上野賢一郎の発言 (厚生労働委員会)

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○上野国務大臣 厚生労働大臣に就任してから約五か月がたちました。この間、昨年十二月の令和七年度補正予算の成立や令和八年度予算案の閣議決定を始め、国民の生活を生涯にわたって支える使命を担う厚生労働行政の諸課題に全力で取り組んでまいりました。引き続き、国民の皆様の安全、安心の確保に万全を期すことにより、社会経済活動の安定に資するよう、職務に邁進してまいります。
 昨今の物価上昇や人材不足により、医療、介護、障害福祉分野の現場は厳しい状況に直面しております。こうした現状を踏まえ、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう、まずは昨年末に成立した補正予算に盛り込まれた医療・介護等支援パッケージにより、経営の改善や職員の方々の処遇改善につながる支援を可能な限り迅速に届けてまいります。病院については、国から直接支給された補助金が順次届けられております。診療所、薬局、介護事業所、施設等についても、地方自治体において支給が順次始まっており、引き続きスピード感を持って対応してまいります。また、ICT等を活用した業務効率化、勤務環境改善の取組を強力に推進してまいります。
 さらに、令和八年度診療報酬改定については、プラス三・〇九%という水準の本体改定率を確保し、賃上げ、物価対応や、地域で急性期医療、かかりつけ医機能を担う医療機関等の評価など、時代の変化に対応した改定を実現しました。加えて、介護、障害福祉分野についても、令和八年度の期中改定において処遇改善等を実現しました。あわせて、本年夏に取りまとめられる予定の成長戦略の策定に向け、厚生労働省として、戦略分野に位置づけられている創薬・先端医療など、関連する成長投資、危機管理投資を促してまいります。
 人口減少、少子高齢化が進む中、中長期的な社会の構造変化に耐え得る強靱で持続可能な社会保障制度を確立するため、全ての世代で能力に応じて負担し、支え合い、必要な社会保障サービスが必要な方に適切に提供される全世代型社会保障の構築に向け、引き続き社会保障改革を進めてまいります。
 さらに、社会保障国民会議における国民的議論を踏まえ、関係大臣と協力して、給付つき税額控除の制度設計を含む税と社会保障の一体改革に取り組んでまいります。
 公的医療保険制度を維持し、次世代に引き継いでいくためには、不断の改革努力が必要です。今回の医療保険制度改革では、必要な保険給付等の適切な実施と、世代間や世代内での負担の公平性の確保を図るため、必要な受診を確保した上でのいわゆるOTC類似薬等の保険給付の見直し、医療が高度化する中で持続可能性の確保と長期療養者や低所得者へのセーフティーネット機能の強化の両立を目指した高額療養費制度の見直し、後期高齢者医療制度における金融所得の勘案など負担能力に応じた御負担をいただくための取組、妊婦の経済的負担を軽減するための出産に係る給付体系の見直しなどを行うこととしており、関係法案を今国会に提出しました。
 地域医療提供体制について、さきの臨時国会で成立した改正医療法の施行を着実に進めてまいります。
 新たな地域医療構想については、高齢者数がピークを迎える二〇四〇年頃を見据え、医療、介護の複合ニーズを抱える高齢者の増大や人口減少などに対応できるよう、入院医療の在り方に限らず、外来や在宅医療、介護との連携までをカバーし、人材確保等の状況も踏まえた医療機関の役割分担や連携を更に推進してまいります。
 また、医師偏在対策について総合的な対策を推進するとともに、小児、周産期、救急、災害医療体制の充実など、地域の実情に応じた医療提供体制の確保に努めてまいります。
 これらの基盤となる医療DXに関しても、電子カルテの普及や異なる医療機関等における医療情報の共有、医療DXの運営に係る母体としての社会保険診療報酬支払基金の改組等の取組を進めるとともに、国民の皆様が安心してオンライン診療を受けられるよう、検討を進めてまいります。
 昨年十二月をもって、発行済みの保険証が全て有効期限の満了を迎えました。本年一月時点のマイナ保険証の利用率は六四・六%となっております。引き続き患者の皆様が円滑に医療機関等を受診できることが重要であり、受診方法等について今後も周知を行うとともに、マイナ保険証の更なる利用率向上に取り組んでまいります。
 二〇四〇年に向けて人口減少や単身世帯の増加など社会構造が変化していく中、誰も取り残されることなく地域で支え合う地域共生社会の実現のため、地域の実情に応じた包括的な支援体制の整備や、中山間、人口減少地域における介護サービスの提供体制の確保、頼れる身寄りがいない高齢者等への支援の拡充、有料老人ホームに係る事前規制の導入、介護支援専門員の資格の更新制の見直し等の措置を講ずるための関係法案を閣議決定いたしました。
 障害者や難病患者の方々が、地域や職場において、本人の希望に応じて、その方らしく暮らし、働くことができるよう、必要な取組を着実に進めてまいります。また、多様化する障害者のニーズに応じた障害福祉サービス等の質の確保、向上のため、三年に一度の障害福祉サービス等報酬改定に向けた検討を進めてまいります。
 また、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向け、関係省庁と連携し、電話、SNS相談体制の拡充など、自殺対策を強化してまいります。
 さらに、認知症施策推進基本計画にのっとって、認知症になっても希望を持って暮らし続けることができる新しい認知症観に立ち、認知症施策に関する取組を推進し、共生社会の実現を目指します。
 日本成長戦略会議の分野横断的課題の一つである労働市場改革について、私が分科会長として労働市場改革分科会を開催し、生産性の高い分野への円滑な労働移動や働き方改革を含めた労働市場改革について議論を進めてまいります。
 働き方の実態、ニーズを踏まえ、裁量労働制の見直し、副業、兼業に当たっての健康確保措置の導入、テレワークなどの柔軟な働き方の拡大に向けた検討を進め、柔軟で多様な働き方を実現してまいります。
 また、過労死等の防止、働く方々の安全と健康の確保に取り組んでまいります。
 労災保険制度の見直しについては、労働政策審議会の建議に基づき、遺族補償年金における支給要件等の見直し、労災保険の適用事業に関する暫定措置の廃止などに関する法案を今国会に提出します。
 近年の科学技術の進展を踏まえ、ゲノム編集技術等を用いて加工されたヒト胚やヒト生殖細胞について、人や動物への胎内移植を原則として禁止することや、取扱計画書の作成、届出義務などにより適正な取扱いを確保することを内容とする法案を今国会に提出します。
 先月六日には、iPS細胞を用いた再生医療等製品として、重度の心臓病とパーキンソン病に対する二製品に対して、条件及び期限付で、世界で初めてとなる薬事承認をしました。
 国民の皆様に最新の医薬品を迅速にお届けするためには、創薬力の向上が重要です。世界的に医薬品の研究開発の複雑性、難易度が向上する中で、特定領域に特化した技術を有するアカデミアやベンチャー企業の存在感が増しています。こうした背景を踏まえ、官民連携の下、新たに造成する革新的医薬品等実用化支援基金等による安定的、継続的な支援を通じて、創薬スタートアップから革新的新薬を生み出す創薬基盤、インフラの強化を図ってまいります。
 創薬については、日本成長戦略会議の下に設けられたワーキンググループにおいて、官民投資を促進するロードマップの策定に向けた議論が進められています。様々な関係者の御意見も取り入れながら、バイオ医薬品の実用化支援を含め、製薬産業が日本経済の成長を牽引する一角となるよう、産業界の取組を力強く支援し、民間投資を後押ししてまいります。
 先端医療についても、スタートアップにおいて革新的な医療機器を生み出す産業振興拠点の強化など、医療の未来を築く日本発の医療機器イノベーションの創出を進めてまいります。
 加えて、国際水準の治験、臨床試験体制整備を推進するとともに、ドラッグロスの解消に向けて戦略的な取組を進めてまいります。
 後発医薬品の安定供給については、少量多品目生産という非効率な生産体制の解消に向け、新たな基金を造成し、後発医薬品企業による企業間での連携、協力、再編に向けた取組を後押しすることで、計画的に生産性向上に取り組む企業を支援してまいります。
 また、昨年成立した改正薬機法の施行を着実に進め、医薬品等の品質や安全性の確保の強化、医療用医薬品等の安定供給体制の強化、医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化等に取り組んでまいります。
 さらに、医薬品の適正使用の推進、医薬品による悲惨な被害の再発防止や、国内外の関係機関と連携した規制薬物の乱用防止対策にも取り組んでまいります。
 性別、年齢、働き方によらず、国民お一人お一人が健康で元気に活躍し、社会保障の担い手になっていただくことで、経済社会の活力を維持強化するため、攻めの予防医療を推進する総合的な対策を取りまとめてまいります。
 まず、がん検診の推進です。社会全体としての死亡率の減少を図るため、科学的根拠に基づくがん検診を受けることが重要であり、令和七年度補正予算における関連予算の活用を始め、令和十年度までにがん検診受診率六〇%、精密検査受診率九〇%を達成できるよう、更なる取組を進めてまいります。
 次に、歯科健診の推進です。歯と口腔の健康は全身の健康にもつながるものであり、国民が生涯を通じて定期的に歯科健診等を受けることができる環境整備を進めてまいります。
 あわせて、これらの検診等の推進や生活習慣病などの重症化予防には保険者や事業主の関与が重要であり、保険者が実施する予防、健康づくりの取組において、健診やレセプト情報等のデータの収集、利活用を進めるなど、データヘルスや保険者機能の強化に取り組んでまいります。
 さらに、女性の健康総合センターを中心に女性の健康支援を総合的に推進するとともに、診療領域を横断した対応策の整理や診療拠点の整備など、性差に由来する健康課題への対応を進めてまいります。
 加えて、若年期のみならず、高齢期への支援として、科学的知見に基づく認知症予防に取り組むことができるよう、啓発や地域活動などを推進するとともに、症状が出現する前の薬剤投与の社会実装に向け、医療提供体制や連携モデルの検討等を進めてまいります。
 このほか、がん対策、難病対策、移植医療対策、循環器病対策、アレルギー疾患対策、受動喫煙対策、広域的な食中毒事案への対策強化、生活衛生関係営業の振興等に引き続き取り組んでまいります。
 ハンセン病に対する偏見、差別の解消に全力で取り組むとともに、ハンセン病元患者家族の方々への補償制度を引き続き着実に実施してまいります。B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスに感染された方々に対する給付金等も確実に支給してまいります。原子爆弾被爆者援護対策については、被爆の実相を後世に伝えるための取組を進めるとともに、被爆者の方々に寄り添いながら、保健、医療及び福祉にわたる総合的な支援を行ってまいります。
 感染症対策については、新型インフルエンザ等対策政府行動計画を踏まえ、科学的知見の基盤、拠点となる国立健康危機管理研究機構、JIHSと連携しながら、次なる感染症危機への備えを着実に進めてまいります。
 各感染症の発生動向を把握し適切に対応するとともに、感染症に罹患された方々が適切な医療を受けられる環境づくりを進めます。加えて、本年六月から各自治体において順次開始される予防接種事務のデジタル化等を進めるとともに、予防接種に用いる医薬品の範囲について、必要な検討を行ってまいります。
 加えて、昨年十二月に設置したUHCナレッジハブを通じて、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現に向けた取組を加速するなど、国際保健に関連する国内外の課題の解決に取り組んでまいります。
 本年の春季労使交渉では、先月公表された連合集計によると、全体の賃上げ率では三年連続で五%を上回り、中小組合においても五%を超える賃上げとなったと承知しております。高水準の賃上げを持続的なものとし、その流れを地方や中小企業、非正規雇用労働者にも波及させていくことが重要です。
 厚生労働省としても、賃上げの機運醸成のため、全都道府県で地方版政労使会議を開催したところであり、引き続き、物価上昇を上回る賃上げが継続する環境を整備するため、賃上げ支援助成金パッケージによる支援や、関係省庁と連携した生産性向上支援、価格転嫁等の取引適正化等に取り組んでまいります。
 また、リスキリングによる能力向上支援を行うとともに、高い生産性や高い処遇の職への労働移動を支援し、労働生産性の向上を推進してまいります。
 女性や高齢者を含む国民お一人お一人がその能力を十分に発揮し活躍できるよう、誰もが健康的で働きやすい働き方を選択することができる社会の実現を目指します。
 大学等と連携しながら新卒者等へきめ細かな就職支援を行うとともに、非正規雇用労働者の方々の正社員への転換や、同一労働同一賃金の更なる遵守徹底等による処遇改善、就職氷河期世代を含む中高年層の方々に対する就労、処遇改善や社会参加等の支援を進めてまいります。
 障害者雇用の質の向上や中小企業での更なる雇用促進、働くことに困難を抱える難病のある方々の就労を後押しするための障害者雇用促進制度の見直しに向けた検討を進めてまいります。
 また、企業における七十歳までの就業機会の確保、外国人労働者に対する就職支援の強化や働きやすい環境整備等に取り組むとともに、育成就労制度の円滑な施行に向け、引き続き関係省庁と連携してまいります。
 職場における女性活躍の推進やハラスメント対策の強化に取り組むとともに、仕事と育児、介護の両立支援や、共働き、共育てを引き続き推進し、テレワークの普及、フリーランスの方々が安心して働くことができる環境の整備を更に進めてまいります。
 昨年成立した年金制度改正法に基づき、被用者保険の適用拡大、在職老齢年金制度の見直し、遺族年金の見直し、標準報酬月額の上限の段階的引上げ等を着実に実施します。
 また、個人型確定拠出年金、iDeCoの加入可能年齢の上限や拠出限度額の引上げが本年十二月から施行されること等に合わせ、新入社員を含む職域への周知を図るなど、金融庁とも連携し、iDeCoの加入者の一層の増加等に向けた周知、広報に取り組みます。
 そして、いわゆる年収の壁を意識せずに働くことができる環境づくりを支援するため、年収の壁・支援強化パッケージによる支援のほか、昨年七月に拡充したキャリアアップ助成金による事業主への支援に引き続き取り組むとともに、本年四月からの被扶養者の新たな認定方法の取扱いについて、円滑な実施に努めてまいります。
 生活保護の生活扶助基準については、社会経済情勢等を勘案し令和八年度において更なる引上げを行うとともに、最高裁判決を踏まえた丁寧な対応を進めてまいります。
 戦後八十年が経過し、戦没者の慰霊と戦争体験者の記憶の継承を着実に継続していくため、戦没者の慰霊事業や平和の語り部事業に取り組んでまいります。また、一柱でも多くの戦没者の御遺骨を収容し、御遺族に早期にお渡しできるよう全力を挙げてまいります。
 一昨年の能登半島地震や昨年十二月に発生した青森県東方沖を震源とする地震を始め、近年、甚大な災害が全国各地で発生しています。改めまして、お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。被災された皆様が一日も早く安全、安心な生活を取り戻すことができるよう、必要な対応に全力で取り組んでまいります。また、自然災害から国民生活を守るため、保健、医療、福祉の連携強化を含む体制や支援の整備に取り組んでまいります。
 さらに、本年は東日本大震災の発生から十五年となりますが、引き続き、被災者の方々の心のケア、医療・介護提供体制の整備などに全力で取り組んでまいります。
 厚生労働行政は幅広く、様々な課題がございますが、一つ一つ思いを込めて取り組んでまいりますので、委員長、理事を始め委員の皆様、国民の皆様に一層の御理解と御協力を賜りますようにお願いいたします。(拍手)

発言情報

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発言者: 上野賢一郎

日付: 2026-04-03

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会