新藤義孝の発言 (憲法審査会)
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○新藤委員 自由民主党の新藤義孝でございます。
本日は、憲法九条の改正案について、これまでの討議を踏まえながら、私なりの意見を述べさせていただきたいと思います。
我が国は、基本的人権の尊重、国民主権、平和主義という日本国憲法の三大原理の下、戦後の荒廃を乗り越えて、今日の自由で安全な社会を築いてきました。
私たち自民党は、この平和主義の原理を尊重しながら、我が国の安全保障法制を整備し、いついかなるときも国と国民を守り抜くための国防の在り方を憲法に規定し、そしてその担い手である自衛隊の明記を行う憲法九条の改正を提案をしているわけであります。
これに関連し、自民党の九条改正案によって自衛隊の活動は変わるのかという御質問を頂戴をしております。
九条一項、二項をそのまま残しておりますのは、平和主義の原理を尊重するという姿勢の表れであり、まず、憲法上の自衛隊の位置づけを変えようとするものとは考えておりません。
他方、自衛隊の活動内容と必要な機能については、安保環境の変化や軍事技術の革新など我が国を取り巻く安全保障上の脅威に対応するものでなければならず、状況に応じた安全保障法制の検討と速やかな整備は必須である、このように考えているわけであります。
憲法九条を改正することは、安全保障法制の完成をもたらし、国の防衛を担う自衛隊の活動内容と必要な機能が一層充実することにより、国防体制の強化につながると考えているわけであります。
二〇一五年の平和安全法制の整備では、限定的な集団的自衛権を定める存立危機事態や重要影響事態における活動が我が国防衛の一環として位置づけられました。また、在外邦人等の保護措置など、国民を守るために必要な措置も整備されました。国の存立と国民の生命財産を守るために必要な、切れ目のない措置が実施可能となったわけでありまして、自衛隊による我が国防衛のための活動は、現状において、必要かつ十分に行えるようになったわけであります。
しかし、今後も自衛隊の活動に求められる機能は、安保環境などに応じて相対的に変化させていかなければならず、現在検討されている防衛三文書の整備、改定の検討などはまさにその具体例と言えるわけであります。我が国を守るための自衛隊の運用は、憲法上の位置づけの明確化と併せ、一般法制による安全保障法制の整備を行う総合的な検討により常に最適な状態にしておく必要があることは言うまでもありません。
憲法九条の改正案は、平和主義に基づく自衛隊の位置づけを変えることなく、国防上必要な自衛隊の運用や機能などに関する、安全保障に関連する法体系全体の整備を図るものであり、基本法たる憲法の国防に関する規定を明確化し、その担い手である自衛隊の明記により我が国の防衛体制の一層の充実強化を図るものと位置づけています。
また、自衛隊は我が国に対する安全保障上の脅威に十分に対応できるのか、自衛隊が一層の能力を発揮できるよう憲法九条二項を削除すべきという意見もしばしば聞かれます。加えて、自衛隊はポジティブリストでしか行動できず、他国の軍隊のようにネガティブリストで行動できるようにしなければ国を守ることが十分にできない、こういう御指摘もあります。
重要な指摘でありまして、改めて、自衛隊の活動はどのような規範にのっとって行動しているのか、私なりに整理をしたいと思います。
まず、自衛隊が行う災害派遣、海上警備行動、領空侵犯対処措置、いわゆるスクランブル発進でございます。これなどは確かに警察作用であり、ポジティブリストによって行われています。しかし、こうした活動は他国の軍隊が行う場合にも警察作用とされ、自衛隊と同様に、ポジティブリストに基づいたものと位置づけられております。自衛隊の活動、いわゆる災害派遣等の活動は他国と同様の規範にのっとって行われているということであります。
一方、国を守る究極の行動である防衛出動につきましては、何にのっとって規範されるかというと、武力攻撃事態や存立危機事態における武力行使の際の自衛隊は、ネガティブリストにのっとって行動することになります。自衛隊法八十八条二項の、事態に応じ合理的に必要と判断される限度であればいかなる武力行使をも行うことができるという規定は、まさしくネガティブリストそのものであり、諸外国の軍隊が行う活動と全く同じものであります。
幸いにして、我が国の自衛隊は、その創設以来一度も防衛出動が発令されたことはなく、これまでネガティブリストによる行動を行ったことはありませんが、自衛隊員は、いざというときに備え、創設以来、日々命懸けの厳しい訓練を積んでいる、このように承知をしております。
このように、自衛隊は国と国民を守るために必要かつ十分な行動を取ることができるわけですが、諸外国の軍隊と異なる点もあります。それは、一つは、他国を占領したり占領行政をしくことは行わないこと、もう一つは、自国防衛と直接に関係のない純粋な国際協力の場面で武力行使を行うことはしない、この二つです。
九条二項を削除し、フルスペックの集団的自衛権を行使可能とすべきという御意見があることも承知をしており、我が国の安全保障を充実させるための議論と位置づけております。
こうした論点が我が国の従来の平和主義を排することにつながり、すなわち、他国を占領したり占領行政をしいたり、自国の安全と関係のない場面での武力行使まで容認するという議論にそのまま結びつくことのないよう、そうした面も含め、丁寧かつ国民的な議論を行う必要があると考えているわけであります。
一方で、あらゆる局面において国と国民を守り抜くという観点から、憲法九条の改正論議を深めることは国家形成の基本であり、国の形を整えるための必須要件であると考えます。
そのよりどころとなる基本法たる憲法には、誰が、どのような手段を用い、どのように国を守るかという国家の最重要任務である国防の観点が規定されておらず、いわば現行憲法の未完成部分となっています。憲法に国防規定を創設し、その担い手となる自衛隊を明記することによりこの憲法の未完成部分を埋めようとするのが自由民主党の提案であること、これを是非御理解いただきたいと思います。
以上、私たち自民党が考える憲法九条の改正の必要性とポイントを述べさせていただきました。
本日の集中討議において出される御意見も踏まえ、憲法九条についての議論を更に深め、これまで出された意見をまとめ、論点整理を行いながら具体的な作業を進め、結論を出せるように集約したいと考えております。取りまとめの方策などにつきましては、筆頭間や各会派の皆さんと引き続き協議をしてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。