生越三郎の発言 (鉱工業委員会)
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○生越委員 私どもは、石炭の三千萬トン以上生産がわが國産業復興の絶對要件であり、現在の危局を切り抜けて、新日本建設ができるか否かの重大問題であるため、眞に責任を重んじて、今日まであらゆる角度から審議をいたしてきたのであるが、現にわれらが審議中の石炭鑛業管理法案、またただいま上程されました修正案に對しまして、左のごとき意見に到達いたしたのであります。ただ修正案におきましては、ただいまここにわれわれに法案を示されまして、これを十分に審議することを得なかつたことは、はなはだ遺憾とするのであります。およそ政策の樹立遂行をなさんとするときは、國民多数の贊成があるか、または國民のためにぜひ必要であることのきわめて明白なる根據がなければならないことは、言うまでもないのであります。しかるに、本法案が發表せられる前後から現在に及ぶまで、國民の大多數は、これに反對しておることを察知することができるのみならず、全國の炭鑛業者四百有餘の者が、これに反對を強く表明し、これを政府その他に陳情しておるのみでなく、現場炭鑛管理者及び鑛長の多數が、反對の陳情をいたしており、さらに財團法人世論調査所が、長期にわたつて現場坑夫の世論を調査した結果の發表によれば、坑夫の多數もまた反對をいたしておるのであります。さらにまた各界有力者を招いて、わが國會がその意見を問うた公聽會においても、その多數が本案に反對いたしておるのであります。およそその政策に對して、その業者の全部が反對を表明し、勞働者の多數が反對し、權威ある各界の有力者の多數が反對を表明すること本案のごときものがあつたことを聞いたことがないのであります。これを本案の内容の要點について檢討するも、左の三點の重大なる缺陷があるのであります。
その一つは、政府は資金と資材とを確保し、かつこれを供給するの責任を明らかにしていないことである。その二は、わが國の石炭生産に最大の力をなす勞働力をいかに積極的に結集するかの條項が缺如しておることである。その三は、生産協議會の性格がある。すなわち生産協議會の構成員は、職員を代表する委員と、勞働者を代表する委員と、おのおの同數とし、炭鑛管理者をもつてするその會の議長に決議權を與えていないことである。しかして本案が計畫せられた以後において、マツカーサー元帥から片山總理にあてられたる書簡によれば、本案は國會がそれ自體の價値について審議することは、何ら異存がないと言い、もし國會がこれを採用したならば、政府は現在立てられたる生産目標をさらに引上げなければ、本法案を行う理由がないと言われておる。かくのごとく國會が審議研究する點、生産目標を引上げる計畫の點等、いずれから見ても、本法案の採用には缺陷があり、時間尚早である。よつて政府提案の臨時石炭鑛業管理法案及び松本七郎氏提出の修正案、兩案とも否決せんとするものである。