上川陽子の発言 (憲法審査会)

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○上川委員 自由民主党の上川陽子です。
 私からは、統治機構の一環として規定されている地方自治に関する憲法改正につきまして、意見を述べたいと思います。
 地方自治に関する規定がなかった明治憲法と異なりまして、現行日本国憲法は、地方自治に関する章として第八章を設けております。その中では、九十二条が「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」との基本原則を定めた上で、九十三条では議会の設置と首長、議員の直接公選を、九十四条では行政執行権や条例制定権を定めております。また、九十五条では、一の地方公共団体のみに適用される特別法に関する住民投票について規定しているところであります。
 一九四六年の日本国憲法制定以来、この四か条に基づきまして我が国の地方自治は運営をされてきました。二〇〇〇年には機関委任事務が廃止され、国と地方が上意下達の関係から対等、協力の関係に大転換されるという第一次地方分権改革が行われております。
 しかし、日本国憲法制定から八十年、地方分権改革から二十六年がたち、現在、自治体は分権疲れともいうべき状態にあると言われております。財政面を始めとして自治体間の格差が広がり、住民自治、団体自治を十分に発揮している自治体とそうでない自治体の差がますます大きくなっています。
 一部には、潤沢な財政力の下、行政執行権や条例制定権を十二分に活用し自治力を発揮する自治体がある一方、多くの地方では、急激な少子高齢化、人口減少、過疎化の進展、財政力の衰亡という深刻な状況に陥り、各政策分野における国の制度を受け止め切れなくなっている自治体も現れているほか、中には、首長や地方議員のなり手不足から無投票当選になったり、議会を維持できるかどうかの瀬戸際に追い込まれている自治体すら出始めています。統治機構の基本単位である自治体が回らなくなっている厳しい現実であります。
 改めて憲法第八章を見ますと、四か条と条文が少ないだけでなく、総則的な条文であります九十二条は極めて抽象的であります。この条文は、地方公共団体の組織及び運営に関する事項は法律で定めるものであること、そして、これらを法律で定めるに当たっては地方自治の本旨に基づくべきであること、これら二点を要請するものであって、地方自治の基本原則を定める特に重要な規定と見られております。しかし、肝腎の地方自治の本旨の内容や、地方公共団体にはどのようなものがあるのか、都道府県、市町村は憲法上どのように位置づけられるのかは明確ではありません。これらの基本的事項は全て解釈と法律に委ねられてしまっているのです。
 地方自治が置かれている現状を踏まえれば、次の時代を形作っていくためには、国の形について、地方自治の法体系全体を、憲法典と憲法附属法規や一連の基本法などの総体から成る生きた憲法、いわゆるリビングコンスティチューションとして捉え、憲法自体については地方自治の章の規律密度をもう少し上げるとともに、地方自治法を始めとして、時代の変化に向き合うための法制度の見直しや新規制定も必要となるのではないでしょうか。
 このような問題意識を背景として、私たち自民党の改正案では、九十二条を改正し、基礎自治体たる市町村と広域自治体たる都道府県に憲法上の位置づけを与え、これにより、地方公共団体の基盤の安定化、ひいては地方自治の充実強化に資することを期待しています。その上で、一票の価値の平等と議会制民主主義の基礎となる地域の民意の反映のバランスを取ることを目指すものであります。
 以上、憲法上の地方自治に関する規定の在り方に関して意見を申し上げましたが、参議院における合区の議論を踏まえつつ、地方自治の問題につきましても本審査会で更に議論を深めていく必要があります。更に集中的な討議が必要であるということを申し上げ、私からの発言といたします。
 ありがとうございます。

発言情報

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発言者: 上川陽子

日付: 2026-06-25

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会