上野通子の発言 (国民生活・経済に関する調査会)

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上野通子君 自由民主党の上野通子でございます。
 本日は、意見発表の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 これまでの調査会において、各分野の参考人の皆様に御意見をお伺いしながら、今回のテーマである「情勢の変化に対応した未来志向の社会の構築」について意見を人口減少にスポットを当てて発表したいと思います。
 持続可能な未来をつくるという認識の下、未来の構築を目指していくことが求められている今、政府としても、高市総理の肝煎りで、昨年十一月に人口戦略本部が設置されました。
 人口減少問題は過去にも大きく取り上げられてきました。例えば、二〇一四年には、先日の調査会の参考人のお一人の増田寛也氏を座長とする日本創成会議が発表した消滅可能性都市レポートがあり、このままでは二〇四〇年までに全国の約半数の自治体が将来的に消滅する可能性があると指摘され大きな衝撃を与えましたが、このレポートは、単に出生数の減少だけではなく、二十歳から三十九歳の女性人口の減り方に着目したもので、人口減少の歯止めと東京一極集中の是正が中心となった課題とされました。
 今回の増田参考人の意見は、数としての人口を増やすことではなく、人口減少していく社会でどう生きるかとの問題提起の下、地方公共団体の持続可能性を守るための意見でしたが、この視点は、人口減少が進む地域でも、人が減るから衰退するのではなく、少ない人口でも豊かに暮らせる町を構想するための基盤となると思います。
 一方、同じく参考人の櫻井美穂子氏は、持続可能な地域づくりの指標として、ウエルビーイングやクオリティー・オブ・ライフ、そして暮らしやすさといった指標を重視されていました。増田氏も櫻井氏も地方の持続性を問う意見でありますが、今後、人口減少が避けられない日本において、小さくても幸せな地域を目指すことが持続可能な未来社会への道筋になるという思いから、私の考えを以下四点にまとめてみました。
 第一に、人口を維持するための施策から、縮小しながらも暮らしの質を守る施策への発想の転換です。
 全ての地域で現在の人口規模を保つことは現実的ではない以上、拠点の集約や機能の分担を進めながら、単に効率性だけでなく、高齢者や子育て世帯など脆弱な立場の人のウエルビーイングに配慮することが不可欠であること。
 第二に、雇用、教育、そして子育てといった人生の節目における選択肢を地方で確保すること。
 増田氏が長年指摘してこられた地方からの若い女性を含む若年層の流出は、仕事や学びの機会が東京圏に一極集中していることと無関係ではないことから、地方でもやりがいのある仕事に就き、ライフイベントと両立しながらキャリアを築ける環境を整えることは、人口減少のスピードを和らげるなどで地域のウエルビーイングを支える重要な要素となること。
 第三に、住民参加の町づくりを通じて、この町で暮らし続けたいという主観的な満足度を高めるアプローチをすること。
 そして、小さな自治体ほど住民と行政の距離が近く、顔の見れる関係を生かした合意形成が行いやすい利点があるので、日常の対話の場や多様性交流の居場所づくり、地域資源を生かした文化、自然体験などを重ねることで、人口規模にかかわらず、ここでの生活が好きだ、楽しいと感じられる町を育てること。つまり、過疎地であっても、そこに居心地の良い居場所があれば、また、わくわくすることやウエルビーイングを実現できる何か宝があれば、そして住民がその宝に気付き、町を育てようというチーム力があれば、町は消滅することなく、以前とは違う姿で持続的に守り育てていくことは可能であること。
 第四に、こうした地域内部の取組を支える国レベルの制度設計も重要であり、財政支援の配分や社会保障制度の見直しにおいて、人口が多いか少ないかだけでなく、そこに住む住民や地域全体のウエルビーイングの現状や、地域間の公平性といった観点を組み込んでいくことが持続可能な日本の枠組みづくりにつながるのではないかということ。
 以上、人口減少にスポットを当てた私からの意見発表とさせていただきます。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 上野通子

日付: 2026-06-10

院: 参議院

会議名: 国民生活・経済に関する調査会