古川あおいの発言 (憲法審査会)
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○古川(あ)委員 チームみらいの古川あおいでございます。
前回の憲法審査会では、合区について、地方の声と一票の価値の平等という、いずれも欠かすことのできない二つの価値をどう両立させていくのかということについて考えを申し上げました。
本日は、その続きとして、二つの点を申し上げます。
第一に、憲法第四十三条の全国民の代表という原則について、なぜこれを大切にするべきなのか、私どもの考えを申し上げます。
憲法第四十三条第一項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」と定めております。この全国民の代表という原則には、一人一人の国会議員が、自らの選挙区や出身地の利益だけを託された使者ではなく、日本全体の未来に責任を負う立場であるという意味が込められていると考えております。憲法学では、これを自由委任と呼んでまいりました。議員は、自らの選挙区や後援者の個別の指示に法的に縛られず、国全体の利益を見据えて判断すべきだという考え方でございます。
仮に特定の地域からの代表であることを憲法に直接書き込みますと、議員が地域の利害の代弁者としての性格を強めていくのではないかということも考えられます。それは、人口が減っていく地域と増えていく地域もある中で、限られた資源をどう分かち合うのかという国全体で背負うべき難しい判断をかえって進みにくくしてしまうおそれもあると考えます。
地域の声を国政に届けることと、一人一人の議員が全国民の代表であり続けることは、決して対立するものではございません。むしろ、地域の実情を深く知る議員がその知見を国全体の視点に立って生かしていく、そうした形を目指すべきではないかと考えております。
地方の声を国政に届ける器は、選挙区の区割りだけではございません。その声を託す一票を誰もが確実に投じられる環境そのものもまた、もう一つの大切な器でございます。チームみらいが掲げている、インターネット投票や電子投票を導入し、テクノロジーの力で一票を投じやすくしていく取組は、地方の声を届けるという議論と根を同じくするものでございます。
第二に、合区を解消する手段を憲法改正に求めるのか、法律の改正で対応するのかという議論に入る前に、一度立ち止まって確かめておきたい論点がございます。それは、私たちが参議院にそもそも何を期待するのかという点でございます。
合区が導入されて十年ほどがたちますが、この間、対象となった選挙区では投票率の低下が指摘され、投票用紙に合区反対と書き込まれた無効票も見られたと言われております。自分たちの地域を代表する顔が見えにくくなったという有権者の戸惑いは決して小さくないのだと感じております。
前回の憲法審査会でも、参議院を地域の代表の府と位置づけてはどうかというお考えや、まずは参議院のあるべき姿から議論すべきだというお考えなど、様々な御意見が示されました。
合区をどう扱うのかは、突き詰めれば、衆議院と参議院で役割をどう分け合うのか、そして、参議院に地域の視点をどこまでどのような形で持たせるのかという、二院制の設計そのものに関わってまいります。参議院を都道府県の代表と明確に位置づけるのか、それとも、全国民の代表という原則を保ちながら地域の実情に配慮していくのかという部分について、各会派の考え方にはなお隔たりがございます。
この点について、私どもの立場を改めて申し上げれば、先ほど述べましたとおり、参議院議員もまた全国民の代表であるという原則そのものを踏まえつつ、合区の問題を、地域の代表か全国民の代表かという二者択一として捉えるのではなく、全国民の代表という土台を保った上で、その枠の中で地域の実情への目配りをどこまでどのような形で確保していくのかという、程度と設計の問題として受け止めたいと考えております。
地域の実情を肌で知る方がそれぞれの地域から選ばれ、その知見を国全体の視点に立って持ち寄ることそれ自体は、全国民の代表という原則と何ら矛盾するものではなく、むしろ大切にするべきことだと考えております。
この問いには、世界の国々もそれぞれに異なる答えを出してまいりました。
例えば、アメリカでは、上院を人口にかかわらず全ての州から二人ずつ選ぶ仕組みを取っております。人口が最多のカリフォルニア州と最少のワイオミング州ではおよそ六十七倍の差がありますが、上院ではひとしく二議席です。
イタリアでは、憲法で上院について州を基礎として選出されると定め、人口の少ない州にも議席をあらかじめ保障してあります。憲法に州という単位を書き込むことで地域の声を反映させています。
このように、地域の視点をどう組み込むのかは国によって答えの分かれる重要な選択でございます。こうした課題については、手段を先に決めるのではなく、まず、参議院に何を期待するのかという土台の部分でどこまで認識を共有できるのかを確かめることから始めるべきではないかと考えております。
選挙制度は、その時々の一時的な多数だけで形作るのではなく、幅広い合意と国民の皆様の納得を土台に腰を据えて議論を進めていくべき領域でございます。
私どもは、合区の問題も地方公共団体の在り方も、突き詰めれば、人口が減少していく時代にあっても地方の声を国政に反映し続けるにはどうしたらいいかという一つの問いに行き着くものと受け止めております。この問いに開かれた形で向き合いながら、引き続き議論を深めてまいりたいと考えております。
以上です。