阿部圭史の発言 (憲法審査会)
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○阿部(圭)委員 日本維新の会の阿部圭史です。
前回の憲法九条に関する集中討議では、現在の自民党の自衛隊明記案と、現在の我が党の案であり、かつ十年前の自民党も掲げていた憲法九条二項削除と国防軍創設案に関する違いについて、特にその作用法及び組織法上の違いについて説明をいたしました。
現在の自衛隊は、国内的には実力組織として、国際的には軍として更に強化すべき点が多いことに鑑み、我が党の憲法九条二項削除と国防軍創設案は、作用法と組織法の双方を大きく変更します。
その際、玉木委員より、我が党が自衛隊明記案ではなく憲法九条二項削除と国防軍創設案へと発展させた理由についてお尋ねがございました。恐らくこの後も御質問されるのだと思いますので、先取りしてお答えをいたしたいと思います。
我が党は、昨年九月に公表した「提言 二十一世紀の国防構想と憲法改正」において、九条二項削除による集団的自衛権行使の全面容認及び国防軍の創設をうたい、リアリズムの視座に立ち、正面から国際安全保障環境を見据えています。
安全保障を考える上でまず真っ先に直視すべきなのは脅威認識であります。結論から申し上げれば、我が党が自衛隊明記案ではなく九条二項削除と国防軍創設案へと発展させたのは、脅威認識が高まったからというシンプルな理由であります。
中国は昨今、我が国への領海侵入及び領空侵犯を繰り返し、軍事活動を活発化させており、我が国の安全に深刻な影響を及ぼし得る状況にあります。このような中国の活動は、東シナ海のみならず、南シナ海、太平洋、インド洋にわたって拡大しており、自由で開かれた国際秩序を志向する国々への深刻な脅威となっています。
北朝鮮は、核兵器及び大陸間弾道ミサイルの開発を拡大していることに加え、日本海に向けて弾道ミサイルの発射を繰り返すなど、我が国の安全保障に深刻な脅威を及ぼし続けています。
加えて、二〇二二年以来継続しているロシアによるウクライナ侵略に際し、ロシア及び北朝鮮は、二〇〇〇年締結のロ朝友好善隣協力条約を深化させたロ朝戦略的パートナーシップ条約を二〇二四年に締結し、相互防衛義務を有する軍事同盟となりました。その後、北朝鮮は、軍を派遣し、ロシアによるウクライナ侵略に参戦しています。
また、二〇二四年五月、中国及びロシアは、首脳会談において、新時代のための中ロ包括的戦略パートナーシップの深化に関する共同声明を採択し、激動し変化する世界秩序に直面する中、中ロ関係は国際情勢の変遷という試練に耐え、安定性と強靱性を示し、現在、歴史上最高のレベルにあるとうたい、軍事的連携も深めています。このような状況は中ロ協商とも評されています。
さらに、中国及び北朝鮮は、一九六一年に締結した中朝友好協力相互援助条約において自動参戦条項、相互防衛義務を定めている軍事同盟の関係にあります。
このように、我が国は、中朝ロという三つの正面から通常戦力及び核の脅威にさらされています。このような三方向の軍事圧力に直面する事態は、歴史上我が国が経験したことのない事態です。二十一世紀における我が国の国防は、軍事的に拡張する中朝ロに対して抑止力及び対処力をいかに高めることができるかが焦点です。
二十一世紀の国防は、これらの脅威がせり出してくる東シナ海、南シナ海、太平洋、インド洋の四つの海をいかに守るかの戦いです。そのためには、我が国の自律的な防衛力の増強に加え、日米同盟の深化及び新時代における軍事同盟の拡大を行う必要があります。それによって、二十一世紀の勢力均衡、バランス・オブ・パワーを構築し、四つの海にわたる国際秩序の安定を図ることが可能になると考えます。我が国一か国だけでは守れず、日米同盟だけでも不十分であります。同じ海洋国家であり、準同盟国でもある豪州、フィリピン、英国等との関係を同盟レベルにまで引き上げ、これらの海をいかに守れるかが問われています。
そのためには、憲法九条二項削除による集団的自衛権行使の全面容認が必要であり、米国とも対称的双務性に基づく相互防衛義務が必要となるのではないでしょうか。
玉木委員には是非、我が党の「提言 二十一世紀の国防構想と憲法改正」をお読みいただければと存じます。そこに全て記載されております。
連立政権合意書の前文には、自民党と我が党は国家観、国際政治観、安全保障観を共有していることを明記しています。すなわち、脅威認識を共有していると言えると思います。
自民党は、二〇一二年憲法改正草案の九条二項削除と国防軍創設案から、自衛隊明記案へと考えが変わられました。しかし、決して、戦後最も複雑で厳しい安全保障環境と言われている中において、脅威認識が低下しているということではないと思います。むしろ現下の脅威認識の高まりを感じておられ、それを共有していると思いますので、自民党の皆様もまた、九条二項削除と国防軍創設案へと再度発展していただけると信じております。
我々与党両党は、共に憲法九条改正を果たすべく、連立合意書に基づき、与党憲法改正条文起草協議会において九条の議論を行っており、共に条文を起草していく所存であります。
私からは以上です。