前尾繁三郎の発言 (予算委員会)
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○前尾政府委員 上半期におきます租税收入が、ただいまお話の通りに二百六十數億にすぎない。それにつきましては、申告納税制度が失敗したのが原因ではないかというお考えであると思います。その原因についてわれわれとして申し上げたいのでありますが、まず第一に二百六十數億の收入は、當初豫算といたしましては六百九十五億の租税收入でありますので、大體において順調に行つておると考えるのでございます。ただその中で申告納税制度は豫期に反していい成績ではございません。しかしわれわれといたしましては、當初からこれがうまく運營されるというふうには考えていなかつたのでございます。この一年を通じまして、この制度の普及宣傳をはかり、またその方法に慣れていただくというふうに考えておつたのであります。その宣傳はちようど紙不足の折柄でありましたので、あるいは徹底しなかつたという點もございます。しかし大體においてわれわれが見込んでおりました人員におきましては、八割二分の申告がございます。また所得金額から申しますと、當初豫算で申しますれば、六割三分の申告が所得金額に對してあるのでございます。しかし何を申しましても、六割程度の所得金額でありますと、累進税率の關係上、税額としては二割六分というような成績になつてしまうわけでございます。もちろん周知の點に缺けたこととは思いまするが、ただいま申し上げましたように、人員において八割程度の人が申告していただいておる。要するに申告に慣れなかつた。また實際の所得金額に對する申告が適正でなかつたという點にあるのでございます。從いまして、われわれといたしましては、なるべく早急の機會に政府の調査いたしました金額に從つて、公正な決定をするという方針で進んでおるのでございます。ただ問題といたしまして、現在の税務署におきましては、前の財産税竝びに戰時補償特別税等のあとの始末が非常に重なりまして、また財産税等の收入は、大體において豫想通りはいつておりましたものの、正直者がばかを見るということになりましては、申告納税の制度に非常に惡影響を起しますので、財産税につきましても、そのまま放置しておくわけにまいりません。從つて財産税の更正決定を八月、九月までかかつてやつておるのでありますが、從つて所得税におきます更正決定の事務が遲れておる。また滯納にいたしましても、七月末に大體百億でありますが、この滯納は財産税なり戰時補償特別税の物納の整理が非常に手間どつた關係からして、増加所得税の滯納整理をすることができなかつたという結果であります。もちろんこのままで放置しておきますならば、なるほど當初豫算に對しましては、大體の豫定の進行をいたしておりますが、追加豫算を入れました本年度千三百三十數億の租税收入に對しましては、とうてい今後におきまして、十月以降に千億をとらなければならぬというような事態に追いこまれておる次第であります。しかし更正決定の事務は、その後は進捗いたしまして、大體所期の目的を達成し得るというふうに考えておるのでありますが、それにつきましては、納税運動によりまして、國民に相當大きな税金がかかるということに對する覺悟を促さなければならぬ。その一面におきまして税を刷新し、あるいは税務官吏の待遇を改善し、それによりまして、あくまで事務を進捗させるという方法を講じておるのであります。先ほどお話のようないろいろな手段によりまして、私は十分本年度におきましては千三百三十數億の租税收入は十分はいるという確信のもとに、今度の豫算を組んでおるのであります。それにつきましては、なお國民一般の絶大なる御協力を願わなければならぬと思つております。しかし十分はいり得るという確信のもとにこの豫算を組んでおる次第でございます。