大矢省三の発言 (鉱工業委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○大矢委員 私は社會黨を代表いたしまして、本案に對する贊成の意見を述べたいと思うのであります。
 本案は政府の説明の通り、修正案にいたしましても、あるいはまた原案にいたしましても、あくまでも民主的な處置である。こういうことは、提案理由なり答辯をみても、一貫して明らかなところであります。そこで今日まで公聽會その他を通じまして承つたところによりますと、今反對側の人が主張する通り、業者におきましては、これは徹頭徹尾反對であるのであります。また勞働者側においても、相當の反對のあることは、今反對側の意見の通りであります。しかしこれは私が今申しましたように、あくまでも臨時的な處置である。從つて理想的なものでないというのでありますから、私どもは本案に對しては、非常に不備な點があることを認めるのであります。それを何がゆえにわれわれが贊成するかと申しますならば、その贊成する理由を、私はこれから申したいのであります。
 まず第一に、今日石炭の重要性は各方面で認められておるのであります。この重要性のある石炭事業に對して、戰後におけるところの日本のこの疲弊した經濟の中から、他産業を犧牲に供して、あらゆる資金、資材、勞務あるいは食糧その他について、多くの國民を犧牲に供して、この重要産業に入れておるということは、周知の事實であり、すでに政府の答辯の中にも明らかな通りでございます。特に戰後におけるところの勞働者の自覺によりまして、今日長い間の炭鑛事業における勞働者の不平不滿、さらに民主化の第一歩を進めるために必要なる自覺と、社會的の地位の向上を目指して、その向上のためにあらゆる努力を拂い、勞働組合が非常な大きな勢いをもつてきておるということも事實であります。事業主には幾多の資材、資金その他あらゆる方面において、國をあげてこれに投じ、さらにまた勞働者の方は、そういうふうな地位に目ざめ、あるいは社會的の向上のために、あらゆる努力をしておるというこの事實の前に立つて、資本家、經營者が、これに對する獨自の立場から、この要求なり、あるいは經營に對する自主的な實力をもち得ないのが、これは單に炭鑛事業のみならず、各方面の實情であります。その現實に立つて、多くの國家あるいは國民犧牲においての投資、あるいはこれらに對する犧牲を、國家みずからこれに對して監督をする。あるいはまたこれが管理という言葉も相當でありますが、そういうふうなことは當然であります。この法案は、私はいろいろむずかしく考えれば考えられるのでありますが、その内容を見てみますならば、原案も修正案もその通りでありますが、第一この事業に對する管理、監査であります。この經理部面に對してさわられることが、事業主は一番痛いところであります。そうしてこれに對して徹頭徹尾反對する。しかしながら、みずからの實力をもつて、獨自の立場においてやつていけないものが國家の非常な力を借りておるのでありますから、これに對する一つの監査、監督を行つて、その經理というものを、一應明らかにして、こういう資材はこういうところに使つたと、はつきりさせることは、當然なことであると思う。さらにいま一つは、この事業經營に對して、私はいろいろ申しますけれども、この生産協議會によつて、すなわち現場の勞働者が生産に對する發言權をもつということが、これまた事業主が痛いところである。しかしながら、今日の事業というものは、斷じて資本のみをもつてできないことは申すまでもない。勞働者の協力によつて、初めて増産になるのでありますから、この法案によつて、生産協議會の勞働者が發言權をもつということは、これは産業の民主化の第一歩であります。しかしながら、いろいろまたその運營について、その構成について、私ども非常な不滿があります。しかしいずれにしても、第一歩を踏み出した。産業に對する發言權をもつということは、産業の社會化、産業の民主化の第一歩である。それによつて勞働者が責任を感じ、みずから生産に對して發言權を得たということは、増産に協力するという具體的な法的な裏づけをしたということと、私は信ずるのであります。
 それから次に、私は時間がありませんから簡潔に申しますが、事業主が非常に恐れ、また勞働者の方も非常に杞憂しておることは、こういう國家管理法案というものは、ややもすると、長い間の官吏の獨善的な官僚統制の弊に陷りやすいので、これをきらつておる。その點については細心の注意を拂い、特に炭鑛經營に經驗をもたれるところの議員の中から、鋭くつつこんだ點であります。私ども同様にこの點は運營上について、この法案を審議する上においても、ずいぶん檢討した。そのためには、石炭廳の構成を民間人から半分入れるということが原則になつておる。しかも全國管理委員會、地方管理委員會の全部をあげて、民間と資本家と、勞働者によつてつくられ、これについては、斷じて委員の中には官吏がはいつておらないのである。こういうような全國管理委員會、地方管理委員會が、國民の中から、從業員の中から、さらに業者の中から出たところの、ほんとうに自主的な、民主的なものである。これをもつて、もしこれが官吏の獨善になるとか、官僚統制になるというならば、民間から出した、勞働者から出した代表者が獨善だというのであつて、これは決して今日までの官吏を責めるのと同じような理由にはなりません。そういういろいろなことから進めてまいりまして、私はまず第一に申しましたように、いわゆる國民の名において多くの投資をし、それによつて資材を得て、炭鑛從業員の住宅のために二百億圓という金を來年度に投じようとしておる。上下半期における日本の産業に投じた融資の中で、約四二%という厖大なる資金が、炭鑛業者に流れておる。それに對して、その報告を求め、さらにそれに對して經理を明らかにするということは、これは國民の當然望むところであつて、これは決して私は反對すべきことではないと思うのであります。それからこれは最も重大なことでありますが、この運營について、先ほど來申しますように、官吏の獨善にならないかということでありますが、私はこれは防げると思うのであります。なお一番増産の隘路になつておるところは、官吏の今までの非常に非能率的なことが原因になつておりますが、それよりも一層原因になつておることは、資材、資金を十分——あるいは不十分かもしれないが、この割當を行う上に、非常にスローモーションである。このことが、業者からも現場からも、ずいぶん聞いたことでありますが、それに對して、今度は協力命令という規定があるのであります。これは石炭事業に對しては優先的に、あらゆるそれぞれ關連産業から、その犧牲なり、本人の意思いかんにかかわらず、協力的に資材を注げというのでありますから、業者が喜ぶはずである。それを一體どうして拒むかということに、私は不思議をもつておるのであります。この本案がいずれになりましても、今後のこの重要なる生産に對して、一旦ここで決定されるならば、私は從業者も、あるいはまた業者の間にも、釋然として日本の復興のために、大いにこの増産のために、せつかくできたこの規定を十分に活用するように、また私はいかなることがあつても、これが相當に論議されることと思いますからして、その論點を明らかにして、私は今後の増産に、勞資ともに協力してもらいたいということが念願であります。私が今申しましたように、本案に對して幾多の缺陷と、われわれが政策としておるところの社會黨の重要産業の國有竝びに國營からいたしますならば、およそ縁遠いものではありまするけれども、現状の石炭事情、増産の目的のためには、この程度のものを、私はぜひ必要だとして、私は贊成の意を表するものであります。

発言情報

speech_id: 100104283X03819471125_012

発言者: 大矢省三

speaker_id: 27181

日付: 1947-11-25

院: 衆議院

会議名: 鉱工業委員会