稻村順三の発言 (予算委員会)

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○稻村委員 私はまず大藏大臣に對して、これまでの豫算委員會、あるいは分科會にいろいろ質問がなされましたけれども、それに對するだめを押すという意味におきまして二、三の質問をしてみたいと思つております。
 まず第一に大藏大臣は金融機關の補償金の百億圓を取止めにしたのは、企業整備が遲れたからだと言つております。それからもう一つには終戰處理費がとにかくあの程度に止まつたというのは、六千戸の建築を三千戸に節約してもらつたために、そこでこういうふうな節約ができたというふうなお話があつたようであります。この際私が大藏大臣に對して特にだめを押しておきたいことは、それならば企業整備が必要であるところの二十三年度の豫算に、この百億圓が盛られるのである。そうすれば今百億圓が健全財政という建前からいたしまして收支が償いましても、この百億圓がこの次に盛られるということになれば、これがまた繰越しになりまして、やはり二十三年度豫算に非常な大きな穴があくということが想像されることであります。終戰處理費にいたしましても、六千戸に節約してもらつたのははなはだ結構でありますけれども、あと當然、この二十二年度に建設さるべきものが半分にわけられて、あとの三千戸は、これは二十三年度の方に繰延べになつたというようなことがありますと、これが收支のバランスは、結局今合わせただけであつて、後にはもつともつと財政上の不安が持越されておるというにすぎないのでありますが、こうなりますと二十三年度豫算、あるいはまた次に問題が出ますと、先ほど農林委員會においても問題になつたのでありまして、これは追加豫算にさらに組んでもらうつもりだという返答もありましたのですが、そうすれば、この追加豫算というものは、われわれこの前の公聽會の大内教授の言葉を借りて言えば、きわめて厖大なものになるおそれがある何百億というような厖大な追加豫算を、本年度中に要求するところの意思をおもちなのかどうか、この點をまず第一にお尋ねいたしたいと思うのであります。
 第二に私はお尋ねしたいのは、最近官公廳職員の待遇改善に絡みまして、中勞委の裁定ができまして、ここに非常に問題となつているのは、これに對する財源をどうするかという大きな問題であろうと思うのであります。この財源に關しまして公聽會では、全財連の書記長品川君の發言によりますと、價格差益金が百億圓しか計上していないのはこれは實に少な過ぎる。少くともわれわれの手においてこれをもし收納するということになりますれば、三百億圓の價格差益金の收納は確實であるというような意見を發表しております。この點その道の現場において相當熟練した技能をもつている人の意見として、傾聽に値するものと思うのでありますけれども、そうすればこの差益金が、今日物價廳にその收納の權限があるのでありまするが、これを財務局に一括して移管すれば、やはりここに二百億近くの財源が浮くのではないかというふうに感ぜられるのであります。殊にほとんど地方に手足のない、しかも話を聽いてみますと、公定價格のいろいろな上げ下げ、その他について、これは事實の有無は別といたしまして、とかくの批評さえあるところの、この物價廳が、しかも無力な物價廳が、こういうふうな價格差益金の收納の全責任をもつているということは、私は結局この百億圓の金をとることさえむずかしいのではないかというふうに考えられているのでありますが、この點に關し、後で安本長官にもお尋ねいたしますけれども、大藏大臣としてはどういうふうなお考えをもつているか、その點をお尋ねしたい。かように考えております。
 それからもう一つ私たちは官公廳職員の給與の財源に關しましてお尋ねしたいことは、今度大藏大臣の説明によりますと、扶養家族の控除額を引上げたのに對しまして、これは七月からの分は返濟するというようなことを申しておりましたが、これが返濟されるということになりますと、十一月末日までには大體一人當り一箇月に二百五十圓くらいは返すことになるのではないかと考えております。そうしますと、ここに千八百圓ベースを動かさないようにいたしましても、約一人千二百五十圓というものを現金で返すことになり、これが生活の問題として考えられるのではないかと考えられるのであります。さらに越冬資金といたしましても、やはり同じように越冬資金をこれに加えますと、中勞委の裁定というような、あの一人當り五千圓というように、全部を賄うことができないにいたしましても、相當の部分をここで補うことができ、しかも千八百圓ベースを崩さぬでできるのではないかというような感じがしておるのであります。この點に關してもし安本長官がおいでになつたら安本長官にお尋ねしたいと思いますけれども、大藏大臣の御意見をお伺いしたいと、かように考えております。
 それから第三にわれわれが公聽會から得た知識でありますが、朝日新聞の土屋清君の説明によりますと、今日やみにまわつておつてわれわれの手にはやみでなければほとんどはいらない、いわゆる正式ルートに乘つてはなかなかはいらないというような物は、われわれとして今日專賣をすることが最も適當であるというような意見もありました。そうしたならばどうせわれわれの手にやみでなければはいらないような日用品、こういう物を專賣事業として新たに創設する意思はないかどうか、もしこれによつて專賣益金を得るならば、私がちよつと計算したところによつても、甘味料が十億圓くらい、マツチこれは小箱一人一個といたしましても、これはその差益金が一圓とつたといたしまして九億圓、石鹸、これが月一人一個ぐらいといたしまして十圓に賣つたといたしましても九十億、茶が二千萬貫、それを二千萬戸に一家族大體一箇月百匁くらいずつこれを配給いたしましたとしても、これが七十二億、みそ醤油がまず同じように現在の配給量を確保するとしても二十億圓、總計二百億圓くらいの專賣益金においての收入を見ることができるのではないかと考えておりますが、この點に關する御意見はどうであるか。これが第三點です。
 第四にお尋ねしたいことは、所得税の調査事務機構を強化する必要があるのではないかということであります。徴税機構が弱い結果、源泉課税であるところの勤勞所得税のみが豫定通りに納まりまして、やみ屋はほとんど脱税しておるばかりでなく、大所得者はほとんど滯納している有樣である。これは大體われわれの想像し得るところでありますが、これに關して税務官吏はどうかと言えば、今定員に非常に滿たないで二級官の七七%というものが定員に不足しておる。そういうもの、それから今度は三級官といたしましては四〇%以上も不足しておるというのでありますけれども、これをただちに配置轉換を行いまして、たとえば二級官の足りないところ、三級官の足りないところを、他の官廳で冗員とか何とかいつておるのでありますから、これらの者から轉勤をさせることにして、この補充をただちにして、この徴税のための所得調査事務を強化する必要があるのではないかと考えます。
 第五に徴税機構と調査事務の強化の問題であります。徴税機構を強化して十分な能率を上げしめるために、この前からの大藏大臣の説明によりますと、今度一級官吏なみの待遇を財務官吏にも與えると言つておりましたが、これを具體的に、たとえば今までの三級官を二級官にするとか、あるいはまたある程度雇の人間を本官にするとかして、その衝に當つている官吏の位階、職階を上げるような點について、この人たちに非常な希望をもたせるという立場から、これを強化をしていく意思があるか、この點について一應お尋ねしたいと思つております。
 第六に復金の問題であります。復金の金は相當に方々にすでに放出されておるにもかかわらず、その割に實績があがつていない。殊に復金の人の話によりますと、石炭の生産にだけ、一月以降百億の金が融通されておる。しかも石炭自身どれだけ設備が行われたかということに關しては、相當疑問があるように思うのであります。殊に今度も四十億という多額の費途を豫算の上で組んでおる。この費途その他に關して會社自身を復金が相當監査する權限を與える必要があると同時に、復金に對する監査もまた民主的な國民の監査によつてせしめるという機構を、相當強化にする氣持はないかどうか、これだけの六點について御答辯を煩わしたいと考えております。

発言情報

speech_id: 100105261X02319471119_017

発言者: 稻村順三

speaker_id: 1021

日付: 1947-11-19

院: 衆議院

会議名: 予算委員会