山下義信の発言 (厚生委員会)
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○山下義信君 本日は第十二條、第十三條を中心に質疑しろということでございますので、その点に関聯してのみ大臣に伺いたいと思います。この法案は急いでやらなければならん法案であり、重大な法案でありますだけに、私共も多々質疑の点があるのでありますが、右申上げまするように、この十二條、十三條の点で一二伺いたいと思います。
この点が衆議院で憲法違反ということで論議せられてありますることは、これは当然であります。衆議院の方で余程やつておられますので、我々はそれを参考にいたしまして、委員長の申されましたように、これに善処しなくちやなりませんが、先程來の大臣の仰せでは、憲法違反ではないと一應の御説明に相成つたのであります。法律家の大臣はよく御承知の上で固よりおつしやつたのであろうと存じますが、我我が正面から憲法違反というようなことを申しますと、それは憲法違反でないという御答弁もできますが、少くとも憲法違反の嫌いがあるということを申しますれば、大臣はその点は御同意でございましよう。言うまでもなく旧憲法では、これは法律によるに非ざれば、こういう但書があつて、法律によりさえすれば憲法違反でないという陳弁をいたしておつたのであります。今囘の新憲法にも、公共の福祉に反せざる限りは、こうずつと謳うてある。公共の福祉に反しさえしなければ憲法違反ではないと言うがごときことは、これは三百代言の甚だしきものでありまして、國民の財産権、住居権というものが保障されております以上、それを侵すような法律を作りますことは、少くとも憲法違反の嫌いがあるということだけは明白であります。そこで公共の福祉というのはどういうことであるかというと、言うまでもなく一部の人間の利害は侵害しても、公共の副祉のためにということは成立ちません。全部の國民の福祉のためにということは成立ちません。全部の国民の福祉が公共の福祉でありまして一部の國民には憲法違反であつても、他の大部分の者に利益を與えるのだから憲法違反でないということは成立たんと私共は考える。憲法論は別といたしまして、憲法違反の嫌いがありますということは、この二ケ條が非常に曖昧として廣汎に規定せられてありますからこそ論議に相成るので、公共の福祉ということが極めて限定せられてありますれば、憲法違反の疑いはなくなると思うのであります。最前から同僚の各議員が質疑相成り、御心配に相成るのはその点でありまして、この強権の発動をいたします者は、各大臣或いは関係各廳の長官とありまして、これらの権力を持ちます者がすでに多数である。そうして平素からもやる、非常の場合にもやるということになりますと、年がら年中この強権の発動をすることができる。そうしてどれだけのものをやるのであるかという品目、数量に至りましては、草葉議員の質問のごとく実に廣汎に亘りまして、その点が明らかでございません。大臣はセメントまでやると言つた。そうすると社会局長が側から助け舟を出して、いやそういう点までは及んでいないのであると言つた。災害の大きいのを目当にしてやるかといえば、災害には種類があつて、小さいのまでもやると言う。小さい村の二十軒、三十軒はかくのごとき救助法案を作りませんでも、かような大仕掛な組織をいたしませんでも、これは当然できる話であります。かくのごとき組織を持ち、かくのごとき法律を作つてやろうということは、余程相当大きなる災害を予想しての法律案でなくちやならん。して見まするというと、災害の種類もいろいろにあるのだということになりますと、その必要なるところのこの資材、物というものは、これは殆ど無制限であります。この法律に掲げてありますることも、実に無制限に掲げてある。かようなことになりますると、平素から災害のための準備だといえば、徴発される。災害のために必要なんだからといえば臨檢されるというのでは、誠に憲法違反の嫌いがありはしないかということを憂慮するのであります。
最近國会に提出いたされまするところの法律案の中にはかような傾向を持ちました法律案が多いのであります。現在私共司法委員会でやつておりまする経済査察官の法律案は、安本が経済査察官の法律案は、安本が経済査察官というものを作りまして、あらゆる場合に民家に臨檢のできることになつております。かくのごとき重大なる法律に対しましては、我々は愼重にこれをやらなくちやならんというので、一昨日特別委員会を作つたのでございまするが、又この厚生委員会には災害救助法案というような同じような性質を持ちました憲法上重大なる法律案が出ます。そこで私共思いまするのに、これは必要の場合に限るところの時期というものを、そういう強権を発動いたしまするところの時期を先ず定める、平素などという廣漠たることをいわないで、誠に止むを得ざる場合、さつき大臣が條文の一項を抜いておつしやいましたが、これ又適当でございません。もつともつと時期を狭めまして、そうして必要なるところの品目までも限定いたしまして、或る程度まではここに掲げる救助のために必要なるものはどれとどれとどれ、救助の種類が明らかにされてあるのでございまするから、その品目を予想するくらいのことはできなくちやならん筈であります。
これは序でございますが、先程社会局長から、土木工事のようなことは余り予想してないような答弁があつたのでございまするが、後の條文を見ますると、土木建築業者をどんどんと救助のためには命令を下す、それがためには、必要な場合には第十二條の但書を準用することができるというふうの條文もしまいの方にある。これは本日私共見るのでありまして、詳しいことは次の委員会に讓りたいと思いますが、そういうことでこの十二條、十三條をもつと時といい、或いは場所といい、場合といい、品目といい、要すれば平素備蓄をするところの数量というものまでも明らかにされました方が、憲法違反になる嫌いがなくていいのではないか、こう考えまするので、もつとこれらを狭く限定してそういう点を明白にするというお考えはあるかないか、この点伺いたいと思います。
次はこの法案をいよいよ実施するということになりますれば、どのくらいの予算をお見込になつておいでになりますか。いわゆる平素から蓄えまするところの物を買込んで置かなくちやなりませんが、どのくらいの予算を見込んでおりまするか伺つておきたいと思います。
第三は、これでおしまいでございますが、先般の本会議におきまして、大臣は、今囘の関東の風水害に対するところの対策を、この國会に提出いたしておるところの災害救助法案に則つてやつて見るのだということをおつしやいましたが、どういうところを則つておやりになりまして、どういうふうに実現をなさいましたか、その點を詳細に承わりたいと思います。且つ又只今のような強権を発動するようなことをやつて御覧になりましたか、或いはそれをやらなくつても十分救助の対策が立てられたかどうか、その点もお示しを願いたいと存じます。以上。