下村博文の発言 (憲法審査会)
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○下村委員 自民党の下村博文です。
今の本田委員の発言に沿って、重ねて発言を申し上げたいと思います。
軍隊の行動については、諸外国では一般的に、してはいけないと列挙されていること以外はしてもよいというネガティブリスト方式で規律されております。これに対して自衛隊は、してよいこととして列挙されている権限のみを行使できるというポジティブリスト方式で規律されていると指摘をされていることがしばしばあります。
確かに、自衛隊創設以来、これまで防衛出動が下命されたことは幸いにして一度もありません。そのため、自衛隊は、ポジティブリストで行動してきたことは事実であります。しかし、いざ防衛出動し、武力を行使する際には、自衛隊も自衛隊法八十八条の規定に基づいてネガティブリスト方式で行動することになっているということについて、改めて整理して申し上げたいと思います。
まず、ネガティブリスト方式とは、そもそも軍隊は国と国民を守るためであれば原則として何でもできる権限が与えられている、ただし、例外的に、個別的に列挙される制限事項についてだけは行うことができないと位置づけられているものであります。そして、その権限事項としては、国際法による規制、例えば、非軍事目的に対する攻撃の禁止や、捕虜、文民の取扱いに関する規制などが挙げられております。逆に言えば、こういった制限以外の事項は国を防衛するためには何でもできるということでもあります。
外国からの武力攻撃があった場合の自衛隊の対応について、具体的条文に当たりながら説明をさせていただきたいと思います。
外国からの武力攻撃があった場合に、防衛出動が下命された自衛隊は必要な武力行使を行うことになりますが、その根拠は自衛隊法八十八条になります。まず、第一項で、防衛出動を命じられた自衛隊は、我が国を防衛するため、必要な武力を行使することができるとされ、第二項では、事態に応じて合理的に必要と判断される限度を超えない限り武力を行使することができるとされております。その上で、同じ第二項では、武力行使に際しては、国際の法規及び慣例を遵守しなければならないともされております。
このように、自衛隊は、外国からの武力攻撃があった場合、我が国の存立と国民の生命財産を守り抜くために必要かつ十分な武力行使は原則として何でも可能であり、できないことは国際法上できないことのみに限られているということであります。諸外国の軍隊と全く同様の典型的なネガティブリスト方式となっているということが御理解いただけると思います。
なお、防衛出動時においても、自衛隊法に適用除外規定がない限り、一般法の規制は自衛隊にも原則そのまま適用され、結局は、国と国民を守り抜くための武力行使は原則何でも可能とは言えないのではないかという指摘をいただくことがあります。例えば、自衛隊法百六条では、自衛隊の行う火薬類の製造、貯蔵、運搬、消費その他の取扱いについて火薬類取締法の規定を適用しないこととなっており、こうした個別の適用除外規定がない限り、武力行使を行う自衛隊に対しても通常どおりの規制がなされるのではないかという疑問であります。
しかし、こうした適用除外規定が妥当するのは、あくまでも戦闘行為以外の場面と解されております。すなわち、防衛出動の下命がなされ、自衛隊が武力を行使するといった戦闘行為の場合では、先ほど申し上げた自衛隊法八十八条が優先的に適用されますので、適用除外規定の有無は関係ないということになります。このことは政府答弁でも明確に述べられております。
以上、自衛隊も防衛作用としての活動の際には法制度上もネガティブリストで行動することができるということについて申し述べました。このことは大変重要な点でございますので、憲法審で更に議論を深めていただくことが必要であるということを申し上げて、私の発言を終わります。
以上です。