予算委員会

1947-11-07 衆議院 全48発言

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会議録情報#0
昭和二十二年十一月七日(金曜日)
    午前十時五十三分開議
 出席委員
   委員長 鈴木茂三郎君
   理事 稻村 順三君 理事 川島 金次君
   理事 小島 徹三君 理事 苫米地英俊君
   理事 庄司 一郎君 理事 川野 芳滿君
   理事 東井三代次君
      荒畑 勝三君    海野 三朗君
      加藤シヅエ君    黒田 寿男君
      竹谷源太郎君    中崎  敏君
      中原 健次君    西村 榮一君
      安平 鹿一君    押川 定秋君
      川崎 秀二君    古賀喜太郎君
      五坪 茂雄君    鈴木 明良君
      佃  良一君   長野重右ヱ門君
      淺利 三朗君    磯崎 貞序君
      植原悦二郎君    角田 幸吉君
      小峯 柳多君    上林山榮吉君
      西村 久之君    本多 市郎君
      中村 寅太君    野坂 參三君
 出席國務大臣
       内閣總理大臣   片山  哲君
         大藏大臣   栗栖 赳夫君
         國務大臣   和田 博雄君
 出席政府委員
        大藏事務官   福田 赳夫君
        大藏事務官   前尾繁三郎君
 委員外の出席者
        專門調査員   芹澤 彪衞君
        專門調査員   小竹 豊治君
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本日の會議に付した事件
 昭和二十二年度一般會計豫算補正(第七號)
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鈴木茂三郎#1
○鈴木委員長 それではこれから會議を開きます。
 質疑に入るに質疑に先だちまして、きようお手もとに配付いたしました資料のうち「政府及政府機關資金綜合豫定表」をお手もとにまわしてございまするが、豫算審議の上に重要な資料であると存じまするから、福田主計局長からこの資料に關する御説明をまず聽くことにいたしたいと思います。
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福田赳夫#2
○福田政府委員 ただいまお手もとに配付いたしました「政府及政府機關資金綜合豫定表」につきまして御説明いたします。この資料は、まだ試算の域を脱しないのでありまするが、財政の綜合的檢討を行う上におきまして必要の資料と存じまして、取急ぎ提出いたしたわけであります。今後におきましては、かかる資料をなるべく早く、完全なる體系をつくり上げることに努力いたしまして、そうしてなるべく早い機會に、こういうものは豫算提出とともに提出いたしたいというふうに考えておるのであります。内容を大體御説明申し上げますると、第一が國家財政に關するものであります。そのうち(1)が一般會計、その次が特別會計であります。第二が地方財政であります。それからその次が復興金融金庫、この三者でありますが、この三者が財政に關して資金の動きを起す原因を構成しておるわけであります。まず國家財政の一般會計につきましては、先般御説明いたした通りであります。一の(2)に屬しまする特別會計でありまするが、これは一般會計におきましては、歳入歳出の額を掲げてありまするが、特別會計におきましては、歳入の不足額を掲げておるのであります。しかして△が出ておりますが、これは不足の逆でありまして、すなわち黒字になつておるという數字であります。特別會計の數字は、昨日提案いたしまする各特別會計豫算案を、まつたく同一の數字ではないのでありまして、その特別會計豫算に對して若干檢討を加えまして、資金の不足額を算定して、ここに掲記いたしたようなわけであります。造幣局特別會計においては、當初一億八千萬圓の黒字でありまするが、追加豫算においては五千九百萬圓の赤字を出す。これは政府職員の給與の關係、物件費の關係等でさようなことになるのでありますが、その結果一億二千萬圓の黒字になるのであります。印刷局においては、當初二千百萬圓の赤字でありましたが、追加豫算においては既定經費の節約等行いまして、この赤字を消すことに相なるわけであります。專賣局特別會計においては、ここに掲げてありまするところの當初豫算は十四億七千七百萬圓、追加豫算は二十二億二千二百萬圓、會計三十六億九千九百萬圓でありますが、この專賣局特別會計は、豫算的には歳入歳出とんとんとなるのであります。しかしながら、これを資金化の關係から見ますと、二十二年度中に金額の益金を一般會計に繰入れることができない。そのため借入金を一時いたしまして、そうして一般會計への繰入れを實行いたすということになるのであります。さような金繰り上の不足額をここに掲げたのであります。大藏省預金部においては、當初豫算におきまして九億八千五百萬圓の赤字となつておりますが、追加豫算においては四億五千七百萬圓の黒となり、合計いたしまして、五億二千八百萬圓の赤字となるのであります。先般一般會計の豫算を御説明いたした際に、預金部特別會計に一般會計より十億圓の繰入れをいたしたのでありますが、十億圓の繰入れをいたしても、なお五億二千八百萬圓の赤字を殘すということに相なるのであります。財産税等收入金におきましては、當初の通りであります。厚生保險年金勘定、船員保險の三つの勘定におきましては、當初黒字であつたのでありますが、今囘もその状況を持續するのであります。ただ船員勘定におきましては、十一月以降におきまして、これが獨立した勘定となるのでありまして、その分だけ剩餘金が減少するということこなります關係上、九千八百萬圓の追加豫算における赤を出すのであります。食糧管理特別會計におきましては、當初九十三億三千二百萬圓の赤字が、百七十四億一千四百萬圓の追加の赤字となるわけであります。これは要するに食糧證券の發行額と償還額との差額を計上いたしたのであります。薪炭需給調節特別會計におきましては、當初三億七千百萬圓の黒でありましたが、薪炭買上價格の引上げ等に伴いまして、十億五千三百萬圓の赤字を出し、合計いたしまして六億八千二百萬圓の赤字となるのであります。農業共濟再保險特別會計は三千九百萬圓の赤が、追加におきまして十二億六千三百萬圓、合計いたしまして十三億二百萬圓の赤字と相なるのであります。これは不測の事故に備えまして、豫備費の増額をいたした關係に基くものであります。それから開拓者資金融通は、當初九億五百萬圓の赤でありましたが、さらに入植者に共同施設をやるために、若干の融資をいたすという關係に基きまして、二千萬圓の赤字の増加と相なるのでありまして、合計九億二千五百萬圓の赤字と相なるのであります。國有林野事業は、當初二億九千七百萬圓の赤字、これに今囘の追加豫算六億八千六百萬圓、これは管理費において値上りをいたし、あるいは給與改善の經費を織りこむというような關係で、合計いたしまして九億八千三百萬圓となるのであります。貿易資金は、損益勘定におきまして、當初一千萬圓、これが追加におきまして一億五千六百萬圓の赤字となるのであります。合計いたしまして一億六千六百萬圓、追加を要する原因といたしましては、借金の利子であります。それから運用資金におきましては當初ゼロと豫定いたしたものが、八十億の追加借入れを要するということに相なるのであります。次に國有鐵道におきましては、當初百三十六億六千六百萬圓、これに對しまして追加の赤字が十一億一千九百萬圓、合計百四十七億八千六百萬圓となるのであります。これは一般會計より五十億の繰入れを行つても、これだけの赤字の増加に相なるのであります。通信事業におきましては、七十四億六千萬圓、これに對しまして二億二千二百萬圓を追加して、七十六億八千二百萬圓の合計額となるのでありますが、これまた二十五億圓の一般會計からの繰入れを行いましても、かようなことに相なるのであります。次に簡易生命保險、郵便年金特別會計におきましては、當初十一億九千萬圓の黒を出しておつたのであります。それに對しまして、今囘五億九千七百萬圓の追加を要する。これは經費の増加に基くのでありまして、經營の合理化につきましては、一段とくふうをこらしておるのでありますが、かような赤字を出しまして、合計いたしまして五億九千三百萬圓の黒と相なるのであります。なお失業保險におきましては、當初豫算においてはありませんでしたが、追加におきまして七億三千七百萬圓の黒を出すのであります。合計いしたまして特別會計におきましては二百三十五億七千六百萬圓の當初豫算の赤字が追加豫算におきまして、三百十五億七千四百萬圓を追加し、合計して五百五十一億五千二百萬圓の増額と相なるわけであります。
 次に地方財政につきましては、これは特別會計に比べますと、非常に數字がまだ熟しておらないのでありますが、歳入差引いたしまして、當初豫算におきましては六十七億と見ておつたものが、追加豫算におきましては三十四億八百萬圓を追加いたしまして、赤字の合計は百一億八百萬圓と相なるのであります。
 次に復興金融金庫におきましては、總計の金額が四百六十億と相なるのであります。これまた地方財政同樣、熟していない點もあるのでありますが、大體におきましては、資金の所要額、本年度一ぱいの額が五百七十五億圓、それに對しましてさらに保證融資、すなわち復興金融金庫において保證をいたしまして、市中金融機關から貸し出す金額が六十九億圓、合計いたしまして六百四十四億圓というふうに相なるのであります。この額から大衆金庫において囘收いたすところの額七十九億圓を差引きまして、五百六十五億圓と相なるのでありますが、これに對しまして、政府が本年度中に實行いたす出資金百億圓を差引きますと、おおむね四百六十億と相なるのであります。この四百六十億のうち、當初豫算關係のものが百二十億、追加豫算におきまして三百四十億圓の追加をいたすということに相なるのであります。總計におきまして當初豫算におきましては四百七十一億四千九百萬圓の赤字が、追加豫算におきましては六百四十一億九百萬圓、合計いたしまして千百十二億六千萬圓という數字に相なるのであります。今後皆きんの御指導によりまして、さらにこの數字の内容竝びに樣式等におきましては改善を加えまして、將來における財政檢討の指針としての資料といたしたい、かように考えております。
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鈴木茂三郎#3
○鈴木委員長 それではこれより質疑に移ります。總理大臣竝びに大藏大臣は、後ほど御出席になりますが、きのう荒畑勝三君の御質疑のうち、安定本部總務長官に對する御質疑が保留になつておりますから、それの御質疑を願いたいと思いますが、もう豫定の時間も少いようでありますから、なるべく簡潔にお願いいたします。荒畑勝三君。
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荒畑勝三#4
○荒畑委員 安定本部長官に千八百圓ベースの問題についてお尋ねいたします。これはもう耳にたこができるほど聽いておるかもしれませんが、千八百圓ベースに關係しまして十一月黒字説の問題がありますが、これはその基礎となつております物價應調査の東京都内勞働者の生計費調査の基礎が、はなはだ不合理ではないかと考えておるのであります。總理廳の統計局の消費者價格の調査というものがありまして、これは非常に權威あるものだ、總司令部などでも非常に權威あるものと認められておるということでありますが、この調査によりますると、一般消費者の支出は、八月において半箇月で三千圓を超える。一箇月では六千圓にもなるのでありましようが、安本の物價廳の調査では、勞働者標準家族の月收を約三千圓、支出を約三千三百圓と推定しておるようで、半分違つておる。こういう計算の上で千八百圓ベースを維持するということは、これは言いかえますと、勤勞者に一般國民の生計費の半分で暮していけということになるのでありまして、これは非常にむりなことではないか、そういうことで押し通してとうてい納得させることはできないものと考える。その點をまず第一にお伺いしたいのであります。
 次に現在タバコを中心としまする諸物價、特に米價の値上が起りまして、ただいま申した支出に加えまして、さらにこういう支出が起つておるのでありますから、この千八百圓ベースを再檢討する必要は、私は現在不可避になつておると考えるのであります。一體インフレは靜止しているものではなくして、絶えず進行しておるのであります。こういうはげしい物價の流動しておる中で、ひとり賃金の基準だけを靜止的に考えて、その維持をはからんとするのは、そもそもむりではなかろうか。かように考えるのであります。私の聞いておりまするところでは、千八百圓の賃金ベースに對する物價の六十五倍というものは、三割だけ餘分に物價が引上げられておる。つまりまだ三割だけ賃金の基準を引上げる餘裕があるというふうに聞いておるのでありますが、そうすれば賃金のベースを、もう三割くらい引上げましても、物價の體系というものは崩れないのではないか、そう考えるのでありますが、これに對する御見解を伺いたい。この追加豫算においてこれを改訂することがもし不可能であるといたしまするならば、少くとも二十三年度の本豫算を編成する時期になつておるのでありますから、この本豫算において、政府はこのベースを改訂する意思はないか。それをも併せて伺いたいのであります。まず第一にそれを伺います。
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和田博雄#5
○和田國務大臣 第一點でありまするが、これは總務廳の調査と物價廳調査はもちろん對象が違いまするし、方法が違いますので、その結果いかんをすぐ批判するわけにはいかないのでありますが、物價廳の案といたしましては、一應あの調査に基きまして、いろいろな假定の上に生計費がどうなるかということを推論いたした次第でございます。
 それから物價の改訂に當つて、三割ばかりゆとりがあるようにきめたのではないかというお話でありますが、それはそうではございませんで、あの當時六十五倍というところに安定帶をおきましたのは、一面から言いますと、今の價格の配分率というものは、各産業で非常に異つておるわけであります。從つて原價計算主義によります價格改訂の方式をきわめて嚴格にやりますと、ある基礎的な物資等は非常に高くなつてくるのであります。もう百五十倍とか何とかいうことで、非常に基準年次より高いところで公定價格をきめなければならぬということになつてまいるのでありまして、そういうことをそのままにいたしまして、價格を改訂いたしますれば、むしろインフレーシヨンを非常に促進する影響が大きく出てくるわけでもあります。そこで一應六十五倍という點に安定點を求めまして、一面から申しますれば、價格のいろいろはね上りというものを押え、一面から言うと、財政の支出、言いかえれば價格差補給金の財政支出を最小限度にきめて、しかも物價の安定をはかろう、こういう考えでありますので、六十五倍という點にきめまして、原價計算主義によりました。しかしその場合はもちろん三割というような餘裕を認めるということは、毛頭やりませんで、やはり原價計算主義というものを、一應の構想のもとに現實にやつてきたという形になつておるのであります。しかしこの九月をもちまして、一應の價格改訂が終りました物價體系も、それはその後の需給その他の事情によりまして、もちろんその内部における調整ということは、これはわれわれの方としても考えておる次第であります。たとえば下げていいものはもつと下げるという方向においてぜひ考えていきたい。かように考えておるのでありまして、あの物價をきめましたときには、やはり生産の増強というような形において企業そのものに、私企業においてはゆとりをもたせて、これは實質賃金というものが上つていくということは、われわれの方として賃金ストツプをやらなかつたから、その點においては實質賃金がそういう形で上つていく點については、もちろん是認いたしておつた次第であります。一千八百圓の問題は、結局官公廳の問題になるわけでありますが、これは私企業と違いまして、そこにほとんど生産増強といつたような問題がないわけでありますので、結局は財政の面による拘束がここに大きく出てまいる次第であります。そこでこの官吏の給與改善につきましては、ただいまのところ、民間の企業との間のアンバランスもあり、あるいは官吏の給與制度そのものが、今までのものが決して合理化であるとは言えませんが、その點についての給與制度の改善ということは考えていきたいと思います。しかし今ただちに千八百圓ベースをかえますことは實際問題としてもできませんし、今せつかく出しましたバランスのとれた財政そのもの、追加豫算そのものを壊すことになるのでありますので、そういう制度というものは、これはとうていとり得ない。また物價體系そのものを壊すということになつてきますならば、これはぐるぐるまわりになりまして、また結局賃金の方も壊すことになつてきますので、政府の方としましては、物價體系は堅持する建前のもとに、給與制度の改善という方向に、たとえば物資の配給なり何なりによつて、民間企業とのアンバランスがないようにして、改善を加えていきたいと考えております。これはやはりできるだけ早い期間に、ぜひやつていきたいと考えております。
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荒畑勝三#6
○荒畑委員 政府が官公吏の給與改善の意思のあることを明らかにいたされましたことは、私は滿足であります。一體われわれが先きに千八百圓ベースの堅持を一應認めました事柄は、一方に生活必需品の配給を豐富にする。他方にはやみ撲滅に力を注いで、流通秩序の確立をはかつて、そうして生計費中のやみの割合を漸次に縮めていくことができ、十一月には黒字になるという政府の對策に期待したからであります。しかるにその後の傾向を見ますと、流通秩序はなかなか確立されない。やみ値は公定價格の上るに從つて上昇しておりますし、殊に十キロ十九圓から百四十八圓五十錢に値上げされた米價は、主食費の支出を五割増大させている。そうしてこのために消費者負擔は四十四億と言われ、一世帶五人家族として、まさに二百五十圓にあたるという状態であります。こういう状態で、千八百圓ベースを堅持するというのは、もう不可能のことであつて、單に役人の面子の問題で、こういう不可能を大衆、特に官公廳の職員に求めることはできない問題だろうと思うのであります。この點について十分に政府の善處を要望したいのであります。
 最後にお伺いしたのは、これと關係しましたやみ撲滅の問題であります。タバコが非常な値上りをしてをタバコの値上が一般やみ物價の騰貴を刺戟することは明白であります。家庭配給だけで千八百圓ベースを守ると申しましても、從來の消費を三割減少した上のことであつて、一般の喫煙者が三割減少の家庭配給で滿足し得るかどうかは別問題であります。またもし國民一般がタバコの減配に甘んじて、自由販賣のピースあるいはその他の新生とかいうタバコを購入しないとすれば、二百六十億の專賣益金の増加は困難となつて、豫算に大穴をあけざるを得ないことになる。安定本部は千八百圓ベースは自由販賣のタバコを計算に入れてないというお勘定でしようが、そうすると、一箇月三十億本の自由販賣のタバコは、勸勞者層以外に買手を求めなければならない。それがやみ利得者の手にはいることになりますと、正直者がばかを見るということを天下に證明するにほかならないと思います。ひとりタバコばかりでなく、主食、生鮮食料品、または繊維製品、そういうものについても、依然としてやみ行爲が今日行われて、不徳漢が暴利をむさぼつている。そういう現状を政府はどうごらんになるか、知つているのか、知らないのか。知つておればこれに對してどういう方針をおとりになるのか、やみ取引の横行と不當利得者の跳梁を默認、看過して、これで經濟危機を克服するということは、木に縁つて魚を求むるにひとしいものと言わざるを得ないのであります。安定本部長官も、新聞はお讀みになつていると存じますが、讀めば必ず私はこういう事實にお目を止められたろうと思う。それは十月十三日の新聞に出ていたのですが、十月十一日の夜福岡縣人の田中伊勢吉という六十五になる老人が、宮城前で切腹した上に首をくくつて死んだ。そしてそばに遺書があり、それには「引揚、戰災の戰爭犠牲者をよそに利得をむさぼるやつがおり、世は矛盾だらけだ。米一升三十錢、酒一升一圓のとき貯金した十年間の金も、やみ値二百倍の生活では一箇月で底をたたいた。政府の保護法なども潔く受けられぬ。二人の息子は南方で戰死、老後の夢も破れた。敗戰の苦杯を全國民で味わえ。」という遺書を殘して腹切つて、その上に縊死を遂げた者がある。こういう事實があつて、しかも一方にはやみ利得者が跳梁跋扈をきわめている。これではだれが何と言いましても、民主主義日本の再建はできないと思う。さらに最近には隣家のやみ屋の贅澤を見て義憤を起して、少年が放火したという新聞記事も現われております。現在のやみ屋の跳梁跋扈が、少年をしてかような犯罪行爲に出でさせておる。さらにその後には、あくまでやみを拒んで遂に榮養失調に陷つて死んだ判事の例もある。いやしくも今日やみを拒めと政府の要望せられる倫理道徳を守る者は、榮養失調となつて死ななければならない立場におかれておるのであります。そうかと思いますと、一方では九月三十日の晩には、淺草田島町の料享「とんぼ」で秋田縣の知事その他が飲食をいたしまして、警察に引つ張られたという例がある。十月八日の夜には中野區千代田町の貸席「みゆき」方で、遞信省總務局主計課の事務官らが飲食をして引つ張られた例もある。こういう料亭は禁止せられておるにもかかわらず、政府の權威を無視して、半ば公然と裏口營業で行われておるのであります。これに對して政府はどれほどの強力なる方針をもつて臨まれておるか。また今後臨むおつもりなのか、なるほどしばしばこれを禁止するという政府の政令などが出、またときには、そういうことに對して手入れも行われておりますが、いつも三日坊主に終つてしまつておる。先だつても勞働委員會の席上で、和田長官に私はこれについてお質しをいたしました。市中には百匁三百八十圓で白砂糖が公然と賣られている。白いコツペが賣られている。ズボンが賣られている。殊にけしからぬのは、第三國人といえども賣ることができないということになつておるにもかかわらず、第三國人が、あるいは第三國人の名をかりて公然とこういうやみ行爲をやつている者がいるのであります。それに對して警察が何の手も出すことができない。もし第三國人なるがゆえに、日本の警察がこれをいかんともすることができないならば、政府は總司令部に懇請をいたしまして、その力をかりて日本國の經濟秩序の維持のために、日本國民の生活確保のために、斷固としてこれを取締る決意があるかどうか。私はそれを政府に質したいのであります。また六月に全國暴力團刈りが行われましたが、十月十八日の現在では、檢擧數七千八百二十六人、未檢擧數が博徒、てき屋、不良千二百六十團體、五萬三千五十一人になつている。こういう團體の數がわかり、人間の數がわかつているのに、政府は斷固として取締らないのか。淺草あたりでは、芝山組であるとか、あるいは松田組とか、そういう博徒、不良、テキ屋、そういうものの親分が、依然として羽振りをきかしまして、その子分、子方が、まじめな商店を脅かして横暴を働いておる。その庇護のもとにある者は、禁制品を大道で公然と賣つておるのであります。そういう親分連は警察と通謀いたしまして、そういう子分、子方をかばつておるのであります。こういうことに對して私は政府が徹底的な手段を一日も早く講ずることを要望せざるを得ない。
 もう一つ申し上げたいのは、今日は御承知のように、住宅難ということが國民の生活上の一大關心事であります。現在日本には家のない家族が三百八十五萬世帶を算えるといつておる。そのために六疊一間が部屋代三百五十圓、權利金一萬圓もしておるという、こういう大きなやみが行われておるのでありますが、その一方において、十月六日の朝日新聞の投書欄に、國鐵と文化住宅という投書がある。その大意は省線西千葉驛に近い高臺の雜木林が忽然として百軒ほどの文化住宅街となつて、これを近所の人は特殊部落と呼んでおるそうでありますが、そのほんとうの名前は、東京鐵道局管理部高級職員住宅と言う。その建築資材というものは、國鐵の顔に物を言わせて、一氣呵成に百軒の立派な文化住宅ができ上つてしまつた。電力は省線のケーブルから直接に引込んで、電力制限で近所の主婦連がまつ暗な中で炊事をしておるときに、そこだけは戸ごとに煌々と電燈が輝いて、屋外燈はさながらイルミネーシヨンのようである。そういう記事が出ておる。ところがこれはひとり西千葉だけの例ではなくして、東京の目と鼻の先にあります池袋の鐵道局員の住宅も、この通りであります。そういう餘裕が一體鐵道にあるのであるか。鐵道はただいまも御説明がありましたように、厖大な赤字を出しておるときに、こういうことをやる餘裕が鐵道にあるのであるか。縣知事やその他の役人の政府の政令を無視した、かような不始末といい、鐵道が國民の負擔となるところの厖大な赤字をよそに、こういうような建築を勝手にやることができるということは、政府は責任をお感じにならないかどうか。これを私はお伺いして、政府はこれに對してどういう覺悟、どういう態度、どういう方針をもつてお臨みになるつもりであるか。これができなければ、國民一般勤勞者に對して、耐乏生活を求めましても、それはただ反感を挑發するだけであります。國民に一方において耐乏生活を求めるならば、一方において、こういう大小のやみ行爲というものの徹底的な取締りを行うのでなければ、國民は決して滿足するものではありません。そういう實證を見せつけて、初めて國民も喜んて耐乏をいたすのであります。そういう點について、私は政府の責任ある御答辯を承りたいと存ずるのであります。
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和田博雄#7
○和田國務大臣 非常にごもつともな御意見でありまして、拜聽いたしました。私たちが給與の千八百圓水準を守るためにあらゆる努力をいたしておりまするのも、結局インフレーシヨンというものを防止して、いろいろの響きが出てこないようにするためにやつておるのでありまして、從いまして、ただいま申されましたいろいろの事柄につきましては、われわれとしては、今度の追加豫算を組みます場合におきましても、健全財政の立場を堅持いたしまして、非常にいろいろの點を考慮いたしまして、結局赤字のないバランスの合つた財政を立てた次第であります。もちろん物價廳で調査いたしましたあの家計の中に、自由販賣のタバコ等については計算いたしておりません。しかしタバコの値上げにつきましては、經濟安定本部、あるいは内閣といたしまして、その一般の物價に及ぼする影響を十分に考えまして、この追加豫算の組まれます過程におきましては、いろいろと折衝もいたし、考慮いたしたわけでありまするが、結局バランスの合つた豫算をつくりまして、從來のように財政資金なり産業資金なりがたくさん出ていつて、通貨の増發という面から、物價が高騰することを防ぎますることが、やはり必要と考えまして、タバコの値上そのものによるやみ價格の高騰ということにつきましては、タバコはいわば生活必需品的な性格はもつておりまするが、やはり一面において嗜好品たる性格ももつておりまするし、また外國のなにを見ましても、輸入のタバコなり何なりは、戰勝國でも今の時期においては、これを制限するなり禁止するなりといつたような、強力な手段もとつておりますし、そういつた國際關係をも十分考えまして、ここに財源としては、タバコは値上をしましたが、一方財政面における均衡をとることによつて通貨の増發を防いで、その面からインフレーシヨンの促進を大きく抑えていこう、こういう態度をとつた次第でございます。
 やみの撲滅につきましては、お話のように、われわれとしては、全力を注いで、今までやつてきたわけでありまするが、今後といえども、これは續けていきたいと思います。現に各省の委員會をつくりまして、毎週寄りまして、いろいろのデーターを出し合い、從つてそこの決定に基いて取締りをやつていこうということにいたしておるのであります。官吏の今種々お述べになりました非違の點につきましては、現在この内閣でとつておりまする行政査察というものを強化いたしまして、現に今各省において行政査察はどんどんやつておるのでございます。從いまして、この行政査察を圓滑に公平にやつていただきまして、もしただいま御指摘のような點がありまするならば、政府としては今後これを直すということに努力を拂つていくというようにいたしたい、そういうようにわれわれとしては考えている次第でございます。
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鈴木茂三郎#8
○鈴木委員長 次は順位によりまして、鈴木明良君。
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鈴木明良#9
○鈴木(明)委員 私は限られた時間内に質問いたしまするので、片山内閣の施政一般に對して質問する時間のありませんことを、まことに遺憾と存ずるのであります。まず片山總理大臣の御所見を伺いたいことがございます。新憲法下意義ある第一囘の國會を召集せられました片山内閣が、未曾有の政治的經濟的難局に直面せられ、日夜御苦心せられおることは敬服いたすのでありますが、私はこの機會に政治界の明朗化という點について、かつまた思想上の性格矛盾という點について、いかように總理大臣は處理せられておるか、大臣の御所見を承りたいと存じます。
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片山哲#10
○片山國務大臣 私の開會冒頭における施政方針の演説においても、明らかにいたしておりまする通り、政界に陰謀とか、あるいは策謀とか、後ろ暗いことがあつてはならない、眞に國民のすべてが十分に了承する明朗なる手段をとつて政治の衝に當らなくてはならないということを信條といたして、今日においてもその信條を守つて、これを實現いたしたいと考えておる次第であります。政治的な方針といたしましては、平和國、文化國建設のために、民主主義のあらゆる方面における浸透を企圖いたしまして、政治上における各種の制度の改革、民主主義徹底によりまする制度、機構の改革を考えるとともに、經濟上におきましては、國民全部が國家再建のために經濟的協力をされることを要望する意味の、經濟民主主義を主張いたしておる次第であります。勞働大衆も、農民大衆も、あるいは小賣商人の諸君も、すべてが祖國を再建するために、乏しきをわけ合つて、國家の費用を負擔して、祖國再建に協力してもらいたい。こういうことが、私の考えておりまする經濟上における民主主義の浸透であります。そういうふうにしまして、政治的、經濟的に相竝んで、平和國を築いていからなければならないと考えておるのであります。さらに國民の協力を求めるために、國民の一致態勢を國民運動の名において、國民に要望いたしておるのでありまして、精神上における協力、精神上におけるところの心の切りかえを願つて、そうして新しい國をお互いにつくつていくのであるという建前を、十分に了解してもらいたい。これが新憲法を實際に現わしていく政治的な方法であると考えて、それを國民に了解を求めておるのであります。政府の力の足らざるところを、さらに努力いたしましまして、その方針に立つて、今後とも邁進いたしたいと考えておる次第であります。
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鈴木明良#11
○鈴木(明)委員 この問題につきましては、私はなお御質問いたしたいことがあるのでありますが、私としてはこの問題については、これ以上申し上げることは、ただいまは差控えたいと存じます。そこで私が第二番目に尋ねおしたい點は、日本再建の根本的な建直しに關する問題の一つといたしまして、石炭三千萬トンを掘り出すための國家管理の問題であります。國家管理法案がこの國會を通過いたしまして、國家管理を斷行した場合、増炭の自信があるかというような點についてお伺いいたしたいのであります。
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片山哲#12
○片山國務大臣 國家管理法は、すでに諸君のお手もとに提出して、相當の期間をおいて御審議を進行していただいておると思うのであります。その際において趣旨を明らかにいたしておりまする通り、この國家管理案は、石炭増産を目あてとする國家管理案である。單にイデオロギーにとらわれておるというような法案ではなくして、増産を目あてとする法案である。殊にわが國の再建のために、最も必要なる産業の發展は、一に石炭を母體とし、石炭に基本をおいておかなければならない。その石炭を増産するためには、新しい構想をもつていかなければならない。資材の不足や資金の缺乏や人員の補充、いろいろの點において、國家は増産を目あてに全力を傾到する。こういう意味における石炭國家管理案でありまして、一にこれは増産を目あてとするものであります。しこうして政府におきましては、必ずその實績は上り得るものである。必ずそれは目的を達しなければやまないよいう固い決意と、また非常な期待をかけておる次第であります。
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鈴木明良#13
○鈴木(明)委員 次に私は根本的な財政及び經濟政策に關しまして、數件の重要なる具體的問題を取上げて、關係大臣に質問いたしたいと存じます。まず追加豫算の歳入面における租税の問題、次に歳出面における諸問題について質問いたします。最後に今後の新經濟政策と財政計畫の見透しに關する總合質問をいたしたいと存じます。
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鈴木茂三郎#14
○鈴木委員長 鈴木君、ちよつと御質疑中ですが、大藏大臣は今參議院で答辯中でありまして、ちよつと遲れて來られますが、主計局長、主税局長がおられますから、よろしゆうございますか。
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鈴木明良#15
○鈴木(明)委員 よろしゆうございます。第一に歳入面における租税の問題であります。本豫算、追加豫算を合計いたしますると、歳入歳出ともに二千六十六億一千萬圓という巨額に達しております。これは經濟安定本部推定の國民總所得の大約八千五百億に對する二割四分強で、國民に最大限の負擔を負わせているのであります。片山内閣は本年度にはさらに追加豫算を提出しない方針であると言つておりまするが、私ははなはだ疑問であると思います。なぜならば徴税が、多くの人が懸念するように、不可能な場合を豫定せざるを得ないからであります。もし徴收が所期の目的を達しない場合には、大藏大臣の主張する健全財政は、結局計數上のものとなり、財政の運營は不能となり、結果としては赤字財政となる。すべての政策に重大な支障を來すことになるのであります。この點については、同樣の點を同僚議員より指摘いたしたようでありまするが、私はその見透しについて、具體的に御説明願いたいと存じます。
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和田博雄#16
○和田國務大臣 ただいまの點でございますが、まことにごもつともな御質問でございまして、結局今度の健全財政といいまするものを堅持いたして、實質的にこれが實行をはかり、租税の徴收が的確に行われるということが、大きな要素になつておると私も考えます。その點については、ただいままでのところ滯納があるわけでありますが、しかし今までの税の上半期にはいつてきました程度は、ある意味から言うと決して惡くないのであります。問題は今後にかかつておるのでありまして、これについては、政府といたしまして、税務の機構の強化ということをはかりますとともに、それぞれの適當な處置を講じまして、徴收に全力を盡してやつていく。こういうつもりで、今度それぞれの施設をやろうといたしておる次第でございます。結局通貨の増發がその面から阻止されていくということになつてきますると、初めて今度のバランスのとれた豫算が、ほんとうに均衡がとれたことになるのでありまして、そこに今大藏當局その他が中心になつて、徴收の的確を期するという點についての施設をやつていこうということにいたしまして、先般の閣議でもその要綱を決定いたして、これを實施に移しておる。こういうことであります。
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鈴木明良#17
○鈴木(明)委員 ただいまの御説明によりますると、徴收の方法についても具體的に檢討しておるということでありますが、私が先に述べましたように、本年度の國民所得推定八千五百億圓に對しまして、租税の收入は追加豫算が六百三十七億圓、これに本豫算の六百九十五億圓を合わせますると、來年度三月までに一千三百三十二億圓を徴收することになつております。これは國民所得の一割六分になつております。昨年度の租税收入が、當初、追加豫算を合わせて二百六十三億圓であつたのに比べまして、國民の租税負擔は五倍強となつております。これに同性質の專賣益金の當初、追加豫算合計四百八十億を加えますと、千八百二十二億圓、このほか地方税の負擔もありますから、國民所得に對する税の比率、國民生活に對する税負擔、これは相當大きいものとなつてまいります。今日インフレの高進と物價高騰のために、千八百圓ベースにあえぐ勤勞階級が、勞組による勤勞所得税の撤廢の要求があります。一方には實際的な賃金の高騰、公定價格の改訂によるところの原料、資材のやみ價の上まわり、金融の統制強化による鼻詰りに基きまして、中小企業の税金不納同盟がある方面に起りつつあるなど、一部階級を除いてようやく租税能力が乏しくなつてまいりました。租税の抵抗、ないし囘避が表面化いたしまして、しかもその限界點に達していることは、もはや私は周知の事實のように思うのであります。そこでこのような國民經濟のもとに、はたして租税の徴收が確實に行われるかどうかということを、私は心配いたすのであります。政府におかれましては、そのために當然國民の税觀念の徹底、昨日大藏大臣の答辯にもありしたように、刑罰をもつてしてまでも租税をとる、徴收方法の合理化、税務機關の整備擴充強化、納税運動の展開等によつて、極力租税に全力を盡されるようでありますが、現下の經濟情勢のもとでは、もはや單なる徴税運動や徴税技術では、私は解決できないものと思うのであります。要するにこれが解決は、豫算實施と竝行いたしまして、行政整理を斷行する以外に途なしと考えます。この點に關しまして、安定本部長官の所信を、私は伺いたいと思います。
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和田博雄#18
○和田國務大臣 政府の支出に對しましては、今度の追加豫算を編成いたします場合におきましても、節約を十分やりましたわけであります。行政整理の問題は、これは官廳の行政整理ということにつきましては、緊急對策の場合におきましても、企業の合理化の問題と同時に、われわれといたしましても、政策の中に掲げたわけございます。しかしこの行政整理なり、あるいは企業の合理化というものを行いますことは、今の日本にとりましては、殊に國際經濟との關係を考慮いたしますときに、やはり必要なことだろうと私は考えます。しかしこれをやりますのには、ただ一面においてそういうことをやつていくというだけでは、やはり日本の産業そのものに必ずしもプラスの面だけはないのでありますので、どうしてもこういうものをやるといたしまするならば、その時期なり、あるいは範圍なり、あるいはその方法というものにつきましては、現下の情勢に照らして、私は相當愼重な考慮を要するのではないかと考えるのであります。やはり産業の長期計畫等についての見透しをもつて、そうしてそういう點等を考慮してやつていくということでありませんと、ただいたずらにここにおいて行政整理を強行するということだけでは、問題が解決いたさないのであります。政府といたしましては、そういうような點につきましては、各方面のやはり事柄を考慮いたしまして、その問題については對處いたしたい、かように今のところ存じておるわけであります。
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鈴木明良#19
○鈴木(明)委員 次にインフレーシヨン經濟のもとにおける財政觀念と財政運營に關する用意と方法について質問いたします。
 前内閣で編成いたしました本豫算で、財政の均衡がとれております。一切追加豫算は出さないと言つておつたものが、額において本豫算の八割強に達する巨額の追加豫算を出さなければならなくなつた今日、しかも七月の第一次案の六百九十二億圓案はたちまちに押し切られ、一時は一千五百億圓の厖大な追加豫算が豫想されましたが、ようやくのことで、今囘の歳出九百二十一億圓、歳入九百七十億圓に落ちつけるに至した御苦心のほどは、種々察せられるのでありますが、しかもこれでもう追加豫算は出さないという現内閣の言明にもかかわらず、本年度内にいま一つの追加豫算を出さなければならなくなる懸念が十分あるのであります。それは多分に當局のインフレーシヨン經濟の見透しの缺如と、それを抑制する政策なり計畫の缺如に基く豫算編成であるからであると私は思うのであります。ここに私の所見を述べますれば、インフレーシヨン途上の追加豫算編成にあたりましては、インフレーシヨン經濟下における財政の觀念に徹底することであります。すなわちインフレーシヨン經濟のもとの財政は、インフレーシヨンによつて賄わなければならないということであります。それは比較的に經濟變動の少い平等の財政觀念をもつてしては、今日のような經濟の變動期は賄えないと思うのであります。ここに平時的な財政觀念を急速かつ率直にインフレーシヨン經濟における財政觀念に切りかえななければ、豫算の編成及びその實施はできないと思うのであります。この點に關する大臣の所信を私は質したいと思うのであります。
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和田博雄#20
○和田國務大臣 インフレーシヨン下における豫算編成の問題は、お話のように、經濟が平常時におきまするときとは、やはり異なつた觀點から編成されていくべきものだと思います。結局はインフレーシヨンというものが、今後どういうふうになつていくかという見透しと、それからインフレーシヨンに對して財政が一體どういうふうな地位を占めておるかという財政自體のもつ地位の認識と、それからそのときにおきまするやはり生産囘復のテンポといいますか、日本の場合で言えば、それと同時に國際關係のいろいろな經濟環境といつたようなものを、やはりインフレーシヨンの克服のために、實際上の基盤をなすところの、そういつた面を考えて編成さるべきものだと思うのであります。ただ今囘の場合は追加豫算であります。二十三年度に編成さるべき本豫算ではなく、追加豫算という一つの制約があるわけであります。そこでその制約のもとに今度の追加豫算を組みます場合にも、やはり一般豫算において健全財政の建前をとりましたその健全財政の建前を貫くという考え方で、追加豫算の編成にあたつたのであります。もちろん追加豫算でありますので、本豫算と違いまして、そこにいろいろなものを盛つていくということにならなかつたわけでありますが、とにかく今度の追加豫算におきましては、一般會計から特別會計もひつくるめまして、一應の健全財政の線を堅持したということは、これはやはりインフレーシヨンというものに對する豫算の組み方という立場から組んだことを、御了承願いたい、こう思うのであります。
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鈴木明良#21
○鈴木(明)委員 次に所得税は本年度から申告納税制になりましたが、六月末現在において申告納税額が約三百億圓のうち、わずかに七十七億圓、ちようど二割三分であります。第一期は豫定の四分の一という成績であります。これに關しては申告納税制の不慣れや、納税觀念の低下、徴收方法の非合理性をいうこともありましよう。それはともかくといたしまして、この租税滯納二百二十三億圓は本年上期に四百億圓に上る日銀券増發の有力な原因となつております。すなわち日銀の民間銀行への貸出を百二十五億圓減少させたにかかわらず、政府資金の撤布超過は三百十一億圓に上つております。復金債の背負込みは二百億圓を超えたのであります。この状態では追加豫算における復金資金四十億圓と、貿易資金五十六億圓の計上も、結局は日銀の背負込みになると私は懸念されるのであります。このような財政運營の不手際は實に大藏當局の責任なりと思うのであります。この點に關する確信があるかどうかという點について質したいのであります。
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前尾繁三郎#22
○前尾政府委員 上半期におきます租税收入が、ただいまお話の通りに二百六十數億にすぎない。それにつきましては、申告納税制度が失敗したのが原因ではないかというお考えであると思います。その原因についてわれわれとして申し上げたいのでありますが、まず第一に二百六十數億の收入は、當初豫算といたしましては六百九十五億の租税收入でありますので、大體において順調に行つておると考えるのでございます。ただその中で申告納税制度は豫期に反していい成績ではございません。しかしわれわれといたしましては、當初からこれがうまく運營されるというふうには考えていなかつたのでございます。この一年を通じまして、この制度の普及宣傳をはかり、またその方法に慣れていただくというふうに考えておつたのであります。その宣傳はちようど紙不足の折柄でありましたので、あるいは徹底しなかつたという點もございます。しかし大體においてわれわれが見込んでおりました人員におきましては、八割二分の申告がございます。また所得金額から申しますと、當初豫算で申しますれば、六割三分の申告が所得金額に對してあるのでございます。しかし何を申しましても、六割程度の所得金額でありますと、累進税率の關係上、税額としては二割六分というような成績になつてしまうわけでございます。もちろん周知の點に缺けたこととは思いまするが、ただいま申し上げましたように、人員において八割程度の人が申告していただいておる。要するに申告に慣れなかつた。また實際の所得金額に對する申告が適正でなかつたという點にあるのでございます。從いまして、われわれといたしましては、なるべく早急の機會に政府の調査いたしました金額に從つて、公正な決定をするという方針で進んでおるのでございます。ただ問題といたしまして、現在の税務署におきましては、前の財産税竝びに戰時補償特別税等のあとの始末が非常に重なりまして、また財産税等の收入は、大體において豫想通りはいつておりましたものの、正直者がばかを見るということになりましては、申告納税の制度に非常に惡影響を起しますので、財産税につきましても、そのまま放置しておくわけにまいりません。從つて財産税の更正決定を八月、九月までかかつてやつておるのでありますが、從つて所得税におきます更正決定の事務が遲れておる。また滯納にいたしましても、七月末に大體百億でありますが、この滯納は財産税なり戰時補償特別税の物納の整理が非常に手間どつた關係からして、増加所得税の滯納整理をすることができなかつたという結果であります。もちろんこのままで放置しておきますならば、なるほど當初豫算に對しましては、大體の豫定の進行をいたしておりますが、追加豫算を入れました本年度千三百三十數億の租税收入に對しましては、とうてい今後におきまして、十月以降に千億をとらなければならぬというような事態に追いこまれておる次第であります。しかし更正決定の事務は、その後は進捗いたしまして、大體所期の目的を達成し得るというふうに考えておるのでありますが、それにつきましては、納税運動によりまして、國民に相當大きな税金がかかるということに對する覺悟を促さなければならぬ。その一面におきまして税を刷新し、あるいは税務官吏の待遇を改善し、それによりまして、あくまで事務を進捗させるという方法を講じておるのであります。先ほどお話のようないろいろな手段によりまして、私は十分本年度におきましては千三百三十數億の租税收入は十分はいるという確信のもとに、今度の豫算を組んでおるのであります。それにつきましては、なお國民一般の絶大なる御協力を願わなければならぬと思つております。しかし十分はいり得るという確信のもとにこの豫算を組んでおる次第でございます。
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鈴木明良#23
○鈴木(明)委員 徴收する確信があるということでありますが、私はこのことに關しまして、インフレーシヨン經濟のもとにおいては、年度末までには何とか徴收できるというのでは何の意味もないと言うのであります。インフレーシヨンの速度に遲れないように、急速確實に徴收しなければならないということ、すなわち徴税の速度が重大な問題であります。すなわち一方で支出は確實に行われておるのに、他方で徴收がはなはだしく遲れるのでは、その時間的ずれにおける財政運營の措置、それをどんな方法によつて賄うつもりか、たとえば日銀借受のような金融赤字に拍車をかけ、インフレをますます刺戟するがごとき方法もやむを得ぬと考えられておるのでありましようか。要するにその時間的ずれにおける財政運營の處置に關する御用意と方策について、私はお答えを求めたいと存じます。
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福田赳夫#24
○福田(赳)政府委員 お説の通り、豫算を實行していく問題は、特に租税の徴收ができるかどうかという點にかかつており、きわめて重大な問題と心得ておるのであります。しかしながら、國民の御協力によりまして、ぜひともこれはひとつ完遂したいという確信をもつて、この豫算を編成したわけでありますが、何と申しましても、今後その實をあげるということが重大なる問題であります。しかしてその實をあげるということにつきましては、本豫算を基礎にいたしまして、ただいま國家資金計畫全般にわたつて計畫性を與えるという方向に進みたいと思うのであります。一番むつかしいのが第三・四半期、すなわち十月には通貨の發行が百十億を起える状況であつたのでありまするが、十一月十二月、この三箇月の状況がきわめて重大であろうというふうに思うのであります。この三箇月の間の資金繰りをどうするかということが大體見當がつきますれば、第四・四半期の方は、これよりも相當樂に乘切れるのじやないかというふうに考えておるのであります。第三・四半期といたしましては、問題は租税が第三・四半期にいくらとれるかという問題と、第三・四半期における國家の歳出がどの程度に壓縮できますか、こういう問題に相なるわけであります。ただいまその兩者にわたりまして、十分檢討を加えつつある次第であります。これさえ解決できますれば、まず本年度の豫算も豫想通り完遂できる。かように信じておるのであります。
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鈴木明良#25
○鈴木(明)委員 次に現在の所得税の大部分は申告納税によるものでありますが、納税者は現に申告査定の手續に手間取り、かつ故意に納税を遲らせようとする傾向が見受けられることであります。それはたとえ延滯利子を支拂つても、今年度の厖大な財政豫算のインフレ高進に對する影響を見透し、現在のインフレ速度においては、極力納税を延滯することをもつて利得とするという見越しが、根強く働いておるからであると、私は思うのであります。このようなわけで時期遲れで、よし徴收したとしても、そのときにはすでにインフレーシヨン化された税收は、その實果において今日のインフレ速度と物價の値上りより計算いたしますと二分の一ないし三分の一に減殺されておることになるのであります。それでは結果において財政收支の大きな實際的開きを生じ、財政は實質的に厖大な赤字と化しまして、その運營に重大な支障を生ずると私は思うのであります。大藏當局はそのような場合を十分豫想して、的確な對策を用意されておることと信じますが、この點について具體的かつ詳細にその對策を御説明願いたいと思います。
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前尾繁三郎#26
○前尾政府委員 先ほどの主計局長の説明に幾分補足いたしたいと思うのでありますが、一つは大體において上半期におきましては申告納税の制度が必ずしもうまく運行されるというふうに考えておりませんので、當初からある程度豫想いたしておつたのでありす。從いまして、一面におきましては、間接税が今囘の追加豫算におきましても自然増收を相當出しておるのでありますが、間接税の自然増收というような形。それから一つは源泉課税の給料の引上げ等に伴いまして、當然ある程度の増收が出てまいるわけであります。それらは上半期におきましてはあまり出てまいらないかつたのでありますが、それが下半期になりますと、當然その自然増收としての形のものが現れてまいるわけであります。ただ申告納税の所得税につきましては、これは自然に三箇月以後において申告されるわけでありますから、三箇月のずれは必ず出てまいるわけであります。しかし三箇月經ちまして、ただちにそのときどきの状態によりまして申告納税がされるというふうになれば、それは非常に結構でありますが、なかなかそうはいかない。そこで更正決定をやつていかざるを得ないというように相なりますと、またその間二月や三月のずれが生じてまいります。しかしこれは技術的には當然起るべき問題でありまして、それを解消するということは、實際できないのであります。その方法としては、要するに申告納税のいわゆる修正申告によつて、そのときどきに應じた申告を出していただくという理想的な形態にまで達しなければ、それは不可能でございます。なお二月三月のずれは、これはやむを得ないのでありますが、ただいま申し上げましたほかに、滯納のものにつきます加算税等につきましては、從來よりも日歩を相當引上をいたしまして、今囘引上の税法を出すことになつておるのでありますが、そういうように引上あるいは處罰をきつくするというようなことで、ぜひとも正直な申告を出していただくというふうな方向で考えておるのであります。しかし當然起るべきずれにつきましては、また一〇〇%納税されるということは不可能なことでありますので、われわれは大體の點につきまして、相當的確な豫想をもつてすべての計畫をやつておるのであります。その計畫から考えますると、必ずしもわれわれは今までその計畫から非常に懸隔を生じておるということはないのでございます。
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鈴木明良#27
○鈴木(明)委員 次に税の性質に關して、現行の租税體系たる所得税中心主義は、私が前に述べましたように、徴收は困難であると思うのであります。徴收速度はきわめて緩慢であつて、インフレーシヨン經濟における財政政策としては適切を缺くものでありまするから、これは急速にかつ率直大膽に間接税中心主義に移し、税制の基盤を確立し、もつてこの財政危機を乘切るべきであると思いますが、この點に關する御所見を承りたいと思います。
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前尾繁三郎#28
○前尾政府委員 直接税、殊に今所得税がある程度時期的にずれるということによりまして、直接税がこういうインフレーシヨンのときに不適當でないかというふうに拜承いたしたわけでありますが、その點に關しましては、從來の實績課税という方法では、とうてい經濟變動の多いときに適合しないというような意味合からいたしまして、豫算課税に直した次第であります。豫算課税をやるために、どうしても申告納税という制度でまいりませんと、實行し得ないのでありますので、申告納税制度をやむなくとつた次第であります。昨年のように、當初前年實績に從つて決定し、その後におきまして、その年の所得に從つて増加所得税を決定したというような、二囘決定するところを一囘に決定するというような效果をねらつた次第でありまして、その點におきまして、現行の所得税としては、でき得る限りその事態に應じておるというふうに考えるのでございます。ただそれよりも、間接税の方がこういう場合に適切でないかという御意見でございますが、一面におきましてやみ所得等によるところの所得の奢侈的なものに高率課税いたしますことによつて、そういうような所得税で捕捉し得なかつた所得を捕捉するということは、もちろん適切ではございまするが、一面におきまして、間接税は常に物價と非常に結びつきのある税でありまして、それが一面に物價の騰貴を促すというような作用も、これは否定することはできないというふうに考えるのでございます。從いまして、こういう事態におきましても、やはり直接税と間接税は、大體においてタバコを入れますならば、半々という程度の比率が最も適當でないかというように、われわれ考えておる次第であります。現在タバコの專賣益金を入れますと、大體において直接税、間接税は、當初豫算におきましては、五十對四十八という比率でありましたが、ちようど幾分逆になりまして、追加豫算を入れますと、四十九對五十という比率になつておりますが、ほとんど差はない。そこに現在の直接税、間接税の比重が適切であるということを裏書しておるものではないかと、われわれは考えておる次第であります。
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鈴木明良#29
○鈴木(明)委員 次に追加豫算案における税の性質を見ると、ただいまもちよつと觸れておりましたが、租税の中では間接税が全面的に大幅に引下げとなつた。專賣益金も含めると、今年度の國家歳入中に占める間接税の割合が非常に大きいことは、これは人々の指摘するところであります。次第に直接税から間接税へ重點を移しております。こうして政府自身が追加豫算を賄うために、税制の改革要綱案、非戰災者特別税要綱案、そういうものを決定して、十二月一日から實施の豫定のもとに、高額所得税の税率引上げ、非戰災者特別税の新設の一方に、消費税の引上げや、專賣益金の増收をはかつて、勤勞所得税を輕減して、間接税の増税に向つておるのを見るのであります。これはすでに述べましたように、政府自身が平時的な財政觀念から、次第にインフレーシヨン經濟における非常時的な財政觀念に移りつつあることを示すものと私は思います。さらにこれは歳入の中心をなす租税收入が限界點に達しつつあるのに、歳出はインフレ高進とともに漸増の方向にあるので、租税と國民經濟ないし國民生活との均衡をはかるためには、どうしても關接税中心に移らなければ、財政は破綻するというところから、間接税に重點をおくにいたつたのであると思うのであります。そこで一歩を進めて現在の經濟状態に適應する右のごとき税觀念に徹して、財政經濟の危機打開のために、積極的に徴收の敏速、確實なる間接税中心主義の租税體系を樹立することが、目下の急務であると、私は思うのであります。その意思があるかどうかという點について、御答辯をお願いしたいのであります。
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