなりません。しかし、あらゆる努力をしても国会機能がどうしても維持できなくなった場合、そしてそういった状況、この備えとして緊急政令と緊急財政処分の制度を整備しておくことは、各国の憲法においても多く採用されています。国と国民を守るための究極の備えとして、より具体的な議論を深めるべきと強く考えています。
 以上、私なりの整理をさせていただきましたが、緊急事態条項については、本日の集中的な討議により、各会派より更に具体的な御意見が出されるものと思います。私としては、ここまで議論が、論点が深められたことに関し、現時点における緊急事態条項の議論をピン留めする意味でも、次回の審査会において何らかの具体的なイメージを明らかにしてはどうか、このように提案をさせていただきます。その内容につきましては、本日の討議を踏まえ、また今後筆頭間で協議をさせていただきたいと思います。
 是非、各会派からも、次回の審査会で何らかの具体的なイメージを明らかにする、このことにつきまして御意見を頂戴したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。

発言情報

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発言者: 新藤義孝

日付: 2026-04-23

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会