佐藤喜一郎の発言 (予算委員会公聴会)

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○佐藤公述人 ただいま御紹介にあずかりました佐藤でございます。實は豫算關係の書類を頂戴いたしておつたのでありますが、昨日夕方頂戴したような次第で、内容その他を拜見するいとまもありませんで、申し上げ方をかえまして、簡單に申し上げたいと存じます。
 實はこの六月でございましたか、銀行協會としまして、金融界の意見を發表したのであります。その題目と申しますのが、當時御承知のように、現内閣が成立しまして、經濟緊急對策の御發表がありました數日後に偶然あつたわけであります。そのときの三つの要望と申しますか、そういつたような意見を申し上げます。それが今度の追加豫算について、どういうふうにあてはまるであろうかというような觀點で、簡單に申し上げたいと思います。その三つと申します中の第一は、物價體系の問題であります。賃金物價の惡循環の問題であります。これは問題の外ということではありませんが、ただいま申し上げる必要はないと思いますので省略いたします。
 もう一つは財政金融の問題であつたのであります。そのときの要望といたしまして、そのときはまだ御承知の追加豫算がないのでありまするが、當初豫算だけについての批評と申しますか、これを概略申し上げますと、豫算面において收支の均衡がとれているということは、非常に結構であるけれども、内容的にいろいろ考えてみると、非常に赤字がこのうちに隱されているのではないか。終局の上において、これを實行する場合において、收支面に不均衡が多分に生ずるようなおそれがあると思う。その第一としては、一體水準にとりました物價賃金の基準が、著しく低いのではなかろうか。あるいは歳入の面においてこれだけのものがとれるであろうか。こういつたような面から、はたしてこれが均衡のとれた實行豫算を期待し得るだろうかどうであろうか、こういう意味で隱されている赤字があるように思う。これをもう少し表面に出して、そうして國民に豫算の内容の實情を明らかにして協力を求めたらどうか、こういう意見であつたのであります。それが今度の追加豫算にあてはめまして、なかんずく歳入の面においてやはりこの懸念がないだろうかということを、われわれは感じるのであります。かりにあつたとしました場合に、その處置をどうするかということについて、やはり當時出しました要望の中において、これは國家の歳出の中にも、いわゆる人件費、その他まつたく消費に行つてしまうという豫算もあるし、あるいは投資になり、あるいは施設になつて、多年にわたつて、これを利用し得るものもあるに違いない。いわゆる事業會社で言うならば、設備資金というものに類する國費が相當含まれておる。これについては赤字公債というものを出しても差支えないのじやないか。むしろ戰後疲弊した財界に、強いてこの厖大なる歳出を埋めるために、歳入の上においていろいろな増税をするということは、生産の阻害になつても、決してよい結果は及ばないと思う。こういう意味で、これを公債によつて支辨するという方法をとるわけにいかぬのかというふうに申し上げたのでありますが、今日の追加豫算におきましても、やはり同樣のことが言えるのじやないかと思うのであります。さらにこの公債の處置の問題でありますが、これはまつたく兌換券増發によい公債の賄いであつて、つまり日銀券の發行により、この日銀の引受によつて、この公債を消化するという方法をとるならば、その及ぼす影響については、惡いにきまつておるのでありますから、そこで公債の消化ということに全力を注いでもらつたらどうか。それが當時の要望の一つであつたのであります。やはり今日においても、かりに公債によるべしとするならば、やはりこれの消化という問題を考えなければならない。それについて結局戰時中以來日本が低金利政策をずつともつてまいつたのでありますが、終戰後の事情の變化から見て、金利政策には再考の餘地が非常にある。むしろ低物價政策、あるいはインフレ防止、その他の點から見て、金利政策に再檢討を加えて、相當徹底した金利の引上をある部面に行つて、この公債の消化を期したらばどうだろうか。こういう面において財政經濟に對する希望を當時に申し上げたのであります。今日の追加豫算につきましても、われわれとしましては、これらの點について、豫算編成上、いろいろの必要からああいう豫算ができたとは存じますが、金融界としては、こういう點について希望があるということであります。從いまして一般歳出の中から、終戰處理費であるとか、あるいは賠償關係のものを特別會計に立てて、これによつて收支を區別して、一般の歳出と終戰後の特殊事情に基く歳出を別にしたらばどうだろうか。かつこの特別會計の方におきましては、日本が敗戰の結果からきた特殊事情でありますので、場合によつては大衆課税もやむを得ない。タバコの値上もしかたがない。こういうような觀念から、勇敢に税收ないしは財源を捻出して、收支必ず均衡を得せしめるというような考えを、われわれとしてはもちたいのであります。さらに當時財政政策の中の希望として申しましたことは、附け加えて申し上げますれば、行政整理の問題があつたのでございます。當時から今日も大して事情が變りないと思いますが、インフの進行下においては、相當行政整理の面が、豫算の中に織りこまれない以上は、豫算編成の當時において計上した數字が、そのまま實行が終るまで保てるという場合がむずかしいのでありまして、豫算面において行政整理の政府の決意が多分に現われていてほしいということが、最後の要望であつたのであります。さらにこれに直接今度の追加豫算には關係ないと思うのでありますが、この厖大なる追加豫算が出ます結果といたしまして、日本のインフレあるいは通貨政策の部面において、かなりいい影響はないと思います。從いまして、當時金融界の希望といたしまして、まだ貿易の再開にはなつておらなかつたのでありますけれども、やがて貿易の再開を氣構えられております六月當時におきまして、外國爲替の問題が早晩起るに違いない。圓の對外價値をどういうところに置くかということが、早晩起るに違いない。この問題は單に貿易の面からのみ見るべきでなくして、日本の通貨の對策の上に、いろいろな意味をもつものであるがゆえに、なるべく早い機會に政府が爲替樹立の方針を明らかにして、産業の合理化、あるいは輸出商品のコストの切下、その他の面において、政府の決意を明らかにしてほしいうことが、當時の要望であつたのであります。今日におきましても、この問題はやはり金融界としても衷心から、希望するところでありまして、爲替相定に對する政府の決意といつたようなものが、豫算の面にどこにも現われていないことを、はなはだ遺憾に思う次第であります。先ほど申したように、數字を詳しく檢討する機會もございませんし、概略としてただいま申し上げましたことでもつて、私の責を果したいと存じます。

発言情報

speech_id: 100105262X00119471111_020

発言者: 佐藤喜一郎

speaker_id: 29547

日付: 1947-11-11

院: 衆議院

会議名: 予算委員会公聴会