古川あおいの発言 (憲法審査会)

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○古川(あ)委員 チームみらいの古川あおいでございます。
 今国会においてチームみらいは、初めて憲法審査会で発言の機会をいただき、これまで、緊急事態条項、国民投票法、九条、合区など様々なテーマについて発言を重ねてまいりました。
 本日は、総括的な討議ということですので、これまでの議論を振り返りつつ、憲法審査会における議論の進め方そのものについて、チームみらいとして改めて申し上げたいと思います。
 まず第一に、憲法論議の出発点について申し上げます。
 チームみらいは、我が国の憲法について、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という三大原理を揺るぎない大前提として堅持した上で、時代の変化に合わせて憲法の在り方を検討することは前向きに捉える立場でございます。
 その上で、今国会を通じて繰り返し申し上げてまいりましたのは、憲法審査会における議論の出発点は、国民の命や生活を守るという観点から憲法上の課題や関連する法制上の課題について検討し対応していくことであり、憲法改正というのはあくまでその手段の一つであるという点でございます。
 憲法改正の議論は、ともすれば、項目にかかわらず、改正に賛成か反対かという二項対立の形で問いが立てられがちでございます。しかし、具体的な問題解決に向けた議論としては、改正を行った場合と行わない場合それぞれの効果、メリットとデメリットを具体的に比較する観点から議論を進めることが重要であると考えております。
 そのためには、まず、達成したい状況について認識を合わせた上で、その手段について議論を進める、手段の一つとしての憲法改正については、その効果と懸念を比較しながら、懸念をどう最小化するかをセットで具体的に議論する、こうした進め方こそが建設的な議論につながるものと考えております。
 第二に、議論の進め方について、今国会で申し上げてまいりました点を改めて申し上げます。
 一点目は、手続に関する論点と個別条項の中身に関する論点を切り分けるということでございます。
 国民投票法を始めとする手続の整備と緊急事態条項といった個別の中身とを混在させたまま議論を進めますと、個別論点での立場の違いによって手続の整備まで進まなくなりかねません。まずは論点ごとに合意できる部分から一つ一つ議論を積み上げていくことが肝要であると考えます。
 二つ目は、立法事実の整理から議論を始めるということでございます。
 各論点について、まず、何が問題なのかという立法事実についての認識を各会派で共有し、合意できるところと合意できないところを明らかにした上で、解決策として、解釈の整理で足りるのか、法律の改正で対応できるのか、それとも憲法の改正が必要なのかを検討する、この二段階の進め方がかみ合った議論への近道になると考えております。各会派の立場の違いが事実認識の違いからくるものなのか、それとも同じ事実認識を前提とし解決策の違いからくるものなのかを整理することで議論はより深まってまいります。
 三点目は、テーマを絞り、過去の前例に学ぶということでございます。
 論点が多岐にわたる中で、各回で議論する範囲をあらかじめ示し、集中的に討議を積み上げていくことが有効ではないかと考えます。かつて第二百八回国会においては、憲法第五十六条第一項の「出席」の概念について、論点の説明、集中討議、参考人質疑、総括討議という段階を踏んで議論を深め、一定の結論を得た前例がございます。こうした進め方は、会派の枠を超えて目線を合わせる上で今なお参考になるものと考えております。
 そして、忘れてはならないのは、憲法は国民全体のものであり、憲法論議は数の論理によって進めるものではないということでございます。数の力で押し切ることや、期限ありきで手続をおろそかにすることは望ましくありません。国民の理解と納得を一つ一つ重ねながら進めていくことが何より大切であると考えております。
 第三に、憲法改正を待たずとも進められる課題について申し上げます。
 憲法改正を手段の一つと位置づけて考えますと、憲法を改正せずとも、法律や運用、あるいは技術の活用によって取り組むことができる課題が数多く残されていることが見えてまいります。
 例えば、国民投票法でございます。今国会では、公職選挙法に既に措置された事項を国民投票法に反映する、いわゆる三項目の改正が進みました。一方で、令和三年改正法の附則において検討すべきとされた、広告放送やインターネット有料広告の制限、運動資金の規制、インターネット利用の適正化については、検討期限が既に超過しております。とりわけ、AIの発展により、本物と見分けのつかない偽の発言や映像を誰もが容易に作り出せる時代となり、この宿題の重みはむしろ増しております。国民が憲法の在り方について最終的な判断を下す国民投票の場がこうした偽情報によって左右されることはあってはならず、この点については今後も引き続き議論するべきと考えております。
 また、投票環境の課題もございます。国外にお住まいの方、離島にお住まいの方、障害をお持ちの方、災害に見舞われた地域の方など、現行の制度の下でも投票へのアクセスが十分に確保されていない方々が現に存在しております。今年二月の衆議院議員選挙では、全国で四割を超える投票所が投票終了時刻を繰り上げました。このような状況を踏まえ、電子投票やインターネット投票といったテクノロジーの活用も含め、選挙制度そのものを強靱にしていくことは、憲法改正の議論とは独立して進めるべき課題でございます。
 さらに、国会のオンライン出席についても、緊急時の対応手段にとどまらず、平時における議会機能の向上にも資するものとして、現行憲法の下で可能な対応を尽くすという観点から具体的な検討を進める価値があるものと考えております。
 こうした憲法を改正せずとも進められる課題を後回しにしてまず憲法改正をという議論を先行させると、国民の理解を得ることは難しいのではないでしょうか。
 第四に、それでもなお残される課題について申し上げます。今国会で中心的なテーマの一つとなりました緊急事態条項、とりわけ選挙が困難な事態における国会機能の維持について申し上げます。
 仮に、衆議院議員の不在時には参議院の緊急集会によって対応するという立場に立ったといたしましても、参議院議員の任期は六年で、三年ごとに半数が改選されます。選挙困難事態が三年を超えれば参議院議員は半数以下となり、六年を超えれば参議院議員もいなくなるという事態もあり得ます。現にロシアによるウクライナの侵攻からは既に四年以上が経過しており、全く想定できない事態とは言えません。
 こうした長期にわたる選挙困難事態にどう備えるのかという問いについては、いまだ各会派が共有できる明確な答えが得られているとは言えない状況でございます。議員任期の延長も選択肢の一つではございますが、これは、本来選挙によって信任を受けるべき議員の身分を選挙を経ずに延長するものにほかなりません。
 だからこそ、インターネット投票の導入を始めとする選挙制度そのものの強靱化に向けた検討を尽くし、困難な状況下でも選挙を実施できる環境の整備を図ることが国民の理解にもつながると考えております。そして、この課題は、憲法改正の一点のみを取り出して解決できるものではございません。選挙制度の強靱化、国会機能の維持などを含め、総合的に議論することが不可欠であると考えます。
 最後に、憲法議論とは何かということについて改めて申し上げます。
 憲法議論とは、いずれかの立場が数の力で他を押し切るものでも、また意見が分かれることを恐れて避けて通るべきものでもございません。本審査会では、会派の人数によらず均等に発言時間が割り振られています。憲法は国民全体のものであり、憲法論議は数の論理によって進めるべきものではないというこの基本姿勢が今後の審査会においても尊重されることを望みます。
 チームみらいは、昨年結党したばかりの若い政党ですが、こうした審議の在り方も含め、これまでの議論の蓄積に敬意を払いながら、引き続き貢献できればと考えております。
 以上です。

発言情報

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発言者: 古川あおい

日付: 2026-07-16

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会