畑野君枝の発言 (憲法審査会)

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○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。
 この特別国会を通して憲法について私が強く感じているのは、今、国会に求められているのは、改憲のための議論ではなく、憲法を暮らしに生かし、政治を変えるための議論だということです。とりわけ、憲法九条の精神が今国際社会に強く求められています。それは、世界で戦争と平和の問題が鋭く問われているからです。
 アメリカとイスラエルによる国際法違反の先制攻撃によって始まったイラン戦争は、二百人以上の子供を含め、何の罪もない多くの民間人を犠牲にしています。戦争により世界中の石油市場が打撃を受け、日本でも、ナフサなど石油関連製品や医療、建設資材の不足などにより中小・小規模事業者の倒産が相次ぎ、国民の命と暮らしが脅かされています。
 アメリカとイランは停戦に向けた覚書に合意しましたが、この間、攻撃を再開し、双方がホルムズ海峡を再び封鎖しました。国際社会は、両国が攻撃を直ちに停止し、交渉のテーブルに着くよう働きかけを強めるべきです。日本政府は、そのために積極的な役割を果たすべきです。
 イラン戦争が示しているのは、軍事力では争い事を解決することはできないということです。それどころか、罪なき市民や子供たちの命を奪い、世界経済を混乱させ、人々の暮らしを脅かすことになります。政治の最大の使命は、絶対に戦争を起こさないことです。あらゆる争い事を軍事力ではなく徹底した外交努力によって解決することです。それはまさに憲法九条が求めていることそのものです。
 日本国憲法は、前文で、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、九条で、戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を定めています。この徹底した平和主義は、かつて日本が起こした侵略戦争と植民地支配によって日本国民三百十万人、アジア太平洋地域で二千万人以上もの命を犠牲にしたことへの痛苦の反省に基づくものです。だからこそ、日本国憲法は戦争につながる一切のものを否定しているのであり、その核心が憲法九条です。今こそ、政治はこの憲法九条の精神を生かすときです。国民の中から九条を守れの声が大きくなっているのも、九条の価値が今こそ必要とされているからにほかなりません。
 一方で、この憲法審査会では、九条を変えて憲法に国防規定を設けるべきだとか、国防軍として位置づけるべきだという主張がなされています。しかし、今、国民の多くは改憲を求めてはいません。朝日新聞と東京大学が有権者に対して行った共同世論調査では、改憲を政治の優先課題と考える人は僅か一%です。国民が求めていない改憲のための議論ではなく、絶対に戦争を許してはならないという九条の精神に立脚した外交と政治が強く求められているということを改めて強調しておきたいと思います。
 重大なことは、高市政権が、九条を踏みにじり、アメリカに追従して、戦争ができる国づくりのために軍拡を進めていることです。政府は、この三月に、憲法違反の敵基地攻撃のための長射程ミサイルの配備を強行しました。四月には、殺傷兵器の全面的な輸出解禁に踏み出しました。さらに、安保三文書を年内に改定し、軍事費のGDP比三・五%への増額や、ミサイル、弾薬の増産、無人機の大量導入、軍需工場の国有化を検討しています。非核三原則の見直しも否定していません。
 こうした軍事力の強化は、東アジア地域の軍拡競争を加速させ、軍事的緊張を一層高めるものです。その先にあるのは、戦争と、国民の命と暮らしの破壊です。戦後の出発点と憲法九条の精神を真っ向から踏みにじるもので、断じて認められません。
 次に、基本的人権を侵害する政策を強行している問題です。
 政府は、多くの国民や冤罪被害者の反対の声を無視して、再審法の改定案を押し通そうとしています。冤罪の温床となっているとして批判されている検察官抗告を温存し、証拠開示の範囲を狭める改悪案にほかなりません。冤罪被害者家族の袴田ひで子さんは、この法律なら巌は処刑されていたと述べています。国家による最大の人権侵害である冤罪に正面から向き合わない政府・与党の姿勢は極めて重大です。
 国旗損壊処罰法案は、刑罰で感情を強制するものです。国旗を大切に思う国民感情を口実に、著しく嫌悪、不快という極めて主観的で曖昧な要件で国民の表現の自由を幅広く侵害するものです。個人の内心の自由に踏み込む明確な違憲立法であり、廃案にするしかありません。
 その一方で、政府・与党は、国民が求めている選択的夫婦別姓や同性婚の法制化に背を向け、最低賃金千五百円への引上げや消費税の減税をほごにしました。高市政権が国民の幸福追求権や人格権、生存権をいかに軽視しているかということを示しています。
 さらに、議会制民主主義の問題です。
 今国会、高市政権と与党は、数の力に任せた強引な国会運営で、議会制民主主義を踏みにじる異常な事態を引き起こしました。自民党と日本維新の会が国会会期末に衆議院比例定数削減法案と副首都法案を提出し、一方的に質疑日程を決定し、与党だけで審議入りしたことは、余りにも乱暴で身勝手極まるものです。
 重大なことは、議員定数削減を政治改革のセンターピンと強調し、問答無用とばかりに国会と国民に押しつけようとしていることです。議員定数の削減によって切り捨てられるのは主権者国民の声です。議員を減らせば、国民の意見を反映させる手段が細くなり、国民の声はますます国会に届きにくくなります。地方の議席を減らし、少数者の声を排除し、若者や女性の政治進出を妨げ、多様な民意を議会に反映させることを一層困難にします。国会の最も大事な役割である行政監視機能が後退し、弱まることは明らかです。
 日本の国会議員定数は国際的にも歴史的にも少な過ぎ、削減することに合理的根拠はありません。議員定数削減は、議会制民主主義の土台を壊し、政権への反対意見や少数意見を封じ込めようというものにほかなりません。議会を形骸化させ、翼賛体制をつくるもので、断じて認められません。
 最後に、今国民の中から、高市政権の強権的な姿勢そのものに対する批判の声が上がっています。七月十日、めちゃくちゃな政治に抗議しますとするアクションが全国四十五都道府県、百五十八か所で行われ、三万五千人を超える市民が同時に声を上げました。暮らしを守れ、憲法を守れ、この国民の声に政治は真摯に向き合うべきです。
 私は、憲法の原理原則を国民の生活の隅々にまで行き渡らせることが何よりも重要だと考えます。憲法が生きる政治の実現のために全力を尽くす決意を強調して、発言を終わります。

発言情報

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発言者: 畑野君枝

日付: 2026-07-16

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会