片山さつきの発言 (財政金融委員会)
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○国務大臣(片山さつき君) 財務大臣兼金融担当大臣の片山さつきでございます。
本委員会の開催に当たり、財政政策及び金融行政などの基本的な考え方について申し述べます。
名目GDPは六百兆円を超えて七百兆円に近づいており、高い成長の下では二〇四〇年頃に一千兆円程度の経済が視野に入ります。賃上げ率が二年連続で五%を上回るなど、日本経済は、デフレ・コストカット型経済から新たな成長型経済に移行する段階まで来ました。一方で、我が国は、静かな有事ともいうべき人口減少や、長期にわたるデフレから一転した物価高、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境等に直面しています。こうした中で、潜在成長力は伸び悩み、個人消費は力強さを欠いております。
このような状況においては、今の国民の暮らしを守る物価高対策を早急に講じること、そして日本経済の強さを取り戻すことが重要です。そのためには、生活の安全保障、物価高への対応、危機管理投資、成長投資による強い経済の実現、防衛力と外交力の強化を三つの柱として閣議決定をした「強い経済」を実現する総合経済対策の裏付けとなる令和七年度補正予算を迅速かつ適切に執行するとともに、令和八年度予算、令和八年度税制改正を実行に移し、切れ目のない経済財政運営を行う必要があります。
高市内閣が掲げる責任ある積極財政は、プロアクティブな、先を見据えた財政政策であり、決していたずらに拡張的に規模を追求するものではありません。国民生活の下支えや経済成長に資することが期待される施策には大胆に重点化する一方で、見込まれる効果が乏しい施策については見直しを行うなど、歳出歳入両面で強い経済を支える財政構造への転換を図ることが重要です。私が担当大臣として取り組んでいる租税特別措置、補助金の見直しもその取組の一つです。
引き続き、ワイズスペンディングを徹底しながら、成長率を高めていくことと相まって、政府債務残高の対GDP比を安定的に引き下げ、財政の持続可能性を、そしてマーケットからの信認を確保してまいります。
続いて、令和八年度予算及び税制改正の大要を御説明申し上げます。
令和八年度予算は、令和七年度補正予算に続き、強い経済を実現する予算であり、複数年度の取組や歳出構造の平時化に向けた取組を推進し、重要施策について当初予算での増額を実現しております。
具体的には、診療報酬改定、介護報酬改定を始め、予算全体について、経済・物価動向等を適切に反映したほか、防衛力強化、子ども・子育て支援、GX、AI・半導体といった従来から財源を確保して複数年度で計画的に取り組んでいる重要施策を引き続き推進しております。また、新たな財源確保や予算全体のめり張り付けを通じて、いわゆる教育無償化を始めとする重要施策について予算を増額しております。
その上で、公債金は、十七年ぶりに三十兆円を下回った前年度当初予算に続き、二年連続で三十兆円を下回っており、公債依存度も二十七年ぶりに三〇%を下回った前年度当初予算から更に低下しております。あわせて、一般会計のプライマリーバランスは、当初予算としては、二十八年ぶりに黒字化しております。このように財政規律にも配慮した姿となっております。
また、令和八年度財政投融資計画につきましては、強靱な経済構造の構築、官民が連携した積極的な投資促進、物価高への対応等に向け、必要な資金を供給することとしております。
国債管理政策につきましては、金融市場の状況に変化が見られる中で、市場とのより丁寧な対話に基づき、適切な運営に更に万全を期してまいります。
令和八年度税制改正では、物価高への対応として、物価上昇に連動して基礎控除等を引き上げるとともに、就業調整への対応及び中低所得者への配慮の観点から、所得税の課税最低限を百七十八万円まで先取りして引き上げます。また、強い経済の実現に向け、大胆な設備投資促進税制を創設するとともに、租税特別措置の適正化の観点から、賃上げ促進税制の見直しや研究開発税制の強化を行います。加えて、税負担の公平性を確保する観点から、所得が極めて高い水準にある場合の負担の見直しを行うほか、防衛特別所得税の創設等を行います。
税務行政においては、税務を起点とした社会全体のDXを推進しつつ、納税者利便の向上や適正、公平な課税、徴収の実現を効率的、効果的に推進してまいります。
国外に目を向けますと、世界経済は、貿易政策や地政学的緊張の影響で高い不確実性に直面しており、国際協調の一層の推進が求められています。現下の中東情勢も世界経済に様々な影響を及ぼしており、G7を始め、国際的なパートナーとより一層緊密に連携してまいります。また、ウクライナ支援や対ロ制裁、途上国の債務問題、国際保健などの諸課題に取り組むとともに、サプライチェーンの強靱化や対内直接投資審査制度の高度化を通じて、我が国経済の健全な発展や経済安全保障の確保を図ってまいります。
税関行政につきましては、少額貨物の輸入件数や入国者数が急増する中、不正薬物や金の密輸入の摘発が続いており、事業者による適正な貨物管理の確保や少額貨物に係る競争上の不均衡の是正に向けた制度面の対応も講じつつ、厳格な水際取締りと円滑な通関の両立に向けて取り組んでまいります。また、不当廉売関税に係る迂回防止制度を創設し、不公正な貿易に対する措置の実効性と抑止力を高める体制の構築を図ります。加えて、軍事転用のおそれのある製品や技術の不正輸出等を防止すべく、輸出貨物の審査、調査の強化にも取り組んでまいります。
続いて、現下の金融行政について申し述べます。
物価上昇や人手不足、米国関税措置に加え、今般の中東情勢の悪化への対応等、地域の事業者が抱える課題に対応するため、金融機関が、金融仲介機能を十分に発揮して、経営改善や事業再生支援等も含め、資金繰り支援にとどまらない個別の実情に応じた事業者支援に取り組むとともに、持続可能なビジネスモデルの確立に向けて取り組むことを促します。さらに、国内外の金融経済情勢の動向を注視し、金融機関に対し、リスク管理の高度化、法令遵守態勢の徹底、金融犯罪への対応やサイバーセキュリティーに関する取組の強化、顧客本位の業務運営の定着、底上げを促すほか、不公正取引規制等の強化を行うなど、金融システムの安定や信頼の確保に努めてまいります。
成長戦略を加速させるためには、金融の力が不可欠です。高市内閣が目指す強い経済の実現に向け、資産運用立国の取組を更に推進、発展させ、企業の持続的な成長や企業価値向上を支える成長投資を促進し、日本経済の潜在力を解き放つとともに、国民の豊かさを向上させるための金融戦略を本年夏までに策定いたします。具体的には、コーポレートガバナンス改革の深化、サステナビリティー情報の開示、保証に係る制度整備、官民連携による成長資金の供給拡大等に取り組んでまいります。あわせて、我が国市場の魅力を国内外へ積極的に発信してまいります。
また、地域金融機関等が地域経済の成長に一層貢献できるよう、昨年末に策定した地域金融力強化プランを強力に推進し、地域企業の価値向上への貢献、地域課題の解決に必要な取組を進展させるとともに、地域金融機関の経営基盤の強化を図るための資本参加制度、資金交付制度の期限延長、拡充等に係る制度整備を進めてまいります。
さらに、社会的課題の解決と持続的な成長に向けて、サステナブルファイナンスの更なる推進を図ってまいります。加えて、金融のデジタル化等の進展に対応し、暗号資産が国内外の投資家から投資対象と位置付けられている状況を踏まえた必要な制度整備や、ブロックチェーン技術等を活用した決済高度化の後押しを行い、利用者保護を確保しつつ、イノベーションを促進してまいります。
今後、御審議をお願いすることを予定している財務省及び金融庁関係の法律案は七法律案でございます。このうち、財務省関係の法律案は、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法の一部を改正する法律案、所得税法等の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案及び外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案でございます。また、金融庁関係の法律案は、金融機能の強化のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案及び金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案でございます。
それぞれの法律案の内容につきましては、今後改めて御説明をいたしますので、よろしくお願いを申し上げます。
以上、財政政策及び金融行政等の基本的な考え方について申し述べました。
今後とも、皆様のお力添えを得て、内外の社会経済情勢を注視しつつ、政策運営に最善を尽くしてまいる所存であります。
宮本委員長を始め委員各位の御理解と御協力を切にお願い申し上げます。