西村久之の発言 (本会議)

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○西村久之君 私は、日本自由党を代表いたしまして、修正案の内容について趣旨弁明をいたさんとするものであります。
 まず修正案の大要について御説明を申し上げます。歳出につきましては、産業経済費中、農業生産調整費一億九千五十九万四千円という額を修正全削せんとするものでありまして、行政共通費のうち、これに関連しております経費見積額三万九千円を、同じく修正減額をいたさんとするものであります。なお、政府出資金中四億二千五百万円を修正減額いたしまして、修正総額を六億一千五百六十三万三千円となさんとするものであります。歳入につきましては、租税收入中物品税におきまして、追加増税額分、すなわち六億一千八百万円を全削いたしまして、前年度剰余金において二百三十六万七千円を増額修正して、修正総額を六億一千五百六十三万三千円となさんとするものであります。以下、内容について詳細に御説明申し上げたいと存じます。
 農業生産調整費は、御承知の通り、ただいま本会議において審議中の臨時農業生産調整法に基きますところの所要経費であり、地方の市町村農業調整委員会に対する補助金額が大半を占めておるのでありまして、その額は一億八千三百四十九万円と相なつておるのであります。しかしながらこの内容は、各市町村に十五名の委員を配置し、事務員一人を置いて調整委員会の構成をなそうとする経費であるのでありまして、何ら農業方面の他に関係の累を及ぼすべき費用でないのであります。しかも、この生産調整法なるものは、皆さんの御承知の通り中央よりの命令法でありまして、非民主的であり、この法案が通過いたしますがごときことがありますならば、日本の農村民主化は根底より破壊される惡法であると信ずるがゆえに、これに要しまする経費の必要を認めませず、ここに全削せんとするものであります。もちろん、農村の民主化をはかり、農民の健全なる発達を期しまするためには、地方に優良なる技術員配置の必要があり、これに要する補助等の費用の増額は、政府において適切妥当なる方途をとられんことを望む者であります。
 次に歳出につきまして、政府出資金中四億二千五百万円を減額せんといたしますゆえんのものは、酒類配給公團、飼料配給公團、油糧配給公團等配給公團に対しまする今後の支出見込予定の基本金に充当せんとしておるものでありますが、これも本年度中にその経費の必要を認めませんがために、経費節約の見地よりこれを修正せんとするものであります。
 次に歳入において、物品税追加増税額全額六億一千八百万円を全削せんとする理由は、今日のごとく國民家計費に赤字を出す生活苦境の際におきましては、生活必需物品に対する減税をはかるべきが当然であると思うのであります。にもかかわりませず、反対に増税をはからんとするこの矛盾は、何としてでも私どもはこれに應じ得ないのであります。殊に最低賃金千八百円ベースを堅持せんとする折には、生計費の重圧となりまするところの間接税の軽減をはかることが妥当なりと信じて、これを修正いたさんといたしておるのであります。これを要約いたしまするならば、不要不急の資はすべからくこれを節約し、生活費の重圧となる物品税のごとき間接税は、能う限り減税すべきものであるとの見解のもとにおいて修正をいたさんとしておるのでございます。
 予算総会におきまするところの各委員の質疑内容より見ましても、ただいま委員長の報告のごとく、間接税の重圧を受け、國民生活の基礎を破壊する意味の御意見ばかりであつたと思うのであります。しかしながら、お口で間接税の軽減を叫ばれますよりも、まず、提案中の予算案において、單刀直入、その氣持を表わすべきが私ども議員に與えられたる責務と、私は痛感いたしておるのであります。(拍手)
 政府は、追加予算編成にあたりまして、わが國の経済状況が空前の危機に直面をし、生産は沈滯不振に陷り、通貨膨張の結果物價が暴騰し、その結果國民生活はいよいよ深刻な貧窮状態にあえいでおることをお認めになつておるのであります。また財政状況におきましても、新財源に乏しく、租税の滯納が相当額に上り、財政の建直しにはすこぶる困難な実情にあることをも率直にお認めになつておられるのであります。しこうして、この経済危機を克服するために、國民生活の安定と重要生産の振興等に留意して編成に当つたことを述べられておるのでありますが、五箇月余を要して編成された追加予算は、前代未聞の厖大なる財政経済の破局予算でありまして、先ほど委員長からお述べになりました通りに、本年度の追加総歳出歳入予算額は八百五十六億余万円と相なり、本年度の本予算と通計いたしますならば、実に本年度中の総予算額は二千六十六億余万円と相なつておるような尨大な追加予算を組まれたのであります。
 その原因と申しますのは、ほかに何もないのであります。片山内閣がとられましたところの高物價政策がこの原因をなしておると私は申し上げても過言でないと思います。(「ヒヤヒヤ」拍手)しかるに、今日物價はなお高騰をたどりつつある状態であります。またさらに物價水準を引上げなければならないはめに陷るような形勢をたどられつつあるのであります。
 私は、常に政府の言われる通りに、物價はいかなる場合でも値上げをすることはよろしくないと信じております。ある一定の物價は、その限界線において抑えまして、物價の維持ができる政策をやらなければ、物價と賃金の惡循環は断じて断ち切ることができないということを信じて疑わぬものであります。さようにしてつくられましたところの予算でありまするがゆえに、片山内閣も、かく民衆に負担の加重を來すようなことはお考えにならなかつたでありましようが、やむを得ず、誤つた高物價政策のために、大衆國民を苦境にあえがなければならないようなどん底に陷らしめておるということを断言してもはばからないのであります。(拍手)
 御承知の通り予算は数字の羅列ではないのであります。歳入も確実であり、歳出もまた生産に役立つものでなければなりません。ところが、その歳入の内容を檢討いたしてみますると、先ほど來るるお述べになりました通りに、大衆課税が非常に重くなつております。大藏大臣は、この議場におきまして、直接税と間接税との関係の率を七対三だと言われておるのであります。私は、総括的にこれを比較して申すべき筋合いのものでないと思うのであります。増税をはかりました増税率について、私は比較論難してみたいと思うのであります。
 なぜかと申しますと、今回増税の結果によつて國民が負担を受けますところの直接税と間接税との比率は、逆に直接税が三であり、間接税が七となるのであります。これにタバコの値上を國民大衆轉嫁税なりと推定いたしますときには、実に驚くなかれ、直接税一に対して間接税は九という割合に相なると思うのであります。なぜかと申しますと、直接税たるところの所得税の増税額は、予算額中三十八億余万円にほかなりません。しかるに、間接税の増税たる酒の増税ですら九十七億余万円であります。それに今私が軽少ながら修正をせんとする物品税の六億余万円、入場税の十億余万円、これを合わせますと、増税額だけで所得税は三十八億であり、間接税は百二十億になんなんとする態勢になるのでありますから、私の申し上げました通りに、逆に三対七の比率によつて増税をはかられておるという結果になるものだと信ずるものであります。これにタバコの税を加えますならば、先ほど申しました通りに一対九の比率になりますがゆえに、異口同音に間接税の高いといわれることは、われわれが認めまいといたしましても認めざるを得ない増税率に相なつておると信じて疑いません。
 この意味におきまして、先ほど申しましたように、世の中は非常に窮屈なる——家庭は赤字にあえぐ今日の状況から鑑みまして、私どもは家計費の一部を補うと申しますか、一部のたしにでもなるようにということを考えまして、物品税の増税分に対してなりでもここに修正をいたしまして、そうして、その修正の恩恵を受けるところの家計を救済していく、こういうことが最も適切妥当でなかろうかと信ずるのであります。
 口に税金が高い、間接税が高いということを呼ばわれましても、出てまいつておりますところの予算に対して筆を染めないで、口で言うだけでは、その効果は断じてあるものではありません。口に言わずして、予算の上について、皆さん各位が國民のためになるように予算を経理されてこそ、初めて健全なる財政となり、りつぱなる予算になるものだということを信じて疑いませんがゆえに、ここにあえて軽少ながら修正意見を提出いたしまして、皆さんの御批判を仰ぎ、願わくば全会一致をもつて御賛成あらんことを念願いたしまして、私の修正意見にかえる次第であります。(拍手)

発言情報

speech_id: 100105254X06419471123_008

発言者: 西村久之

speaker_id: 33179

日付: 1947-11-23

院: 衆議院

会議名: 本会議