鈴木英敬の発言 (憲法審査会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○鈴木(英)委員 自由民主党の鈴木英敬です。
 本日は、これまでの審査会において議論が深められてきた緊急事態条項について、諸外国の制度やその状況を御紹介をいたします。
 ケネス・盛・マッケルウェイン教授の諸外国憲法の統計的な分析によれば、緊急事態条項を規定している憲法は一九五〇年代から増加をし、二〇二〇年時点では世界の憲法の九一%に上るとされています。また、西修駒沢大学名誉教授の調査によれば、諸外国において緊急事態条項が設けられている憲法は百八十九か国中百八十四か国、九七・四%であり、さらに、一九九〇年二月から二〇二〇年十一月までに新しく制定された百五か国の憲法には全て緊急事態条項が設けられているとされています。
 このように、ほとんどの諸外国憲法には緊急事態条項が設けられています。諸外国の事例は、我が国とは歴史的経緯や国の政治体制、国柄が異なる場合もあり、直ちにそのまま取り入れられるものではありませんが、しかし、制度の検討に当たり参考となるものもあるのではないでしょうか。
 まず、議員任期延長などの議会機能維持の事例について述べます。
 国会図書館の資料によれば、OECD三十八か国のうち二十三か国、六一%に緊急事態の宣言を発動要件とする宣言型の緊急事態条項があり、この二十三か国のうち十二か国が議員任期延長について規定を有するとされています。例えば、ドイツ基本法では、武力攻撃に対処するための防衛事態の下における連邦議会議員の任期の延長や、連邦議会の解散の禁止が規定されています。
 このような諸外国における議会機能維持の制度の詳細については、後の我が党の同僚議員からの発言に譲りたいと思います。
 続いて、緊急政令のように、緊急時に国会の立法機能を内閣に代行させる仕組みも多くの国にあります。
 例えば、先ほどの国会図書館の資料によれば、宣言型の緊急事態条項がある二十三か国のうち七か国に緊急命令に関する規定があるとされています。こうした緊急命令を定める国は、議会の承認等を得られない場合の失効規定や議会による廃止も定めるなど、民主的統制が担保されている例が多いとされています。
 続いて、諸外国における、実際に緊急事態条項を発動した事例を述べます。
 まず、イタリアでは、憲法に、緊急の必要がある非常の場合には、政府がその責任において法律の効力を有する暫定措置を取ることができる旨の規定が置かれています。コロナ禍においては、感染拡大を受け、この規定に基づき、罰則つきの移動制限を含む国民等の活動制限や家庭等に対する支援、医療体制の強化を内容とする緊急法律命令が制定されました。
 次に、フランスでは、憲法上の緊急事態条項として、大統領の非常措置権と戒厳が規定されています。このうち大統領の非常措置権は、一九六一年のアルジェリア独立戦争の際にこれに対処するために発動されましたが、これが憲法上の緊急事態条項の唯一の発動事例です。なお、二〇一五年パリ同時テロなどの緊急事態においては、法律上の緊急事態条項によって対応が行われております。
 以上、諸外国憲法における緊急事態条項について紹介しました。
 なお、欧州評議会の諮問機関であるベニス委員会が二〇二〇年に公表した報告書においては、緊急事態では憲法の基本原則に制約を課すことが通例であることから、緊急事態に関する基本的な規定は憲法に盛り込まれるべきであるとされています。こうした諸外国の知見に学ぶところも多いのではないでしょうか。
 本日の各会派からの御意見からも分かるように、緊急事態条項についての議論は既に大いに深まっております。新藤筆頭幹事が冒頭の発言の最後におっしゃった、緊急事態条項に関する議論のピン留めとして何らかの具体的なイメージを次回の審査会で明らかにするとの御提案に賛同いたします。是非、筆頭間、幹事間で詰めていただくようお願い申し上げまして、私の発言を終わります。

発言情報

speech_id: 122104183X00420260423_016

発言者: 鈴木英敬

日付: 2026-04-23

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会