五坪茂雄の発言 (予算委員会)

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○五坪委員 私は民主黨を代表して最後のお尋ねをいたしたいと思います。
 まず總理大臣に一、二お尋ねいたします。これは何囘か質問が繰返されていたのでありますけれども、しかし考えれば考えるほど疑問が起るので、この際ひとつはつきりとお答えを願つておきたいと考えるのであります。言うまでもなく今囘の追加豫算は厖大なものでありますが、また次に追加豫算も出るのではないかと考えられます。その厖大な豫算があるいは時の面において、または物資資材の面において、はたしてきわめて適正に消化されるかどうかという問題なんです。どうも私の考えるところによりますと、おそらく無理がかかるのではないか、また終戰處理費をマル公ですべておやりになるわけなのですが、政府の手持品をマル公で拂下げなさるならば、これはうまくいくでありましようけれども、必ずしも資材全部がそうとはまいりますまい。そういう場合にはたして計畫通りにいくかどうか。これも多大のむりがかかる。むりがかかるということはどういうことかというと、インフレを助長するということになるのだと私は思うのであります。ところで先般生計白書とも言われるようなものをお出しになりましたが、これはインフレを抑え、また國民に安心を與える一つの方法としては相當力強いものであつたかと思いますけれども、この際もうインフレに向うということは、國民皆そういうふうに考えて不安がつておる。それを、いや不安がる必要はないのだ。インフレはこういう力強い方法によつてこれを抑えていくのだという、具體的な何か方法をおもちになつておるかどうか。その點をひとつ明らかにしていただかぬと、御承知のごとく勞働攻勢がどんどん激しくなつておるようでありまするし、また實際において、これ以上インフレになつたら、國民生活はやつていけない。耐えられない。だからその點をはつきり、こういうふうにしてインフレを抑制して經濟再建をやつていくのだということを、あらためてひとつ御答辯願いたい、かように考えます。
 次にお尋ねいたしたいことは、先般來マル公の値上をおやりになりましたが、それはいろいろな關係もありましよう。だから値上になつたのでありましようけれども、私は一遍に三倍なり三倍半の値上をするということより、逐次上げていくことによつて、その間時をかせぐということが非常に重大な問題じやないかと思うのに、それを急激にマル公を引上げてしまつた。たとえば木材なんかはやみ價格よりずつと高いマル公にいつてしまつて、あとからやみ價格がマル公に追いつくのだというようなことになついるのです。また今囘タバコの問題もお話しになりましたし、それから酒が自由價格五百五十圓ということであります。政府のお考えは一應ごもつともに考えられますけれども、その半面を考えますと、はたしてその五百五十圓の酒が賣れるかどうかとううことなんです。八百圓とか、千圓とか、一級酒のやみ價格がしているということですが、それは限られた數量だからそういうむりな値段になるのです。ところがこれが五百五十圓で自由に買えるということになると、はたして民衆がそれを買うて飲むかどうか。おそらく私はそれは密造を助長することになるのではないかというふうに考えるのです。その政策がまわりまわつてそういうことを助長するというようなことになると、一國の政治として私は重大問題だと思いますがゆえに、こういうことについて總理大臣の所感を、はつきりと伺つておきたい、かように考えるのであります。
 第三は、先般來國民運動をやるとか何とかいうことを聞いておりましたけれども、いろいろな部面に國民運動が必要であります。殊に私が今質問しておりまするインフレ抑制という問題については、非常に必要だと思うのでありますが、どうもそれが活發に行われていない。さらに食糧問題その他インフレ抑制の問題からも、消費節約ということを今日ほどやかましく言わなければならぬ時代はないと思うのでありますけれども、一向消費節約の運動がやられていない。そういうことは一向お考えになつていないのか。私、視野が狹くて、そういうことを知らぬのでありますが、とにかく視野の狹い私にもはつきりわかるように、もつと強力にそういう運動を展開してもらいたいと思うのでありますけれども、一向それができていない。インフレはこういうふうに抑制するのだ、こうなつては國家がこういうふうになるのだということを、國民一人々々にはつきり知らせる運動、それからどんどん消費節約をしなければならぬという運動、殊に食糧問題、戰時中はさつま芋の葉とか、くきとか、つるとかいうものを、ことごとく買つていつて食つたものですけれども、今日はそんなものを食う者は、農村ではおそらく一人もおりはしません。都會の人たちも、以前は農村へどんどん買いに來たのですが、今日では一人もおりません。そうして一方では食糧難とか、やかましく言つておるのですが、これは政府として國民教化と力が足りんからだと思いますが、そういう點についてひとつ總理大臣の考えを承つておかなければならぬ、かように考えるのであります。
 次に大藏大臣にお尋ねいたします。それは先ほど社會黨の稻村氏からの質問の中にありましたように、農家とか、中小商工業者を對象としての徴税は、まことに微に入り細にわたつてうまくいつておると思う。これは税金を出す方の者が感心しておるくらいに税金をうまくとつておると思うが、もつと大きくとらなければならぬ方に手ぬかりがないか、これは今私時間がないので詳細なことは申しませんが、それだけ申し上げればはつきりおわかりのことと思います。そういう點一層ひとつ考慮をお拂いになる必要がたしかにある、かように考えておるのであります。また一方そうかと思うと入場料など相當引上げておいでになりますが、これなども今日何の樂しみもない者がたまに映畫で見るというような際に、莫大な税金を拂つてでなければ見られぬということは、これは社會民衆の文化を向上する上においても、あるいは民衆娯樂という上から考えても、こういう點もひとつ、それは財政難の場合であるからやむを得ぬかもしれませんけれども、御考慮の餘地があるのではないか、かように考えるのであります。
 次にこれも大藏大臣にお尋ねするのですが、北陸を中心として全國にわたる單作地帶、これは今非常に困つておるのです。これは農林關係の方はみな御承知だから農林關係の方に質問する必要はないのですが、米をとつてそれをマル公で供出してしまえばあとに何も收入の途がないのです。副業をしようとしたつて材料がないのです。たとえばさつまいもをつくれば澱粉をつくるとか、あめをつくるとか、しようちゆうをつくるとかいろいろあります。そうすればそのかすができるからぶたを飼うとかにわとりを飼うとか、それからそれへと副業ができるのです。蔬菜や果樹をやりましても、農閑期にそれに加工してやるとすれば、それを賣出すということもできるのですが、稻作一方の單作地帶ではそれができない。たとえば具體的に申しますと石川縣の石川郡あたりでは、一段と耕作するに七人手間要ります。苗代から田植して收穫するまで七人手間要る。能登の方にまいりますと、同じ一段を處理するのに二十八人手間要る。そうして供出する米は同じ値段です。七人手間使つて八俵とつて供出するのも、二十八人手間使つて八俵とつて供出するのも同じ値段、こういうことになるのです。だから單作地方の農家はまことに堪えられぬと思う。こんなことがもうあと一年も續けば全滅だと思う。何とか單作地帶の耕地を、二作三作作付することのできるように、耕地整理、土地改良をやつてもらわなければならぬと考える。今囘の追加豫算には出ていないようですから、二十三年の豫算には、ぜひともこれに關する經費を相當額、わずかな涙ほどの金でなしに、やることのできる相當額をひとつ見積つていただきたい。
 それから今度追加豫算が出るか、どうか存じませんけれども、もしお出しになるならば、例の六・三制の七億圓と殘りの金は、ぜひとも一緒に盛つていただきたい。これを盛るか、盛らぬかということも重ねてお尋ねををいたしておきます。
 それからもう一つ大藏大臣に、先ほど徴税の問題について申しましたが、徴税する方待遇の問題です。これは時間がないのに喋々言うまでもないことですが、新聞によりますと税務官吏のいろいろな問題が出ておるようであります。實際聽いてみますと、任官して三十二年經つたのだけれども、今日二千五百圓の手取しかないのだということです。それからもう一つまつたく未知の人ですが、千葉縣のある税務署に勤めている人から歎願書が、私のような者にまいりました。それは自分は引揚げをしてきて、今税務署に家内と二人で一緒に勤めている。そして二人の手取合わせて千六百圓だが、これではどうしてもいかぬ。何とか助力してくれという手紙なんです。大藏大臣は御承知でありましようが、そういう問題はたくさんあるんで、これは實に人道問題だと思うので、何とか待遇を改善してやつて、徴税をうまくやらせるということなんです。そういう點をひとつお考えを願いたい。同時に御意見を承りたいと考えます。
 次に安本長官にひとつお尋ねいたしたい。肥料の問題ですが、來年度は窒素肥料にして段當五貫五百匁ぐらい配當をするというような御計畫のようですが、今日は七%ぐらいしか生産が上つていないと思う。はたしてそういうことでお約束の通りに配給ができるかどうか、これは農家にとつて眞劍な問題です。毎年うそをつかれているんですから、また來年も配給ができぬということになると、おそらく農家は來年度は承知しないと思う。その點をしつかり御考慮の上、お約束を果していただくようにやつていただきたい。同時に神戸にはせつかくの燐鑛石が六七十萬トン滯貨になつているそうですが、硫酸が足りないから過燐酸石灰が十分にできない。それは硫酸アンモニヤや石灰窒素に比較しては、過燐酸石灰は相當生産されている。それは結構ですが、さらに滯貨しているあの燐鑛石を、何か燐鑛粉末といつたような形で、肥料化する方法はないものかどうか、それを御研究になつているかどうかということをお尋ねしたい。さらにもう一つは農機具の問題です。これも配給する配給すると前の農林大臣は言つておられたが、みなうその皮です。現に私の縣で籾摺用のゴム・ローラーが一萬九千箇配給されることになつているが、實際は一萬箇しか來ていない。私の方は御承知のように早場米であるし、早場米は九月中に供出すれば五百圓の奬勵金が貰えるから、農家は何とか早く調製して供出しようと、一生懸命になつているが、肝腎のゴム・ローラーが來ないからどうすることもできない。今日もまだ現物は一萬箇しか來ていない。もう籾摺はほとんど終つてしまつている。こういうような状態です。こんなことは籾摺ローラーだけでなしに、いろいろの農具にみなそういうことがあるから、政府のおつしやることを農民が信用しないということになる。實際に信用しないということになつたら、これはたいへんですから、その點をひとつ、私は既往のことを責めるわけではありませんので、來年度はどうか農機具も肥料も、お約束通りに配給することにしていただきたい。それができるかどうか、はつきりここでうそでない言明をしていただきたい。かように思うのであります。

発言情報

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発言者: 五坪茂雄

speaker_id: 8590

日付: 1947-11-19

院: 衆議院

会議名: 予算委員会