西園勝秀の発言 (災害対策特別委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○西園委員 中道改革連合の西園勝秀でございます。本日は質問の機会をいただき、ありがとうございます。
先日、岩手県大槌町で大規模な山林火災が発生し、甚大な被害と多数の避難者を出しました。焼失面積は約千百七十六ヘクタールに及び、昨年の岩手県大船渡市の山林火災に次ぎ、平成以降では国内二番目の規模となります。気候変動に伴う乾燥化や強風の影響により、山林火災のリスクがかつてなく高まっております。
現在、山林火災ではヘリコプター等による航空消火が行われていますが、上空から散水しても空中で霧散し、消火が必要な火元に十分な水が届きにくいという課題がございます。風がほとんどない状況でも、高度三十メートルから投下した水は大きく拡散してしまうのが実態です。
さらに、近年は新たな課題も顕在化しています。報道によれば、ヘリコプターやドローン搭載の赤外線カメラで熱源を探査した際、熱源付近に熊などの野生動物が確認され、二次被害の危険から、消防隊員が山林内部に立ち入って行う消火活動が極めて困難となる事例も生じております。従来のように、上空から散水し、その後は地上部隊が何度も山林に入り消火を行うという人海戦術には限界が見え始めています。
こうした、人が容易に近づけない、上空からの散水だけでは十分な消火性能を発揮しにくいという二重の課題を克服する技術として、近年注目されているのがゲル状消火剤でございます。
資料一を御覧ください。ゲル状消火剤は、水を短時間で大量に吸収、ゲル化させることで、高所から投下した場合でも空中で霧散しにくく、必要なエリアへ効率的かつ的確に届けることが可能となります。通常の散水では水がすぐに蒸発してしまうため、冷却効果を十分に持続させることが困難です。しかし、ゲル化によって蒸発速度が抑えられるため、長時間にわたり冷却状態を維持できる点が大きな特徴です。この性質を活用することで、延焼防止帯の形成にも応用できるとされています。
資料二を御覧ください。例えば、民家に火災が迫っている場合、あらかじめゲル状消火剤を帯状に散布することで延焼防止帯を構築することが可能です。また、火種をゲルで覆うことで酸素を遮断し、再燃の防止にも高い効果が期待されています。これにより、火の進行方向にある住宅や重要施設などを守ることにつながります。
このゲル状消火剤は国際特許を取得している技術であり、二〇一五年には、深刻な山林火災被害に直面していたインドネシア政府から無償提供の要請が行われ、その後のJICA事業においても高い評価を受けております。現在では、アメリカやヨーロッパの環境関連展示会でも注目を集めるなど、国際的な関心が高まっています。
しかしながら、国内での活用は足利市の山林火災における残火処理や一部地域での実証的な利用にとどまっており、国レベルでの本格的な導入が進んでいないのが現状です。激甚化する山林火災から我が国の貴重な国土と国民の命を守るためには、こうした革新的技術を迅速に社会実装し、全国的な配備を進めていく必要があると考えます。
新設される防災庁には、従来の省庁縦割りや前例踏襲を乗り越え、真に有効な防災技術を現場へ届ける司令塔としての役割が期待されています。熊などの野生動物の出没リスクを含め、消防隊員の安全確保という観点からも、ゲル状消火剤の本格的な導入、配備を国主導で進めるべきと考えますが、政府の御見解を伺います。