赤澤亮正の発言 (経済産業委員会)
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○国務大臣(赤澤亮正君) 第二百二十一回国会における経済産業委員会の御審議に先立ち、経済産業行政を取り巻く諸課題及び取組につきまして、経済産業大臣、原子力経済被害担当大臣、GX実行推進担当大臣、産業競争力担当大臣、原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当の内閣府特命担当大臣として申し上げます。
まず、今般の中東情勢を踏まえ、我が国のエネルギー安全保障の確保に万全を期し、国民生活や経済活動への影響を最小限に抑えるために、全力で対応してまいります。
世界でもエネルギーの中東依存度が突出して高い我が国は、ホルムズ海峡を事実上通れない状況が続くことで、大きな影響が出始めています。三月十一日の高市総理の御指示を受け、万が一にもガソリンなどの石油製品の供給に支障が生じないよう、G7各国や国際エネルギー機関とも連携しつつ、我が国は先行して備蓄放出を決定しました。まずは、機動的かつ柔軟に活用できる民間備蓄の水準を十五日分、三月十六日から引き下げるとともに、当面一か月分の国家備蓄について、今週中にも放出を開始します。また、産油国共同備蓄の活用も開始します。
先週の日米首脳会談においても、原油の安定供給について、米国産原油の生産拡大に日米で共に取り組んでいくことを確認するとともに、米国から調達する原油を備蓄する共同事業を実現したい旨を高市総理からトランプ大統領にお伝えしました。
エネルギーの中東依存度が突出して高く、原油の調達をホルムズ海峡に依存した現状に鑑みれば、シーレーンリスクがなく、運搬日数も短くて済むアラスカ産の原油を調達することは、我が国にとって劇的なゲームチェンジとなる可能性を秘めています。
あわせて、国民生活と経済活動を守るため、燃料油について緊急的な激変緩和措置を早急に実施することとしました。具体的には、燃料油価格激変緩和基金を活用し、ガソリンの小売価格を全国平均で百七十円程度に抑制するための補助を行うとともに、軽油、重油、灯油にはガソリンと同額の補助、航空機燃料にはガソリンの四割に相当する額を補助します。今後、補助金の支給を開始した三月十九日以降、おおむね一、二週間掛け、全国の小売平均価格は百七十円程度に向けて低下していきますが、状況を注視してまいります。国民の皆様には、ふだんどおりの給油をお願いしたいと思います。
原油以外の中東依存度が高い、中東依存が高い製品についてもしっかり状況を注視してまいります。プラスチックを始めとする化学品の原料であるナフサは、現時点で直ちに需給上の問題は生じていませんが、あらゆる可能性を排除せずに、必要な対応を実施してまいります。
引き続き、中東情勢が経済に与える影響を注視しつつ、国民生活や経済活動への影響を最小限に抑えるため、資源供給源の多角化と国内外の資源開発を含めて、必要な対応を機動的に講じてまいります。
中東情勢を踏まえた我が国のエネルギー安全保障の確保に加えて、地域の理解や環境への配慮を前提として、脱炭素電源を最大限活用します。
柏崎刈羽原子力発電所を始め、安全性が確認された原子炉の再稼働を加速するとともに、核燃料サイクルや最終処分といったバックエンドの課題にも全力で取り組みます。一方で、浜岡原子力発電所に関する不正事案については極めて重く受け止めています。電気事業法に基づく報告徴収命令を発出しており、その結果も踏まえ、厳正に対処してまいります。
さらに、ペロブスカイト太陽電池や浮体式洋上風力、次世代型地熱、水素を始めとするGX関連投資を推進するとともに、産業資源であるコンビナート跡地や地域の脱炭素電源を核に、新たな産業クラスターを形成するGX戦略地域制度を通じて、支援と規制・制度改革を一体的に講じていきます。また、日本のエネルギー制約を抜本的に変え得るフュージョンエネルギーや次世代革新炉の早期の社会実装も目指します。
一方で、太陽光発電の導入に当たっては、安全、景観、自然環境等の観点にも配慮しなければなりません。設置に当たっての安全性の確認や環境アセスメントの強化、発電に係る支援制度の見直し、使用済みパネルのリサイクル制度の創設など、環境大臣とも連携しながら、一連の規制、制度の導入及び適正化を進めます。
そして、電力の安定供給を根本から支えるため、大規模送電線、大規模電源の整備を促進する電気事業法の改正案を提出します。
高市内閣の成長戦略の肝である危機管理投資、成長投資を力強く推進し、強い経済を実現してまいります。
官民連携投資を行う戦略分野及びサプライチェーンの強化を図る重要物資に重点を置き、大胆な投資促進や国際展開支援、人材育成、国際標準化等の総合支援策を講じ、官民の積極投資を引き出します。
経済産業省は、十七の戦略分野の全てに関係しており、その多くの分野で議論をリードすることが求められています。各ワーキンググループでの議論を通じて、目標、道筋、政策手段を明確にした官民投資ロードマップの策定に尽力してまいります。
その実現に向けた肝は、あらゆる産業分野におけるAIトランスフォーメーションです。我が国は超高齢社会であり、多くの災害や福島第一原発の事故を経験しています。また、世界に誇れる製造業の現場もあります。高齢者のヘルスケア、災害対応、製造現場や福島第一原発の廃炉の現場で蓄積されたデータ、産業用ロボット等の技術基盤といった日本の強みを生かして構築されるフィジカルAIがAXを進めていく上での鍵となります。
現場にAIをいち早く社会実装し、世界に先駆けてフィジカルAIやロボットのデータ基盤を構築することで、日本の強みである現場力を生かして、世界をリードしてまいります。
また、医療・介護分野でのデータ、AI活用を通じて、新たな製品、サービスの創出や現場の生産性向上を図ることで、国民の健康増進と持続可能な社会保障制度改革に貢献してまいります。
新技術立国・競争力強化の担当大臣として、技術で勝ってビジネスで負けると言われてきた我が国の弱みを完全に克服し、AXを実現するため、スタートアップがアーリーやミドル、レイターなどのステージに応じて、市場で勝ち切るために必要な、切れ目のない資金供給を行うためのエコシステムの形成や、企業経営改革に向けた取組を具体化してまいります。
また、AI・先端ロボットやバイオなど、成長が見込まれ、かつ難易度が高い技術領域における研究開発について、思い切って予算を付けることに加えて、税制や規制改革を一体的に講ずることで、投資を強力に促進するための認定制度を創設する産業技術力強化法の改正案を提出いたしました。
高市内閣が推進する地域未来戦略の実現に向けて、関係省庁と連携し、大胆な投資策とインフラ整備を一体的に講じます。重要なインフラである産業用地の確保を促進するとともに、地方の社会経済を支えるエッセンシャルサービスの持続性確保を図ってまいります。こうした地域経済の活性化に向けては、AIの力を借りていくことも重要です。
強い地域経済を構築するためには、中小企業・小規模事業者の皆様が主役となります。AXの推進は、地域に根差し、現場現業型でスピード感のある中堅・中小企業にとって、人手不足を乗り越え、大企業を一気に追い抜く、いわゆるリープフロッグのチャンスとなり得ます。
このチャンスを生かし、地方を中堅・中小企業のAXの始まりの場所としていきます。戦略分野への投資やサプライチェーンへの参入などの変化に挑戦するとともに、賃上げをしっかり行い、人材確保に取り組む、こうした中堅・中小企業への積極的な支援を通じて、稼ぐ力の強化と賃上げの好循環を実現します。
具体的には、中小受託取引適正化法及び受託中小企業振興法の着実な執行や官公需での対策を含めた価格転嫁、取引適正化の徹底、生産性向上のためのデジタル化、省力化支援、事業承継やMアンドAの環境整備に加え、プッシュ型の伴走支援にも取り組みます。
昨年の日米間の関税合意については、先週の日米首脳会談に合わせ、日米政府の戦略的投資イニシアチブに関して、小型モジュール炉の建設を含む三件のプロジェクトを発表しました。
特別なパートナーである日本と米国で、日米両国の相互利益の促進、経済安全保障の確保、経済成長の促進に向けた取組を進めていきます。また、米国に対して、引き続き合意の着実な実施を求めるとともに、自動車等の産業への関税影響の緩和に取り組みます。
米国との経済関係を強固にするのと同時に、CPTPPやAPEC、AZEC等の様々な枠組みを通じて、有志国と連携した自由貿易と法の支配の取組を進めるハイブリッドな通商戦略を展開します。グローバルサウスを含む新市場の開拓も一層推進していきます。
また、経済安全保障の観点からレアアースや半導体等の重要な物資のサプライチェーンを特定の国に過度に依存することのないよう、供給源の多角化や調達ルートの切替え支援等を進めてまいります。
米国との間でも、重要鉱物のサプライチェーンを強靱化するため、具体的プロジェクトに関する協力や、南鳥島周辺海域のレアアース泥を含む海洋鉱物資源開発に関する協力等に合意しました。
さらに、あらゆる機会を捉えて、日本の製品、サービス、インフラの有志国への輸出に取り組むことも重要です。AZECの枠組みを活用した脱炭素技術の海外展開や、農林水産大臣とも協力した農林水産物や食品の需要拡大、輸出拡大を図ります。
こうした成長投資の促進、地域未来戦略の実現、日米戦略的投資イニシアチブの推進を一体的に図り、我が国企業の事業活動を持続的に発展させるため、産業競争力強化法等の改正案を提出しました。
大胆な投資促進税制等による国内での高付加価値な成長投資の促進、事業活動の基盤となる産業用地の整備、産業の担い手が生活を営むために必要なエッセンシャルサービスの維持、確保、さらに、株式会社日本貿易保険、NEXIへの交付国債を通じた財政基盤の強化による我が国企業の供給網の強靱化に取り組みます。
私のライフワークは防災です。福島や能登の復興に心血を注いで取り組んできました。
本年は、東日本大震災から十五年を迎えるとともに、第三期復興・創生期間が始まる節目の年です。次の五年間が福島復興の正念場であり、これまでの延長ではなく、創造的復興を実現しなければなりません。
福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なしとの思いは変わりません。
福島の復興と東京電力福島第一原子力発電所の安全かつ着実な廃炉は経済産業省の最重要課題です。三月十一日に福島県で開催された追悼式典にも現地で参加し、私自身が先頭に立って、現場主義を徹底し、福島の復興に最後まで責任を持って取り組んでいく決意を改めて胸に刻みました。
引き続き、安全かつ着実な廃炉とALPS処理水の海洋放出や、避難指示解除に向けた取組、事業、なりわいの再生や新産業の創出などに全力で取り組んでまいります。能登半島地震と豪雨災害からの復興についても、伝統産業を含めて被災した事業者のなりわいの再建を支援します。
以上、申し述べましたとおり、経済産業行政は多くの課題に直面をしております。様々な御意見に耳を傾けながら、経済産業大臣として全身全霊で職務に取り組んでまいります。
浜口委員長を始め理事、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。