水谷長三郎の発言 (鉱工業委員会)
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○水谷國務大臣 神田さんが腹を割つて言えとおつしやいましたから、ざつくばらんに申し上げます。九月二十五日に、私が朝日新聞に述べましたことは、未だに變更する必要がないどころか、ますますその自信を固めた次第でございます。神田さんが、この法案が、なければ業者は自由に經營の才能を發揮されることができるであろうということは、私は石炭企業の現状に、ことさらに眼を盲いられておるのではないかと思います。現在經營の一番大きな腕を振うところの資金資材は一體どうなつておるか。これは御案内のように、一つの國家的なわくの中にはめこまれております。さらにまた炭價の場合におきましても、やはり國家の意思が決定するような時代であります。從つて自由經濟時代のように、資金も資材も自由に經營者の意のままに驅使できる時代ならばいさ知らず、現在の經濟事情のもとにおきましては、この法案があるなしにかかわらず、資金資材、炭價の面におきましては、經營者の自由の意思にならないということは、これは議論を超越した動かすことのできない現實の事實なんです。だからこの法案は、これまでそういうぐあいに現實に動いておつたところのものを法的に確認することでありまして、新しいことを、こさとらにこれに附け加えるというようなことは、あまりないのではないかと思います。言葉をかえて申し上げますならば、たとえば一つの例をとれば、神田さんが「おい、水谷君、金を貸してくれ」。「よかろう」というので金を貸す場合、まあ友だちだから、公正證書まででなくても、せめて私製證書でも書こうかという行き方があるのでありまして、この法案は、これまで行われてきた現實の姿に、せめて私製證書を書こうというくらいであつて、この法案によればこれまでの現實の形が根本的に變るということではございません。この法案のあるとなしにかかわらず、石炭企業に對してどういうことが現實の姿になつて現われておるかを靜かにお考えくださいますならば、よく御了察願えることと思います。