馬場伸幸の発言 (憲法審査会)
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○馬場委員 日本維新の会の馬場伸幸です。
本日は、平成十九年八月に衆参両院に憲法審査会が設置されて以来初となる、NHKによる中継が実現をしました。日本維新の会はかねて、より多くの国民の皆様に国家の最高法規である憲法への関心を高めてもらい、議論に参加していただきたく、本審査会の模様をNHK中継するよう訴えてきました。御尽力された関係者の皆様方に深く御礼申し上げます。
お茶の間や出先のテレビ、ラジオで本審査会の議論を初めて御視聴されている方々に御理解を賜りたく、我が党の憲法に対する基本姿勢を説明させていただきます。
日本国憲法が施行されて七十九年、時代と激変する国際情勢に取り残されたまま我が国の手足を縛ってきた現行憲法の課題は明確になっています。我が党は結党以来、憲法改正を前面に掲げ、これまでに、教育無償化、統治機構改革、憲法裁判所の設置、自衛隊明記、緊急事態条項創設の五項目の改正原案を公表いたしました。
まず、教育無償化は、国民が経済的事情にかかわらず教育を受ける権利を確保できるよう、幼児期教育から大学を含む高等教育まで無償とするものです。本年度から全国一律でスタートした高校の無償化は、我が党の主導で実現をいたしました。更に無償化対象を幼児教育、大学等に広げつつ、憲法にしっかり書き込む決意です。
次に、統治機構改革は、明治二十三年に原型の府県制が導入されてから全く変わらない都道府県制度、地方自治の在り方を見直し、再構築するのが目的で、地域主権の本旨を明確にしつつ、地方自治体の権限を強化すべく、道州と基礎自治体で構成される道州制を導入するものであります。
次に、憲法裁判所は、憲法に関連する解釈や、法律や国家行為が憲法に違反していないかどうかなどを判断する役割を担います。国家の憲法秩序を維持し、憲法に保障された国民の基本的権利を守るために、設置は不可欠です。
以上三項目は平成二十八年に公表いたしましたが、令和四年に打ち出した自衛隊明記は、自衛隊違憲論の根拠を解消するために、九条に自衛のための実力組織として自衛隊をしっかりと位置づけるものでありました。
その後、中国、北朝鮮などの脅威の増大により、戦後最も複雑で厳しくなった安全保障環境を鑑み、自衛隊明記だけでは国家国民を守り抜くことは困難と判断し、昨年九月、「提言 二十一世紀の国防構想と憲法改正」をまとめ、九条二項削除による集団的自衛権の全面容認、自衛権と国防軍の明記にかじを切りました。
次に、緊急事態条項は、新型コロナウイルス蔓延とロシアによるウクライナ侵略を受け、令和四年六月にまとめました。外部からの武力攻撃や大規模自然災害、感染症の大規模蔓延など、緊急事態の対象五類型を設定し、国家機能維持や、緊急政令、緊急財政処分の在り方等を明記しています。
さように、日本維新の会は、憲法論議を前に進めるために改正原案を発表してきましたが、NHK中継もしかり、本審査会のフロントランナーとして論議を牽引してきたと自負しています。
本審査会は長らく、国会開会中も実質開かずの扉状態でしたが、我々が定例日に必ず開催をと粘り強く訴え続け、令和四年の通常国会から定例日開催を軌道に乗せ、定着させることができました。
また、令和五年三月に、国民民主、有志の会との三会派で緊急事態条項に関する勉強会を立ち上げ、その六月に、国会議員の任期延長とその他国会機能維持を柱とした改正原案を合同発表いたしました。令和七年六月には、本審査会幹事会で、我が党を含む五会派が、選挙困難事態における国会機能維持条項の骨子案と深掘りすべき検討課題を提示いたしました。この四年余り、本審査会の主要テーマだった緊急事態条項をめぐる議論を主導してきたと確信をしています。
さて、今国会の議論を振り返ると、火急のテーマである緊急事態条項創設と九条改正をめぐる議論が着実に前進したと受け止めています。
緊急事態条項については、衆議院法制局と憲法審査会事務局より、審査会で積み上げてきた議論の集大成となるイメージ案が提示され、ようやくゴールが視界に入る位置にたどり着きました。この先は、イメージ案を土台とし、おおむね合意が得られるとみなせる国会議員任期延長等による国会機能維持の大半の規定については、一定の結論として成案を得ることが不可欠です。直ちに本審査会に条文起草委員会を常設し、改正条文案の作成に着手することを強く求めます。国会機能維持が困難になった場合の国家機能維持に関する部分を始め、なおも煮詰めるべき点は、条文化作業と並行して議論を進めれば折り合えるものと確信をいたしております。
また、九条改正については、各会派の主張はかみ合わずとも、参政党が現実的な方向性を示すなど、議論は歩幅が小さくとも前に進んだと思っています。
日本維新の会は、緊急事態条項創設と九条改正をセットで優先的に取り組むべきと考え、自民党とも連立合意書で軌を一にしています。今後、本審査会で九条改正をめぐる議論も果敢に推し進め、可及的速やかに意見集約を図り、小委員会において改正条文案の作成に入ることが不可欠であります。
しかし、優先すべきテーマについて、国民民主党の玉木委員は、衆議院、参議院でそれぞれ議論が進んでいる、緊急事態における議員任期延長等国会機能維持及び合区の解消という、選挙すなわち民主主義の基盤整備に関わる二項目に絞り、九条については先送りが現実的である旨繰り返し主張しています。
玉木委員は、高市総理が来年春までに憲法改正の発議の目途をつけたい旨表明されたことで、時間が足りないと強調されていますが、議論もせずに白旗を揚げたも同然です。悠長に構え過ぎていると言わざるを得ません。
来年にも台湾有事が生起すると懸念される中、六日には中国軍の原子力潜水艦が米国本土を射程に入れる模擬弾頭搭載の新型潜水艦発射弾道ミサイル一発を発射し、核戦力強化に走る中国の強硬姿勢を見せつけました。中国の対米核攻撃能力向上は、米国が日本に差しかける核の傘を含む拡大抑止を弱め、日本の防衛上、重大な脅威となることは言うまでもありません。仮に日本に戦禍が及べば、選挙どころではなくなります。平和なくして選挙が成り立たないことは、幾年も大統領選挙と議会選挙が実施できないウクライナの現実を見れば明白であります。
九条改正に関して玉木委員は、A案、B案のどちらにするか党内議論を進めているとし、まず与党内で考えを一致させるべきだと主張されていますが、その前に御自分の党の立場を決めていただきたいと思います。他人事のように待ちを決め込むのではなく、党の見解を速やかにまとめ、本審査会で議論を交わし、最適解を導き出すのが責任政党のあるべき姿です。
このことは、九条改正をめぐる議論に向き合おうとしない他会派にも言えます。
九条改正に対し、一部の勢力は、日本が戦争する国になるといった常套句を用い激しく抵抗しますが、全くお門違いです。他国から武力攻撃されない国、つまり日本を戦争に巻き込まれない国にするものであり、そのための抑止力の強化、整備に必要不可欠なのです。
一方、本審査会では、解消論が広がる参議院選挙の合区及び地方公共団体に関する集中討議も行われ、憲法改正の是非は別として、合区解消の大合唱となりました。
合区の解消を否定はしませんが、対処療法的に区割りを見直せばいいという次元のものではありません。衆参の選挙制度の抜本的改革が不可欠であり、中央集権の限界を突破するための統治機構改革と併せて議論をされるべきであります。その意味で、自民党の上川委員らから地方自治の在り方について議論を深めるべきとの意見が出されるなど、統治機構改革が緊急事態条項と九条の次なる主要テーマとして芽吹きつつあることは意義があったと思います。
憲法改正論議共々、国民投票をめぐる諸課題の解決にギアを上げて取り組むことを各会派に強く要望するほか、今後もNHK中継を適宜行っていただくよう関係方面に強く求め、私の発言を終わります。