法務委員会
○松尾参考人 上智大学法学部教授松尾浩也でございます。 刑法の一部を改正する法律案が国会に上程されまして、現在御審議をしておられるわけでございますが、私は、この法律案の上程は時代の要請であり、刑法改正に関するこれまでの動きからしますと、必然的なものであったというふうにさえ考えるものでございますが、本日は、主としてその理由を申し述べさせていただきたいと思います。 先ほど法務大臣の趣旨御説明の中にもありましたとおり、現行刑法は片仮名
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発言数 32件
初発言日: 1962-03-27 / 最新発言日: 1995-03-28 / 1 ページ目 / 全体 2ページ
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○松尾参考人 上智大学法学部教授松尾浩也でございます。 刑法の一部を改正する法律案が国会に上程されまして、現在御審議をしておられるわけでございますが、私は、この法律案の上程は時代の要請であり、刑法改正に関するこれまでの動きからしますと、必然的なものであったというふうにさえ考えるものでございますが、本日は、主としてその理由を申し述べさせていただきたいと思います。 先ほど法務大臣の趣旨御説明の中にもありましたとおり、現行刑法は片仮名
○松尾参考人 刑法学の分野で解釈がさまざまな場面で対立しているということは御指摘のとおりでございます。 今回の平易化について意味内容を変えないように努力したと先ほど申し上げましたが、その中には、これまで行われている解釈の特定のものを封じ込めることがないようにという配慮も極力いたしたつもりでございます。 したがいまして、今おっしゃったような意味で、対立があったために字句の選定に苦労した点があるのではないかとおっしゃられれば、それは
○松尾参考人 審議会の議事の進め方をどうすべきかということ一般について、私はお答えすべき立場には多分ないだろうと思うのでありますが、今回の刑法改正に限って申しますと、確かに審議会自体は非公開でございますし、委員の氏名についても、先ほど御指摘のとおり、形式的には部会委員の氏名は公開されておりません。 しかし、実質的に見ますと、例えば刑法学者との関係では、平成四年ごろから法務省の方で、あちらこちらの学者グループに説明を行い意見を求めると
○松尾参考人 今の問題は、なかなか難しい点であると思います。 平易化に徹するということになりますと、内容の実質的な修正は全く行わないということにすべきであったろうかとも思うのでざいますけれども、他方において、先ほど日弁連の渡辺参考人がお話しになりましたとおり、相当多くの事項について緊急の改正を求めるという意見も強いわけでございまして、その中のいわば最も急速を要するであろうと思われるものとして 尊属及び聾唖者の規定というものが選ばれた
○松尾参考人 いろいろ作業をしております過程で、個人的には随分友人その他の意見を聞いたつもりでございますけれども、法制審議会という公式の場で、委員、幹事以外の方がおいでになって意見を述べられたということはなかったと存じます。 しかし、法務省の方では、例えば国語学者の意見も聞いて、その結果を御説明になりましたし、ジャーナリズムとの関係でも、恐らく資料を差し上げて意見を聞かれたのではないかと考えておりまして、不十分ながらその点の手当ては
○松尾参考人 今回のは我が国の刑法を改めていく第一歩であるということは、関係者の共通した認識であると思います。現代語にすれば済むというものでは決してありませんので、今後は実質的な改正が積み上げられていくということになるはずでございます。 ただ、これまで刑法改正といえば、とかく第一章から最後まで全面的に一挙に改めるというイメージが強過ぎて、しばしばそれに非常に大きな困難をもたらしていたのでございますけれども、私の考えでは、今後は恐らく
○松尾参考人 社会的な激動の時代でございまして、犯罪現象にも思いもよらなかったようなものが次々にあらわれてきているということは、お話しのとおりでございます。これに対して法律、特に刑法がどのように対応していくべきかという点については、御指摘のとおり、刑法でいくか特別法を考慮するかというのがまず最初の大きな問題になると思います。 この点につきまして最近の一つの特色は、刑事法というのはかっては純粋な国内法であると考えられがちであったわけで
○松尾参考人 この第十条は、法制審議会の部会で非常に時間を費やして幾通りもの案を検討した結果、またここへ戻ってきたというものでございます。 私、教授生活、そろそろ四十年近くになりますけれども、学生の答案を毎年たくさん採点をしましたが、きょうはどうも先生方から採点されて、ここもいかぬ、あそこもおかしいとおっしゃられている。ごもっともだなと思って伺っておるわけですが、条文の性質といたしまして、豊富な内容をぎりぎりに削り詰めてここにあらわ
○松尾参考人 幾つかの点を御指摘でございますが、「禁錮」につきましては、「禁錮」の「錮」をかねへんのないものにしたらどうかということは部会で検討いたしました。平仮名にするという意見はございませんでしたけれども、「改正刑法草案」でもかねへんはとれているので、とってもいいのではないかという意見もあったのですけれども、しかしながら、事が刑罰そのものの名称であるということで、これを変えるのには慎重を要するというので、やむを得ずルビを振ってかねへ
○松尾参考人 「外患」の方は、確かに戦後五十年一件も起こっておりませんので、これについて考え抜くということは余りしなかったのが正直なところでございます。しかし、そんなのんきなことを言っている時代ではない、これからは何が起こるかわからぬではないかという御趣旨であれば、確かにそのとおりだなと思っているところです。ただ、やはり言いかえが相当に困難なものに属するだろうという気はいたします。 それから、「電磁的記録」の方は、逆に非常に動いてい
○松尾参考人 今委員がおっしゃいました点は、私が二十年ほど前に書いた論文の一部かと存じますが、そのころ私はニューヨークで刑法の全面改正をやるのを目撃いたしました。そのときは、当時何かアルファベット順で並べてあったのをきちんとした体系に移しかえるというふうな改正であったかと思いますけれども、そういう形式的な部分と、それから死刑をどうするか、責任能力をどうするかというふうな実質部分とを分けまして、同じ議会に三個の刑法改正案を出したというのを
○松尾参考人 この「監獄」、「仮出獄」等、「獄」という言葉をどうするかというのは、部会でも相当に議論になった点でございます。そして、その中には、刑法の方がいわば基本的な地位を占めているのであるから、刑法が主導してまず改めたらどうかという御主張も、日弁連の方からはもちろん、その他の委員、幹事からもなされました。 しかし、やはり事が行刑という実践的な問題でありますし、その分野では現在監獄法が現行法でありますので、それと違った名称を刑法が
○松尾参考人 法制審と申しますよりは、私個人の意見としてお答えさせていただきたいと思いますが、ただいま御指摘の最高裁判所の意見の分布に関しましては、私はこの田中二郎裁判官を含む六名の方の意見に賛成でございます。 ただ、ちょっと委員の御質問を聞きながら感慨を催さないわけでもありませんので、一言つけ加えさせていただきますと、現行刑法の審議がありました明治四十年の帝国議会で、同じようにこの尊属殺の規定は激しい批判の対象になりました。それは
○松尾参考人 公開の点につきましては、これも私の個人的な意見としては公開賛成でございます。事実上、また例えば刑法学会などでは、だれが委員を務め、だれが幹事をやっているかということはみんな知っております。 ですが、部会として民事法などと違う姿勢があらわれてくるのはなぜかというお尋ねですと、恐らくそれは、ある時期において刑法を論ずることが非常に困難になった時代がございます。御承知の、特に保安処分の問題が表面に出ていた時代でありますけれど
○松尾参考人 松尾でございます。 刑事補償法の一部を改正する法律案関係資料を御送付いただきまして、一両日前に拝見した次第でございますが、我が国が未決拘禁及び再審、あるいは誤判と言った方がよろしいかもしれませんが、これに対する賠償の制度を持っておりますことは、大変すぐれた制度であり、そういう制度を十分に持っていない国あるいはまたそういう時代との対比におきまして、私は非常に結構なことと存ずるのであります。そして、今回の改正法律案はその額
○松尾参考人 お尋ねいただきました最初の点でございますが、司法制度革新論という言葉は小野清一郎先生がお使いになった言葉かと存じます。稲葉議員御承知のとおりでございますが、戦前に、昭和八、九年ごろから刑事訴訟法、旧刑事訴訟法でございますが、その見直しということが具体的な日程にのってまいりまして、いろいろな論議の末に次第にはっきりとしてきましたそのトーンは、当時も、捜査の過程における人権の侵害、あのころは人権じゅうりんという言葉がよく使われ
○松尾参考人 四条三項になりましょうか、死刑の執行による補償については上限を設けない方が適切ではあるまいかという保岡議員のお話でございまして、私も先ほども申し上げましたように、この問題は計数的な考慮を絶したものであるという意味においては御意見に共感する点があるのでございますけれども、また一方におきまして、刑事補償法は全体として一種の定額主義を貫いているという点に特色があるように感じられます。 受刑者も被告人もそれぞれの立場は千差万別
○松尾参考人 ただいまお話しのような考え方も、一つの合理的な基準として十分成り立つと私は思います。 ただ、先ほど私が申し述べましたのは、一つの大前提として、この刑事補償という制度はすぐれた制度ではあるけれども、そこに余りに多くのものを積み込み過ぎると、全体としての刑事司法という船の針路が曲がってしまうおそれがあるのではないかということを常々考えておりますものですから、先ほどのようなことを申し上げた次第でございます。
○松尾参考人 外国の現在の状況につきまして正確なお答えをするということはなかなか困難でございますけれども、一応の私の感想としてお聞き取りいただければ幸いでございます。 ミランダ判決につきましては、これは一つのピークでございまして、その適用範囲を縮小しようとする判決が相次いでいることは御承知のとおりかと思います。しかし私は、基本的にはやはりミフンダの考え方は維持されていて、ただそれがいろいろな場面で行き過ぎないようにという努力をしてい
○松尾参考人 憲法四十条の規定は、先ほど稲葉議員からも御指摘あったかと思いますが、憲法制定の過程で日本のイニシアチブで挿入された規定でございます。したがって、三十一条から三十九条までがアメリカ法的な考え方で一貫しているのに対しますと、異質の規定であるということは最初から明らかなところであったと思います。ただ、その両者がうまく適合していけばよろしかったのですけれども、その後の経過を見ますと、無罪というのは非常に例外的なものだという考え方を