芦田均の発言 (予算委員会)
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○芦田國務大臣 ただいま原君の述べられました第一の問題は、平和愛好國民として、この際一大國民運動を展開する意向はないかということであります。御趣意はわれわれもとより同感であります。しかしながら、日本國民が眞に民主主義的な平和愛好國民であるか、あるいはこれにどの程度の國民的な運動が起りつつあるかということは、終戰當時より今日までの間に、われわれの日常二十四時間の生活によつて判斷せられており、それが外國に映つておるのでありますから、すべての社會生活あるいは政治運動、勞働運動、經濟の運用、すべてにわたる日本國民の生活が、はたして眞に民主化されておるか。また平和愛好國民としてふさわしいものであるかということは、ある意味において、世界の注視の前にさらされておるのであります。從つて議會の運營を初めとしての政治運動、あるいは街頭における勞働運動、學校における教育の實情、すべてを總括して、日本ははたして民主國家として、平和愛好國家として、どれだけの業績を殘しつつあるかということが、來るべき講和會議においても、またそれ以後に引續く國際生活においても、諸外國の批判の的になるものと考えております。すでに憲法によつてわれわれの行くべき道は明らかになつておりますから、國民運動を展開するとしても、その運動の方法は、ただ從來のごとく形式的な、しかも政府から差金を受けた天降り的な、かような方法を一擲して、ほんとうに國民を率いていき、また國民の盛り上るその熱意によつて、毎日の行動が民主的であり、平和愛好的であることが必要であるということは、おそらく原君の御趣意に副うところと思います。そういう意味において、私どもは從來の花火線香式な、あるいは形式にとらわれた運動を、この際再び繰返すような意向はもつておりません。この際さらに深く掘り下げて、國民教育の方向、あるいは政治教育の方向、その他勞働運動に對するわれわれの心構え、すべてにおいて、その實績をあげることが必要であると考えておる次第であります。
第二の點は、わが國にすでに古くより平和論者もあり、平和的思想のもとに行動した實績も殘つておるのであるから、この際廣く平和運動に關する文獻を集めて、一大研究所のごときものを設立する必要がないかという御議論であります。この問題につきましては、終戰直後幣原内閣においても、吉田内閣においても、平和研究所と稱する機關を設ける計畫を立てまして、一時その創立事務を預かる機關が設けられたのでありまして、不肖私がその副總裁として、ごく短期間席を汚したものであります。しかるところ、この機關の設立及び運用については、意外なる故障に逢著いたしまして、まだ正式に設立の法的手續をとるいとまもなくして解散した經過を踏んだのであります。しかしながら、おそらく遠からざる將來においては、この障害もおのずから解消することと考えられますから、かような時期になれば、原君のただいま提唱されたごとき機關をつくることは、さしたる困難はなかろうかと考えております。