一松定吉の発言 (厚生委員会)
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○國務大臣(一松定吉君) 第十二條と第十三條とについて、衆議院において問題になつておりまする事柄は、只今委員長からお話のありました趣旨であります。これをいま少しく細かに私の承知しておるところを申上げますならば、この十二條、十三條で、物資の保管を命ずるとか、若しくは物資を収用することができるとか、或いは保管させた場所若しくは物資のある場所に立ち入り檢査をする、こういうことは憲法違反だ、我々個人の自由は憲法において、國民の権利及び義務という憲法第三十一條下において保障されておる、然るにその自由を拘束するということになるのだから憲法違反ではないか、こういうことで論議されておるようであります。ところがです、これは御承知のごとく憲法第十二條並びに十三條の規定は、國民の福祉を保護するために必要な場合には、特に憲法第十二條、第十三條においてこれは除外されておると我々は解釈するのであります。いわゆる家宅に浸入するとか、或いは検査をするとか、或いは或る特定の行為を命ずるとかいうことが、国民の福祉を阻害するような行動のあるということは憲法違反であるけれども、かくすることが國民の福祉を増進するに必要止むべからざるものであるという場合においては、憲法の第十二條、第十三條の規定から見まして、これは憲法違反ではない、こういうふうに私は解釈いたしておるのであります。そこで飜りまして、この災害救助法の第十二條並びに第十三條の規定に立ち返つてこれを見ますると、つまり或る災害を予想いたしまして、かくのごとき災害が実現するならば、かくのごとき物資が要るのである、かくのごとき品物を収用して置く必要があるのであるということを認められましたときには、それらの品物を保管しておりまする者、若しくは輸送を業とする者、或いはそれらの物資を生産する者に対しまして、その関係大臣がその者にその物資の保管を命ずる、若しくはその者からその物資を収用する、これはもう私は当然のことだと思う。例えば今囘の関東の水害に例を取つて見まするならば、どうも二百二十日前後において暴風雨の襲來が予想せらるる、こういうときに、或いは不幸にして利根川のどこそこが決潰しないとも限らないというような場合に、そういうようなことの予防の意味において、水を防ぐに必要なるセメントだとか或いは空俵だとか、或いは土砂だとが、その他の必要品の保管を或る者に命ずる、或いは或る者からそれらの物を收用して、これを或る倉庫に入れて置くというようなことは、これは当然しなければならん。十三條は若しそういうような保管を命じられ、若しくは物資を收用しておる場所、若しくは人、その人に対して、今利根川のどこそこが決潰した、さあお前さんはこれこれの物資を持つておる筈だから、それをすぐ出せ関係大臣がそれを命じた。私持つておりません、いや持つておらん筈はない、持つておる筈だ、いや持つておりませんというときに、そうかといつて、そのまま引き退がるというこことは、國民の福祉を増進することになるのか、確かに持つておるという確証を握つておるに拘わらず、本人がこれを拒むというときに、係官をしてその者の倉庫の臨檢をさせる、或いはその者の置いておる場所を檢査するというようなことが、これは憲法違反だということであれば、そういう緊急な処置を執ることはできないということに帰するのであります。でありますから、非常災害の場合において、この憲法の第十二條、第十三條のいわゆる國民の福祉を害するようなことを予め予防し、若しくは、今現に目の前に迫つておるその災害を救うために、この災害救助法の十二條、十三條の処置を執るということは、これは当然のことであると私は考えておるのであります。これが憲法違反であるということであれば、もう客観的に見て、この処置を執る以外に方法はないというときに、個人の自由を尊重しなければならんというて、個人の拒むがために、その必要な物資を保管してあると認めらるべき場所に臨檢ができない、認めらるべき品物を收用することができないときに、我れ何をかなさんであります。こういうようなことに私共考えておりまして、只今衆議院においてこれが問題になつたといいまするのは、今囘の水害の起らない前において、それが論議せられたのでありますが、今日においては私は衆議院の諸公におかれましても、余程これらの点が頭が変つておるのじやないかと考えておるのであります。さような意味におきまして、どうか愼重に御審議を賜らんことを重ねてお願いいたします。