新藤義孝の発言 (憲法審査会)

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○新藤委員 自由民主党の新藤義孝です。
 まず、前回の合区に関する意見につきまして、本日は、地方公共団体の位置づけについて私から意見を述べたいというふうに思います。
 私たちが提案している、地方公共団体の位置づけを明確にするための憲法改正は、未完とされている憲法第八章、地方自治の章を完成させるための作業というふうに位置づけております。
 大日本帝国憲法には地方自治に関する規定がございませんでした。明治憲法においては、法律以下の下位法令で地方自治は定められていたわけであります。
 まず、国家行政を処理するための地方制度として、知事の官選、大臣による知事に対する指揮命令権などの規定がありまして、地方官についての勅令で定められておりました。もう一つは、事業団体としての地方制度であり、路面電車や地下鉄、バスの運行、廃棄物処理など地域のための事業を行う団体に関する事項が、府県制、市制町村制といった法律で定められていたわけであります。
 つまり、明治憲法下での地方制度は、国家行政を処理する国の出先としての側面と、また地域のための事業を行う団体としての側面があり、国の出先としての側面が圧倒的に大きかったため、全体として中央集権的な性格が強かったと言われているわけであります。
 これに対して日本国憲法では、地方自治と題する特別の章が設けられ、僅か四か条ではありますけれども、幾つかの事項が規定されています。まず冒頭の九十二条では、地方自治の本旨という理念が規定され、次に九十三条では、地方議会を必ず置かなければならないこと、そして首長や地方議会の議員は全て住民による直接公選で選ぶべきことが定められました。さらに九十四条では、地方公共団体は国とは別の団体として行政執行権や条例制定権を有することが明記されています。
 これらは、中央集権的で国の下請機関という位置づけであった明治の地方制度と比較すれば画期的なことだった、このように思うわけであります。新しい民主国家日本を建設するための地方自治を憲法に規定したことは、国家運営の根本概念を変更する大改革であったというふうに言えるわけであります。一九四六年の日本国憲法制定時に初めて規定された地方自治の概念を具体化し、その規律密度を高めること、それは制定当時から今に続く要請ではないか、このように考えております。
 地方に関する一般法律は、地方自治法を中心に、国民生活と社会の変化を踏まえ、度々改正がなされ、二〇〇〇年代には地方分権に関する大改革が行われました。現在まで様々な検討が加えられているわけでありますけれども、一方で、基本法である憲法には、この第八章、制定当時の四か条のままでありまして、一般法と同様に、地方自治の理念をより明確にし、必要な制度の具体化を憲法においても図る必要がある、このように考えているわけであります。
 私たちが提案する、合区解消、地方公共団体に関する憲法改正は、基礎自治体としての市町村と、これを包摂する広域自治体としての都道府県、これを憲法に明確に位置づけて、議会制民主主義の基礎となる選挙区の設定についても、一票の格差の是正に併せて、民意の適切な反映のエリアの根拠を明確にしようとするものであります。これは、九条の改正や緊急事態条項の創設と同様に、日本国憲法の未完成部分を完成させようとする提案と御理解いただければありがたいと思います。
 次に、これまでの討議を深掘りする観点から、九条に関する残った論点を整理させていただきます。
 国民民主党の玉木委員からは、私が申し上げた国際法上も国内法上も自衛隊は軍隊と位置づけられるという発言は党の見解なのか、それとも個人的な見解なのか、従来の政府見解とどのような関係にあるのかという御質問をいただいております。
 私の発言は、これまでの政府見解を受け止めて、それを整理して申し上げた発言だというふうに考えております。
 昭和三十年代から現在に至るまで、政府は、外国からの侵略に対処する任務を持つものを軍隊というならば、自衛隊は軍隊といえるという見解を述べています。あわせて、政府はこの点について、自衛隊は、憲法上、自衛のための必要最小限度を超える実力を保持しないなどの制約が課せられており、通常言われる軍隊とは異なる面があるとも答弁し、自衛隊が軍隊かどうかは定義の問題に帰着するという認識を示しているわけであります。
 私の発言は、国の平和と独立、また国民の生命財産を守るために武力行使をするという点では、各国が持つ軍隊と自衛隊の役割は変わることはなく、そのような定義であればと申し上げた上で、国際法上も国内法上も軍隊と言えるというふうに述べました。そして、これに続けて、他国を占領し占領行政をしくことや、自国防衛と直接に関係しない純粋国際協力の場面での武力行使はしないという意味で、他国の軍隊とは違う面があるとも述べているわけであります。政府がこれまで述べてきたように定義の問題に帰着するという意味で、政府答弁と同趣旨の発言であることが御理解いただけるのではないかというふうに思います。
 いずれにしても、自衛隊は、我が国の存立と国民の生命財産を守り切るために必要な活動は実際に行うことができる法制度となっていると解釈され、運用されております。
 一方で、国の防衛を担う自衛隊の活動と機能は、刻々と変化する我が国を取り巻く安全保障などに応じて相対的に変化をさせ、強化させていかなければならないわけであります。
 私たちが提案する、憲法九条一項、二項はそのままに、九条の二として国防規定の創設、実力組織としての自衛隊の明記、シビリアンコントロールの規定、これを定める改正案は、憲法上の自衛隊の位置づけを変えることなく、明確な規定により国防に関する基本法と一般法体系を完成させ、実際の運用場面での総合的な検討の拡充を行うことによって、常に我が国の国防体制の最適化、抑止力強化を図ろうとするものであります。
 憲法審査会では、各会派の理解と協力を得て様々な議論を精力的に行い、議論をピン留めし、更に深掘りすべき点を明確にしてまいりました。次回の審査会では、こうした現状を全体的に整理する意味で、総括的な討議を行ってはどうかと考えております。あわせて、国民の皆様にこうした私たちの議論を直接お伝えするためにも、NHKに対し中継放送を要請することをただいまの幹事会で決定させていただきました。具体的な内容については筆頭間や各会派の皆さんと相談してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 新藤義孝

日付: 2026-07-09

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会