畑野君枝の発言 (憲法審査会)
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○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。
憲法九条について意見を述べます。
日本国憲法は、前文で、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、九条で、戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認を定め、徹底した平和主義を貫いています。これは、日本が侵略戦争と植民地支配によって日本国民三百十万人、アジア太平洋地域で二千万人以上もの犠牲を出したことへの痛苦の反省によるものです。このことから、日本国憲法は戦争につながる一切のものを否定しているのであり、憲法九条はその核心です。
九条は、絶対に戦争を起こさないこと、あらゆる争い事を武力ではなく徹底した外交努力によって解決することを強く求めています。今、この九条の精神が世界の平和のためにも強く求められています。アメリカとイスラエルによる無法なイラン攻撃を見ても、軍事力で平和をつくれないことは明らかです。国民の中から九条を守れの声が大きくなっているのも、九条の価値が今こそ必要とされているからにほかなりません。
一方で、この憲法審査会では、九条を変えて憲法に国防規定を設けるべきだとか、国防軍として位置づけるべきだという主張がされています。しかし、今、国民の多くは改憲を求めていません。朝日新聞と東京大学が有権者に対して行った共同世論調査では、改憲を政治の優先課題と考える人は僅か一%です。国民が求めていない改憲のための議論ではなく、九条の精神を現実の政治や外交に生かすための議論こそ必要だと強調しておきたいと思います。
その上で、九条に反する現実の政治について、二つの点を述べておきたいと思います。
第一に、日米安保条約と在日米軍基地の問題です。
前回、強大な戦力を持つ在日米軍が地域の緊張を高めていると指摘しました。日米安保条約と地位協定は、米軍に全土基地方式と基地の自由使用を認め、在日米軍基地は米軍の国際法違反の戦争の出撃拠点とされてきました。イランへの攻撃でも米軍は横須賀や沖縄から出撃していますが、日本政府は問題にすらしていません。スペインやイタリアなど各国は、米軍のイラン攻撃での基地や領空の使用を拒否しています。日本の態度は余りにも従属的だと言わなければなりません。
また、東京や神奈川を含めた一都九県に及ぶ広大な空域の航空管制権は米軍横田基地が握っており、羽田空港や成田空港に離着陸する民間機は、米軍の許可がなければ空域内を通過することすらできません。主権国家の首都の上空を外国軍隊が管理しているなど、極めて屈辱的であり、とても普通の国ではありません。
この下で、米軍機からの落下事故や低空飛行による爆音、繰り返される米軍関係者による性的暴行など、米軍による事件、事故によって国民の人権が脅かされていることは極めて重大です。
次に、米軍と一体の日本の軍拡の問題です。
政府は、二〇一四年に、それまで歴代の自民党政権も憲法九条の下で認められないとしてきた集団的自衛権の行使を一片の閣議決定によって容認へと解釈を変更し、安保法制を強行しました。地球上のどこであれ、どのような戦争であれ、自衛隊が出動して米軍を支援できるようにするためのものです。
さらに、二〇二二年の安保三文書改定で、敵基地攻撃能力の保有に踏み切りました。しかも、日本への攻撃がなくても、集団的自衛権の行使として敵基地攻撃が可能としています。
この下で、今、日米の指揮統制の一体化が強化され、自衛隊は全国各地で長射程ミサイルの配備を進め、アメリカもトマホークを発射できるミサイルシステムを日本に展開しています。日本が攻撃されていないにもかかわらず、集団的自衛権を発動して、米軍と一体となって相手国を攻撃するためのものにほかなりません。
その上、高市政権は、今年四月に殺傷兵器の輸出を全面的に解禁し、世界各国に売り込んでいます。世界の軍拡を助長し、武器輸出によってもうける死の商人国家への道を突き進むものです。さらに、安保三文書の改定の議論を前倒しで進めており、そこでは非核三原則を見直すことまで主張されています。唯一の被爆国としての責任を放棄し、世界の核軍縮の流れに真っ向から逆行するものであり、断じて認められません。
そもそも、武器輸出禁止も非核三原則も、幾多の国会議論を経て衆参両院で決議された国是です。時の内閣の恣意的な決定で覆すことは到底許されません。こうした憲法九条に反する現実の政治を正すことが必要だと指摘して、発言を終わります。
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